[水田作部門] 3.「きぬむすめ」の収穫適期の判定指標 [要約] 「きぬむすめ」の収穫適期は出穂後の積算気温が950~1,100℃の時であり、この間の 青味籾率は25~10%、籾含水率は27~23%である。 [担当] 岡山県農林水産総合センター農業研究所 作物・経営研究室 [連絡先]電話086-955-0275 [分類] 技術 -------------------------------------------------------------------------------[背景・ねらい] 「ヒノヒカリ」に代わる品種として検討されている「きぬむすめ」について、出穂後の 積算気温、青味籾率、籾含水率から、玄米品質が良好となる収穫適期の指標を策定する。 [成果の内容・特徴] 1.出穂後の積算気温が950℃未満では、青未熟粒を中心とする未熟粒が多く、整粒歩合が 不足するため検査等級が低い(図1)。 2.出穂後積算気温が1,100℃を越えると、胴割粒や白未熟粒が増加するため整粒歩合が低 下し、検査等級が低くなる(図1)。 3.青味籾率は出穂後積算気温の経過に伴い収穫適期直前に急激に減少し、950℃と1,100℃ 時点の青味籾率はそれぞれ25%と10%である(図2)。 4.籾含水率はいずれの作期においても出穂後積算気温の経過に伴って減少し、 950℃と 1,100℃時点の籾含水率はそれぞれ27%と23%である(図2)。 [成果の活用面・留意点] 1.青味籾率は収穫適期直前に急激に変化し、籾含水率は降雨による影響をうけるため、 各指標は単体による判断でなく複合的に勘案する。 2.青味籾率と籾含水率は午後1時から3時の間に測定する。 4.「ヒノヒカリ」の収穫適期は出穂後積算気温950~1100℃とされており(岡山県地域稲 作戦略推進会議資料)、「きぬむすめ」の収穫適期はこれと同等である。 5.籾含水率が21%を切ると胴割粒が急激に増加するため、刈り遅れないよう注意する。 [具体的データ] 90 1等上 1等中 80 1等下 整 粒 70 歩 合 60 ( % ) 50 2等上 検 2等中 査 等 2等下 級 3等上 y 3等中 z 3等下 40 規格外 30 700 800 900 1000 1100 1200 1300 700 1400 800 出穂後積算気温(℃) 図1 900 1000 1100 1200 1300 1400 出穂後積算気温(℃) 「きぬむすめ」の出穂後積算気温に対する整粒歩合 z と検査等級 y の推移 整 粒 歩 合図 中 の縦 棒 はS Eを示 す . 検査 等 級は 反 復を 等量混 ぜ た サン プ ルに つ いて 評価し た z 整 粒 歩 合 は 1.8mm 篩 で篩 っ たの ち K 社製 R N- 310 で測 定 した y 検 査 等 級 の 判 別 は 中国 四国 農政 局 お よび 全 農岡 山 によ る 100 80 青 味 籾 60 率 ( 40 % ) z 20 y = 2E+19x -6.003 R² = 0.8682 籾 含 水 率 ( % ) y 0 700 800 900 1000 1100 1200 1300 出穂後積算気温(℃) 図2 z y 1400 30 28 26 24 22 20 18 16 14 12 10 700 y = -0.0154x + 40.397 R² = 0.7357 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 出穂後積算気温(℃) 「きぬむすめ」の出穂後積算気温に対する青味籾率 z と籾含水率 y の推移 4 株 中最 長 稈3 穂 の籾 を 脱穀し 、 稔 実籾 の うち わ ずか でも青 味 を 呈す る 籾数 割 合で 示した K 社 製 米 麦 水 分計 で 測定 し た [その他] 研究課題名:きぬむすめ、にこまるの高品質生産技術の確立と温暖化対応品種の選定 予算区分:県単(産学官連携推進事業) 研究期間:2012~2014年度 研究担当者等:前田周平
© Copyright 2024 ExpyDoc