無差別曲線 C © Yukiko Abe 2015 All rights reserved 無差別曲線の性質 • 右下がり • 2本の無差別曲線は交わらない • 右上方に位置する無差別曲線のほうが、効 用の値が高い。 • 原点に対して凸 © Yukiko Abe 2015 All rights reserved 限界代替率 • 無差別曲線の傾きを限界代替率と呼ぶ。 • 限界代替率は、消費者の主観的な、2財の交 換比率である:同じ効用水準を維持するため に交換してもよい(=等価である)と考える比 率。 © Yukiko Abe 2015 All rights reserved 限界代替率の計算(1) • 以下の効用関数の限界代替率を計算する U ln(l ) (1 ) ln(C ) • 【一般的に成り立つ性質】 U0 – ある効用の水準 U で全微分をして、その結果 をゼロと置く: U U l C 0 l C © Yukiko Abe 2015 All rights reserved 限界代替率の計算(2) • 全微分した式を変形して C U / l MRSlC l U / C • 具体的な効用関数について限界代替率を計 U / と C 算するためには、上記の式の U / l に、具体的な効用関数から計算され た微係数を代入する。 © Yukiko Abe 2015 All rights reserved 上記の効用関数の場合 U l l U 1 C C となるので、代入して整理すると C C l 1 l となる。 © Yukiko Abe 2015 All rights reserved 限界代替率と効用関数のパラメー ターβの関係:練習問題 • 上記の効用関数のパラメーターβは、限界代 替率の大きさにどのような影響を与えるか? 他の条件を一定として、βの値が大きいと限 界代替率は大きくなるか、小さくなるか? • そのことは、βの値が労働供給とどのような関 係にあることを意味するか? © Yukiko Abe 2015 All rights reserved 【補足】 自然対数の微分 ) に関する微係数は • 自然対数 ln( Xの X ln( X ) 1 X X である。ただし、 X .0 このことは、自然対数は指数関数の逆関数であり、 指数関数の微係数はもとの関数そのものになること exp( X ) から理解できる( )。 X exp( X ) © Yukiko Abe 2015 All rights reserved 労働供給 C • 予算制約に加えて、時 間制約があることに注 意( l T )。 l は余 暇時間、 T は時間の 総量。 • 予算制約の傾きは賃金 率 C w(T L) I • C: 消費財の消費量 © Yukiko Abe 2015 All rights reserved 労働供給 C • 予算制約の傾きは賃金 率 PC w(T l ) I T • C: 消費財の消費量 • I: 非労働所得 © Yukiko Abe 2015 All rights reserved 無業の選択 C • l T が最適点で成立 している場合が、無業 が選択されるケース。 • この場合、 MRS ( I , T ) w / P となり、限界代替率と予 算制約の傾きは一致しな い(なぜか?不等号の向 きにも注意)。 l © Yukiko Abe 2015 All rights reserved 労働供給とスルツキー方程式 • 単純化のため、P=1という基準化を行なう(こ れによって一般性は失われない)。 • スルツキー方程式は、以下のように表される l l l (T l ) w I w U I © Yukiko Abe 2015 All rights reserved 労働供給とスルツキー方程式 • 賃金変化の効果 l l l (T l ) w I w U I • l w U 代替効果:賃金が上昇すると余暇の消 費量を減らす • (T l ) l I 所得効果:賃金上昇は実質所得の上昇 を意味し、余暇が正常財であれば余暇 の消費量を増加させる。 © Yukiko Abe 2015 All rights reserved 消費者の支出最小化 • 複数の財を消費する消費者を想定。 min E( p1 , p2 ; u ) p1 x1 p2 x2 x1 , x2 subject to U ( x1, x2 ) u 支出関数 E( p1, p2 ; u) © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 補償需要関数 • 支出関数の導出においては、x1,x2が内生変 数である。 • これらのx1,x2を需要量とする、需要関数を導 くことができる。この需要関数を補償需要関 C x 数とよぶ。i ( p1, p2 ; u) と表記(Cは compensatedに対応)。 • この需要関数は、費用関数における要素需 要関数と同じであることに注意。 シェパードの補題 • 補償需要関数について、以下が成り立つ: E ( p1, p2 ; u ) C xi ( p1, p2 ; u) pi i 1, 2 シェパードの補題の考え方(1) • 支出関数とは以下である: E( p1, p2 ; u) p1x1C ( p1, p2 ; u) p2 x2C ( p1, p2 ; u) • この左辺の変化分を、 E と書く。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved シェパードの補題の考え方(2) • いま、 p1 のみが変化すると考える。このとき、 支出額の変化は E p1x1 p1 x1 p2x2 = p1x1 p2x2 p1 x1 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved シェパードの補題の考え方(3) • ここで、以下が成り立つ: p1x1 p2x2 0 • 効用が一定水準に保たれていることから、 x1, x2 は無差別曲線に沿って動いている ことに着目する。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved シェパードの補題の考え方(4) • 【復習】支出最小化の条件とは、限界代替率と価 格比率が一致すること。 • 限界代替率の定義を用いて、この条件は以下の ようになる。 x2 U / x1 p1 MRS x1 U / x2 p2 • © Yukiko Abe 2014 All rights reserved シェパードの補題の考え方(5) • 無差別曲線に沿って動くとは、 x1, x2 が以下を満たすことを意味する: x2 U / x1 MRS x1 U / x2 • しかし一方で、最適解の条件とは: x2 U / x1 p1 MRS x1 U / x2 p2 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 支出最小化 等支出曲線 傾きの絶対 値:p1/p2 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved シェパードの補題の考え方(6) • 支出関数は、費用最小化の最適点での支出 である。最適解の条件を変形すると: p1x1 p2x2 0 • これを代入して: E p1x1 p1 x1 p2x2 = p1 x1 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved シェパードの補題の考え方(7) • 以上から、一般性を失うことなく E E ( p1, p2 ; u) x ( p1, p2 ; u) pi pi C i i 1, 2 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved スルツキー方程式 • 財i価格の変化の効果を所得効果と代替効果に 分解 x j pi x j pi I pi xi U x j I 所得を一定として pi が変化したときの効果 I x j pi x j U 効用を一定として pi が変化したときの効果 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved スルツキー方程式 • • x j pi :代替効果 U xi x j I :所得効果。最初の部分に xi が かかっていることと、シェパードの 補題との関連に注意。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 補償需要曲線と通常の需要曲線 • 補償需要曲線は、効用を一定にしている需要 曲線(ヒックスの需要曲線とも呼ばれる) • 通常の需要曲線は、所得を一定にしている需 要曲線(マーシャルの需要曲線とも呼ばれる ) © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 補償需要曲線と所得一定の需要曲線 P1 補償需要曲線1 (U=u1) p10 p11 代替効果 所得効果 所得一定の需要曲線 補償需要曲線0 (U=u0) x1 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved スルツキー方程式と支出関数 • 以下の等式が成立することに着目: xi ( p1, p2 ; E( p1, p2u)) xiC ( p1, p2 ; u) • 上記を p1 で微分し、所得効果の項を移項す ると、スルツキー方程式を得る: x j C xi ( p1, p2 ; I ) xi ( p1, p2 ; u ) x1 p1 p1 I © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 参考図書 • シェパードの補題、支出関数、については、 以下の本に明快な説明がある: • Dixit, Avinash Optimization in Economic Theory, 2nd Edition, Oxford University Press, 1990, Chapter 5 (邦語訳もあり) • 等価変分・補償変分については:西村和雄『ミ クロ経済学』東洋経済 1990年 第3章、第4 章 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved
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