Android端末を対象とした ウイルス拡散モデルの評価 木下研究室 200902880 古屋 智規 研究背景 • Android普及に伴い、Androidを狙ったウイル スの増加 • AndroidからPCの“2次感染”も報告されている • これまで提案されてきたモデルは1端末での 拡散を対象としていた 目的 • 異なる2端末間のウイルス感染を想定する ⇒“2次感染”を含んだ2端末の拡散モデルを提 案する • 提案したモデルにおけるウイルス感染台数の 期待値を求める ⇒提案モデルと1端末の拡散モデルで、ウイル ス感染台数の期待値にどの程度の影響が出る か比較することができる 感染経路 Android PC アプリ • アプリのインストール • メールの添付ファイル など • メール、添付ファイル • Webの閲覧 など 感染経路 • AndroidからPCの“2次感染” ⇒USB接続 充電の為に接続するだけでも感染するため、 日常で無意識に拡散してしまう危険がある 従来の提案モデル • ソフトウェアの信頼性を定量的に把握するモ デルを使用 • ウイルスの拡散、駆除を状態遷移図に図示 • ウイルス感染率、駆除率とウイルスに感染し ている台数、感染していない台数を定義 • 確率過程を用いてシステムの信頼度を求め る 従来のウイルス拡散モデル 𝝀(𝒕) 0,0 𝝀(𝒕) 0,1 0,2 𝝁 1,0 感染台数 𝝀(𝒕) 𝝀(𝒕) 𝝁 1,1 𝝁 𝝀(𝒕) 2,0 ・・・ ・・・ 𝝀(𝒕) 𝝀(𝒕) ・・・ 𝝀(𝒕) 0,N 0, j 𝝁 𝝀(𝒕) 𝝀(𝒕) ・・・ 𝝀(𝒕) 1, j-1 𝝁 𝝀(𝒕) 𝝀(𝒕) 2, j-2 ・・・ 𝝀(𝒕) 𝝁 2,N-2 𝝁 𝝁 ・・・ 𝝁 𝝁 𝝀(𝒕) j ,0 𝝁 1,N-1 ・・・ 駆 除 台 数 𝝀(𝒕) ・・・ ・・・ 𝝀(𝒕) j ,N- j 𝝁 ・・・ λ(t):ウイルスの感染率 μ :ウイルスの除去率 i :感染していない台数 j :感染している台数 N :総PC台数 𝝀(𝒕) N-1,0 𝝁 N-1,1 𝝁 N,0 従来モデルの問題点 • 同モデル上で複数端末の評価が不可能 ⇒2次感染をモデル化することができない 2次感染モデルの提案 • 従来モデルの問題点を解消するため、2次感 染モデルを提案 • 今回は、感染が発生してから時間が十分経 過した定常状態を仮定する • 定常状態における感染台数の期待値を求め る ⇒PC間、Android間、2次感染それぞれのモデル の感染台数の期待値を求めることで、2次感染 により感染台数にどのような影響が出るのか比 較することができる 2次感染モデルの提案 • PC台数N台、Android台数M台 • 感染率 : ポアソン分布 大量のデータから発生頻 度の少ない事象を観測 「少数の法則」 – PC-PC:𝜆𝑝 – Android-Android:𝜆𝑎 – Android-PC(2次感染):𝜆𝑎𝑝 • 駆除率 : 指数分布 – PC: 𝜇𝑝 – Android: 𝜇𝑎 単位時間あたりに生起する 事象の数がパラメータ𝜆のポ アソン分布に従うとき事象の 生起間隔は指数分布に従う 2次感染モデルの提案 0,M 𝝀𝒂 𝝀𝒂 𝝀𝒂𝒑 + 𝝀𝒑 M𝝁𝒂 ・ ・ ・ Android 感 染 台 数 𝝁𝒑 2𝝁𝒂 𝝀𝒂 𝝀𝒂𝒑 + 𝝀𝒑 0,1 𝝀𝒂 𝝀𝒂 3𝝁𝒂 𝝀𝒂 𝝀𝒂𝒑 + 𝝀𝒑 0,2 𝝀𝒂 𝝁𝒑 1,M 𝝁𝒂 0,0 PC感染台数 𝝁𝒑 𝝀𝒑 𝝁𝒑 𝝀𝒂 𝝀𝒂𝒑 + 𝝀𝒑 𝝀𝒂𝒑 + 𝝀𝒑 𝝀𝒂𝒑 + 𝝀𝒑 N-1,M N,M ・・・ 𝑵𝝁𝒑 2𝝁𝒑 ・ (𝑵 − 𝟏)𝝁𝒑 M𝝁𝒂 M𝝁𝒂 𝝀𝒂 𝝀𝒂 M𝝁𝒂 ・・ 𝝀𝒂𝒑 + 𝝀𝒑 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・・ ・ N,M-1 ・ ・ ・ 𝑵𝝁𝒑 3𝝁𝒂 ・ 𝝀𝒂 (M-1)𝝁𝒂 ・ 𝝀𝒂𝒑 + 𝝀𝒑 1,2 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・・ ・ 2𝝁𝒑 ・ ・ 𝝀𝒂 2𝝁𝒂 2𝝁𝒂 ・ 𝝀𝒂𝒑 + 𝝀𝒑・ 𝝀𝒂𝒑 + 𝝀𝒑 2,1 1,1 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ 3𝝁・ 2𝝁𝒑 𝒑 𝝁 ・ 𝝀𝒂 𝝁𝒂 𝝀𝒂 𝒂 𝝁𝒂 𝝀𝒑 ・ 𝝀𝒑 𝝀𝒑 N,0 2,0 1,0 ・・・ 3𝝁𝒑 𝑵𝝁𝒑 2𝝁𝒑 平衡方程式 • 感染台数がPC 𝑖台、Android 𝑗台である確率:𝑝{𝑖,𝑗} • 平衡方程式を解くことで𝑝{𝑖,𝑗} を求めることができる 𝑗 = 0のとき 𝜆𝑝 𝑝{𝑖−1,0} + 𝜇𝑎 𝑝{𝑖,1} + 𝑖 + 1 𝜇𝑝 𝑝{𝑖+1,0} = 𝜆𝑎 + 𝜆𝑝 + 𝑖𝜇𝑝 𝑝{𝑖,0} 𝑗 ≥ 1のとき 𝜆𝑎 𝑝{𝑖,𝑗−1} + 𝜆𝑎𝑝 + 𝜆𝑝 𝑝{𝑖−1,𝑗} + 𝑗𝜇𝑎 𝑝{𝑖+1,𝑗} + 𝑖𝜇𝑝 𝑝{𝑖,𝑗+1} = {𝜆𝑎 + 𝜆𝑎𝑝 + 𝜆𝑝 + 𝑓(𝑖)𝜇𝑝 + 𝑓(𝑗)𝜇𝑎 }𝑝{𝑖,𝑗} 平衡方程式 • 𝑗 = 0のとき 𝑘 𝑘 𝜌𝑝 1 𝑝{𝑘,0} = 𝑝{0,0} + 𝑓 𝑑 𝑘! 𝜇𝑝 𝑑=1 𝑓(𝑘 − 𝑑 + 1) 𝑑−1 𝑓 𝑑 = 𝜌𝑝 𝑘 𝑙=𝑘−𝑑+1 𝑓(𝑙) 𝑘−1 𝑓 𝑘 = (𝜆𝑎 𝑝{𝑐,0} − 𝜇𝑎 𝑝 𝑐,1 ) 𝑐=0 𝑘 = 1,2, ・・・, 𝑁 平衡方程式 • 𝑗 ≥ 1のとき 𝑝{𝑘,𝑗} 𝜆𝑎𝑝 + 𝑓(𝑗)𝜇𝑎 1 = 𝜌𝑝 + 𝑘! 𝜇𝑝 𝑘 𝑘 𝑝{0,𝑗} + 𝑓 𝑔 𝑔=1 (𝜆𝑝 + 𝜆𝑎𝑝 + 𝑓(𝑗)𝜇𝑎 ) 𝑔−1 𝑓(𝑘 − 𝑔 + 1) 𝑓 𝑔 = 𝑘 𝜇𝑝 𝑔 𝑙=𝑘−𝑔+1 𝑓(𝑙) 𝑘−1 𝑓 𝑘 = {𝜆𝑎 (𝑝{𝑐,𝑗} −𝑝 𝑐,𝑗−1 ) − 𝜇𝑎 𝑝 𝑐,𝑗+1 } 𝑐=0 𝑘 = 1,2, ・・・, 𝑁 平衡方程式 • 確率の総和は1なので 𝑀 𝑁 𝑁 𝑝{𝑘,𝑗} = 𝑗=0 𝑘=0 𝑀 𝑁 𝑝{𝑘,0} + 𝑘=0 𝑝{𝑘,𝑗} = 1 𝑗=1 𝑘=0 よって 𝑝 0,0 1 = 1− 𝜇𝑝 𝑁 𝑘 𝑘=0 𝑑=1 𝑁 𝑀 𝑘 𝑘=0 𝑀 𝑓 𝑔 𝑗=1 𝑔=1 𝑘 𝑝{𝑘,𝑗} 𝑗=1 𝑘=0 𝑝{𝑘,0} − 𝑘=0 𝑁 𝑓 𝑑 − 𝑁 𝑝{0,𝑗} = 1 − 𝑀 𝑁 1+ 𝑗=1 𝑘=1 −1 𝜌𝑝 𝑘! 𝜆𝑎𝑝 + 𝑓(𝑗)𝜇𝑎 1 𝜌 + 𝑘! 𝑝 𝜇𝑝 𝑘 −1 期待値 • 提案モデルにおける感染台数の期待値𝐸𝑎𝑝 は以下の式で求められる 𝑁 𝐸𝑎𝑝 = 𝑀 (𝑖 + 𝑗)𝑝{𝑖,𝑗} 𝑖=0 𝑗=0 期待値 • PC間感染の期待値𝐸𝑝 、Android間感染の期待値𝐸𝑎 は 以下のようになる 𝑁 𝐸𝑝 = 𝑘=1 𝑀 𝐸𝑎 = 𝑘=1 𝜌𝑝 𝑘 (𝑘 − 1)! 𝜌𝑎 𝑘 (𝑘 − 1)! 𝑁 𝑘=0 𝑀 𝑘=0 𝜌𝑝 𝑘 𝑘! 𝜌𝑎 𝑘 𝑘! −1 , 𝑘 = 0,1, ・・・, 𝑁 −1 , 𝑘 = 0,1, ・・・, 𝑀 ⇒2次感染が起きることでどのように感染台数の期待値 がどのように変わってくるのか比較できる まとめ • AndroidからPCへウイルスの2次感染をモデ ル化することができた • 提案モデルから定常状態における感染台数 の期待値の式を導いた 課題 • 定常状態における状態確率を計算する • 提案モデルを過渡状態で表す – ウイルスの拡散の様子を時間変化を横軸にとり グラフ化
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