Document

市場均衡と経済厚生
• 前の二章は、個別の家計や企業の行動
• この章では、その相互作用を考察
• 特に競争市場における価格の役割に焦点
一般競争市場均衡
企業
•
•
•
•
各企業は、
価格を与件として、(完全競争)
利潤を最大化するよう、
各財の供給と需要を決定(8章)
家計
• 各家計は、
• 企業の持分からの所得と所有する財か
らの所得と
• 価格を与件として、
• 一番選好する消費を選ぶことにより
• 各財の需要と供給を選ぶ(7章)
• 利潤は、価格に依存するので、価格だ
けで、需要や供給が決まる
一般均衡
• すべての財で総需要と総供給が一致
(超過需要が0)・・・一般(競争)(市場)均
衡
• このときの価格が均衡価格
• 一つの財を除いて均衡すれば、その財
市場も均衡・・ワルラス法則
• 財の数より一つ少ない財の市場の均衡
で、財の数より一つ少ない相対価格が
決まる
パレート効率的な資源配分
• 実現可能な資源配分のうち、他の実現可能
な資源配分にパレートの意味で支配されない
資源配分
• 全家計がより選好するような実現可能な資源
配分は無い
• ある家計がbetter off になるとき、必ずworse
offになる家計がある。
パレート効率性と生産効率
• 生産効率を満たさない資源配分は、パレート
効率ではない
• ネットで総産出を増加、あるいは、総投入を
減少できれば、パレート改善が可能
• 生産効率は、パレート効率性の必要条件
生産効率の特徴づけ
• 各企業の二財間の限界代替率が一致
• そうでないときは、二財の投入や産出を変え
て、二財とも純産出を増加させることができ、
生産効率を満たさない
• しかし、生産効率は、パレート効率性の十分
条件ではない
パレート効率的な資源配分の特徴付
• 任意の家計の間で、任意の財の間で限界代
替率が一致
• そうでないと、双方に有利な直接交換がある。
• 家計の限界代替率と企業の限界代替率が一
致
• そうでないと、生産可能で、家計がより選好す
る資源配分が存在
パレート効率的な資源配分の特徴付
• (i) ある財の別の財の間の限界代替率が家
計の間で等しい。
• (ii) ある財と別の財について、投入どうし、投
入と産出、あるいは、産出どうしの限界代替
率が企業間で等しい。
• (iii)ある財の別の財の間の各企業と各家計の
間の限界代替率が等しい。
厚生経済学の第一基本定理
• 競争市場がパレート効率的な資源配分を実
現する
• 直感的には、
• ある家計や企業の限界代替率
• =競争市場価格の比
• =別の家計や企業の限界代替率
• というメカニズムで競争価格が相対的希少性
を均等化
厚生経済学の第二基本定理
• 任意のパレート効率的な資源配分は、一括的
な所得移転をすれば、競争市場均衡になる
• 限界代替率に対応する価格を与え、そこが均
衡になるように所得再分配する。
• 政策的には、政府の役割を所得分配に限れば、
うまくいくという意味がありそう
• しかし、実際の所得移転は、一括的(中立的)で
はない
• 社会主義的市場経済でもうまくいきそうだが、
うまくいかない・・財の希少性以外の問題
市場の失敗
• 「厚生経済学の基本定理」が成立しなくて、市
場経済がうまくいかないこと
不完全市場
•
•
•
•
市場で取引されないものがある
将来財、日付付の財(dated goods)
条件付き財(contingent goods)
経済的外部性
経済的外部性
• ある経済主体が別の経済主体に市場を通さ
ないで、影響を与えること
• 好ましい時が外部経済
• 好ましくないときが外部不経済
外部不経済の例
• 環境破壊・温暖化
• 混雑・共有地・・相互の外部不経済
外部経済の例
• 養蜂家と果樹園(実際は支払いが行われる?)
• ネットワーク外部性(相互の外部経済)
より上級の話
•
•
•
•
•
情報・不確実性・インセンティブ
組織の経済学
非合理性
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・