レーザー機器安全取扱いの手引き

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レーザー機器の安全取扱い
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レーザーとは
 「LASER」と書きます。
 これは、次の英語の頭文字を取ったものです。
Light
Amplification by
Stimulated
Emission of
Radiation
 意味は、「放射の誘導放出による光の増幅」といったと
ころですが、簡単に言えば,光を電気信号のように増幅
して強くすることです。
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レーザーの特徴
 レーザーは光です。太陽の光などと異なるのは、例
えば太陽光は赤外線や紫外線などいろいろな波長
の光の混合光なのに対し、レーザーはひとつの波長
の光だけでできている混じりけのない純粋な光なの
です。
 レーザの特徴は次のとおりですが、これらは全て
レーザーが単一光であることによるものです。
1.
2.
3.
4.
単色性に優れている
指向性に優れている
干渉性が良い
高エネルギー密度である
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レーザーと自然光の相違
レーザー
自然光
電磁波
全ての波が一定
にそろっている。
無数の波長の電
磁波
色
単一色
多発色
集束性
あり
なし(分散)
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レーザー発生のしくみ
レーザーは次の過程を経て発生します。
1. ルビーや炭酸ガスなどの“媒質”にエネルギーを与え
ます。
2. 媒質はその原子に蓄えたエネルギーを電磁波として
放出します。
3. 放出された電磁波が2枚の鏡の間を往復する間に光
の波長、方向が揃って光が強められます。(光の増幅)
4. 光が強められると鏡からレーザーが飛び出します。
(レーザー発振)
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レーザー発振装置の原理
後面鏡
励起エネルギー
前面鏡
レーザービーム
レーザー媒質
反射率100%
(透過性なし)
反射率90%
(10%は透過性あり)
レーザー媒体にフラッシュランプ等である光を投入し、高圧電気などの励
起(れいき)エネルギーをあてると共振的に増幅してレーザー光が発生しま
す。レーザー媒体を小さくするために、鏡を利用し媒体内を反復させます。
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レーザーの利用方法
 レーザーはその特徴に基づき次のような用途
に用いられます。
1. 高密度のエネルギーとして切断、開孔、溶接
など各種材料の加工や医療用に
2. 均一な電磁波として計測、光通信、光情報処
理に
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レーザーの種類
種類
媒質
用途
固体レーザー
ルビー、ガラス、
YAG
GaAs,InGaAsP
など
穴あけ、切断、溶
接
半導体
レーザー
液体レーザー
気体レーザー
通信、計測、情報
処理
分光、研究
色素レーザーな
ど
He-Ne,Ar,エキ 化学、医学、加工、
シマ、CO2
その他多数
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レーザーの危険性
 レーザーは大量のエネルギーを小さな面積に
集中させて高密度のエネルギーとして利用す
るものであるため、眼障害や皮膚障害のおそ
れがあります。
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レーザーの危険性
 眼以外の生体組織は不透明なので光は内部
まで浸透せずにその影響は上皮組織に限ら
れます。
 眼の場合は角膜を透過した光は水晶体のレン
ズ作用により網膜上に集光され、網膜が損傷
されて失明に至る恐れもあります。
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レーザー機器のクラス分け
レーザー機器は国際電気標準会議IECが定めた
指針により次のようにクラス1~4にグループ分
けされます。
 クラス1(<0.39μW):人体に影響を与えない
低出力のもの
 クラス2(<1mW):可視光(400-700nm)で
人体の防御反応により障害を回避し得る程
度の出力(瞬間的に眼をつむることにより障
害を回避)
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レーザー機器のクラス分け
 クラス3A(<5mW):直接ビームを観察するこ
とは危険とされる出力
 クラス3B(<0.5W):直接または鏡面反射に
よるレーザー光線を受けると眼に障害が生じ
る可能性があるが、拡散反射によるレーザー
光線に曝露しても眼の障害を生じる可能性の
ないもの
 クラス4(>0.5W):拡散反射によっても眼や皮
膚に障害を受ける可能性のあるもの
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レーザー障害の防止規則
(1)
 厚生労働省では「レーザー光線による障害防
止対策要綱」を定め、クラス3A以上の機器に
ついて規定しています。
1. レーザーの光が目に入らないように遮蔽すること。
2. 緊急停止装置を設けること
3. レーザー光路の遮蔽を解除した場合、光線の放
出を停止するインターロックを設けること。
4. 遮蔽などの対策がされていない場合は、有効な
保護眼鏡を着用すること。
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レーザー障害の防止規則
(2)
5. レーザー業務に従事する前に安全教育をおこなう
こと。
6. レーザー機器管理者を選任し、安全管理の指揮
をさせること。
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非定常作業時の措置
(1)
1. 非定常作業の手順や安全対策について装置メー
カーから教育、訓練を受けること。
2. 原則として電源を切りキーを携帯して作業すること。
3. クラス3B以上の場合、有効な保護眼鏡を着用する
こと。(レーザー保護眼鏡はレーザーの種類や出力
によって異なります。必ず使用するレーザーに適応
したものを着用してください。)
4. レーザー光線の経路には不必要なもの、特に光沢
のあるものを置かないこと。(反射、散乱光が危険な
ため)
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非定常作業時の措置
(2)
5. クラス4のレーザー機器のインターロックを解除して
の非定常作業は原則として外部の専門業者に委託
すること。
6. クラス4のレーザー機器のインターロックを解除して
の非定常作業時は事前に関係者以外の立入禁止措
置をとること。(例えばレーザーマーカーの場合、装
置から約10m以内に入る場合は保護眼鏡を着用す
る必要があります。)
7. レーザーマーカーの場合、レーザーマーキングチャ
ンバー内には絶対に指、手、その他のものを入れな
いこと。
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緊急時の措置
 万一、レーザー光線によるばく露を受けたおそ
れのある場合は、速やかに医師の診断及び
処置を受ける必要があります。至急、上長ま
たは安全衛生部門に連絡してください。