塾の歴史 1960年代からの高度経済成長で、経済的余裕 のできた親達が、子供によりよい教育を受けさ せようとする動きがあり、その需要の受け皿とな る学習塾が次々に発展。 塾の定義 〔もと、門の両側にある建物の意。そこに初学者を収容し、教えたことから〕 初学の子弟に学問の手ほどきをした、個人経営の小規模の学校。〔昔は寄 宿舎を兼ねた場合が多く、現在は普通「学習―・そろばん―」など学校教育 法では認めていない、教育機関を指す。また、もと「塾」から発足した学校の 名としても用いられる〕 Shin Meikai Kokugo Dictionary, 5th edition (C) Sanseido Co., Ltd. 1972,1974,1981,1989,1997 ・ 一般的には小学生と中学生を対象に平日の夕方から夜にかけて、高校・中 学受験に向けた指導をする学校とは別の教育の場を指す。 ・ 予備校との違いは対象とする層の違い。予備校は主に高校生、浪人生を対 象に大学受験向けの学習を指導する。 塾の種類 ~学力別分類~ 進学塾 → 入塾テストでふるいにかけ、5段階評価の5 か4の生徒を集め、学校の授業の先取り・予習を主に行 う。 補習塾 → 5段階で3や2の生徒を集め、教科書や教 科書準拠問題集で、学校の授業の復習を主に行う。 救済塾 → 5段階評価で1か2の生徒を集め、弱点克 服のための授業を行う。 総合塾 → 進学塾と補習塾の要素を兼ね備えた塾。 塾の種類 ~人数別分類~ 大人数クラス塾 少人数クラス塾 → 生徒4~10人ほど → 生徒1~2人の個別指導塾 近年躍進がめざましい。 通塾率 • 都市圏においては、塾へ通う 子どもの割合は小4で急増す る。その理由は、このころから 中学受験勉強をはじまる子ど もが多いため。小5から中3ま ではほぼ一定のペースで増加 し、中3では大半の子ども (86,7%)が塾に通っている。 • また、昭和51年から20年の間 に塾に通う子供の割合は、2割 増した。 出典:子供の教育費調査(東海銀行・1991年) 教師一人あたりの生徒数 30 塾の教師一人当たりの生徒数は10人 以下が53%と過半数を占めている。 学校と比べ学習塾はクラスサイズが小 さく生徒一人一人に対応したようなきめ 細かい指導が可能なのかもしれない。 25 20 15 % 10 5 0 5人以下 16~20人 塾にかかる関連費 多数派である小学校(公立)と中学校 (公立)においては、受講率は横ばい であったが、塾・予備校関連費は減少 の一途である。 平成11年度は平成9年度と比べて、 中学校(公立)で-11%、高校(公 立)では何と-26%となっている。高 校は公立・私立とも塾・予備校関連費 が大き く減少している。 出典:保護者が負担する教育費調査(東京都教育庁) 塾通いの時間帯 生徒達は平均して6時すぎに塾に出かけ9時すぎに帰宅する生活を送っている。 そして、週に3日そういう生活が続くのだから生活リズムが崩れるのも無理はな いだろう。 40 45 35 40 30 35 25 30 20 % % 20 15 15 10 10 5 0 25 5 5時前 6時台 8時以降 0 7時前 9時台 塾に行く日数 週に3日行くのが一番多く、全体の45% に相当する。 45 40 35 30 週3日以上、塾に通う割合は、中1で 53%、中2で60%、中3で73%と年を重 ねるごとに増えていく。 25 20 15 10 5 0 1日 4日 塾のよいところ 投書欄のデータソースをすべてチェックして、人々は塾のどんな点を評価し ているのか探った。 教師の質、やる気が学校を上回るという言及は多かった。 「生徒達の知的好奇心を満たす。」「学力をつけさせることができる。」「受験 に有利になる。」など、子供の学力向上に関しては「塾」は有効であるとされ ている。 「服装やしつけにうるさくなく、リラックスできる。」「塾でしか会えない友達が できる。」など、「塾」が精神的な余暇になっている例もあった。 「土日の休日の分を塾にあてる」といった、「塾」がゆとり教育の受け皿に なっている例もあった。 障害者のための塾など、多様なサービスを展開している塾についての話題 もあった。 塾の悪い点 「塾」に関する生データ1000件から、塾に関して寄せられた悪い点を集めてみた。 最も多かったのは「時間がなくなる」や「家族団欒が失われる」といった、「時間」に関するものが 多く35件あった。少ない子供たちは、部活動と塾で朝晩ちょっとしか顔を合わせません。 次いで、多かったのは金銭的に苦労を強いられるという意見が13件あった。 他には、「中高生の子を持っていて、塾や家庭教師のしつこい勧誘電話を受けたことのない人は いないだろう」といった、勧誘に迷惑している(10件) 「幼児の円形脱毛症、アレルギー、拒食、過食、引きこもり、不登校、そして、胃カメラをのむほど の胃痛に悩みながら塾へ通う小中学生……。」といったストレスがたまる(8件) 「経済的な理由により塾通いもできないし、親からいろいろと教わるのもあまり期待できないのが 現実だ。」といった、偏差値や裕福さによって差別が生じるという意見が8件あった。 珍しい例としては、安全面での不安などがあった。 塾に、行く、ない 塾に、行く、ない で調べたところ、11件の検索結果が得られた。 その中で、最も多かった(11件中5件ずつ)意見は、「より学力を伸ばしたくても、 塾に行かなければ子供の学力に応じた教育を受けられないのが現状であ る。」のような学校や教育機関に対する要望あるいは批判に関するものと今の時代 を捉えたものであった。 次に多かったのは、塾に行かなくても大丈夫だと言う意見だった。 これらの意見から分かるように「塾」は、行きたい子供や行かせたい大人が行かせる ものではなくなっており、基本的には「行かなければいけない」もので、大丈夫だと 思う人や、どうしても行きたくない人達が行かないものになってきているようだ。 塾に、行く、せる 塾に、行く、せる で調べてみると12件の結果が得られた。 その中で最も多かった(12件中5件)のは、「きちんとした学力がつかないのであ れば塾に行かせるしかないのかと思う。」 といった、先と同じく学校などの教育 機関の不甲斐無さを嘆き、塾に行かせるほかはない、という意見だった。 次いで多かった(12件中3件)のが、「 決して塾通いに反対しているわけではな いが、家にいる時間を割いてまで塾に行かせるのはどうだろうと思う。」 のよ うな、塾に行かせるべきなのだろうかいう意見だった。 これらの意見から、学校に頼るのではなく、自分達でどうにかしなくてはいけないとい う考えを持った人が多くいることが分かった。しかし、親達はやはり塾通いに対して良 いイメージは持っておらず仕方なく行かせるしかないといったような意見が多かった。 塾と学校 Webgeeを使って、塾と学校について調べてみた。 「塾では納得できる説明がすぐ得られ、学校では先生がしどろもどろで次の時間まで に調べてきますと答えるのでは、学校での時間が無駄に感じられても仕方ないと思 います」のような、塾の方が学校よりも優れているといった学校を非難する意見が多 く感じられた。 しかし、「分からない点は寄り添って声かけをし、子供も本音が言える場として、塾は 学校にない一面をもちます。」のような、学校にしか出来ないこともあるという学校を 擁護する意見もそれに次いで多かった。 このように、塾は学校の教師よりも教えるのが上手で勉強をするには良いが、マナー などを教えることはあまりない。それに反して、学校は塾では教えられることのないよ うなマナーや行儀を教えるといった風に役割が分担されつつあるように感じる。 塾、経営 塾を設立するための免許や公共機関の認定がいらず、すぐに立ち上げるこ とができるせいか、経営に関する話題が10件みつかった。 例… 教師を退職後、塾を経営して15年。 私自身、三十年近く塾を経営し、夏のキャンプもしてきたが、 父と子のスキンシップを大事にし、共に勉強するため、58歳で商社を 定年退職したのを機に、小中高生対象の学習塾の経営を始めた。 ・ 1兆円市場と呼ばれている教育産業だが、その大半は個人経営の中小規 模の塾であるものが多い、という事実も、投書欄に寄せられた塾経営の話 題の多さを見るとうなづける。 人々が持っている「塾」の意味世界 塾は時間を奪う。 塾はお金がかかる。 塾は受験競争を煽るものだ。 通塾するとストレスがたまる。 塾に行けば学力が上がる。 通塾に対する義務感がある。 塾の勧誘の電話やダイレクトメールなどで迷惑がられている。 ビジネスとして始めやすい。 以上のようなどちらかというと塾に対するネガティブなイメージが多く目に付いた。 日本の教育のこれから 皆に平等に機会を与えられるよう、勉強を塾任せにしない環境を学校が作り、必ず塾 に行かなければいけないという現在の変わった風潮を改める必要がある。 それをするには、塾と学校が協力して互いに授業の質を高め合うようにするなどの手 段を取るべきだ。例えば、学校の教師らが塾講師に教える際の技術を教えてもらうよ うにして。 また、中学や高校の入試に関しても、塾に通って習わないといけないような技術を必 要とする問題ではなく、頭を上手に使うような良問を出すべき。 塾側も過剰な勧誘などは帰って自分達の塾の評判をおとすことに気づくべき。 塾は、家族に対して、どのように時間を使っているか説明するべき。 料金が高くて塾に通わせることができない、という人のために学習指導を専門とした NPOのようなものができると良いのでは(地域密着型の学生家庭教師サークルの発 展型、あるいは、教師志望の学生らに授業を持たせてみるなどして)
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