ダウンロード

【報告】第二回 農業女子フォーラム
主
催: 公益財団法人全国学校農場協会
後
援: JT生命誌研究館
一般社団法人アグリフューチャージャパン
一般財団法人森永エンゼル財団
公益財団法人ハイライフ研究所
株式会社農文協プロダクション
図-1 第二回 農業女子フォーラム フライヤー
「農業高校を潰そうっていう人は、何を食べ
ビックリしたのだろう。橋本さんは「(農業に
て生きてるんですか。実際、農業高校を潰して、
接する)きっかけがほしい。きっかけがほしい
将来何を食べて生きていくんですか。」
のに。
」と目に涙を浮かべた。大阪府立園芸高
等学校三年生の中塚ゆめさんは「小学生に農業
大阪府立枚岡樟風高等学校三年生の橋本夢
さんの言葉が参加者の心をえぐった。
高校を進めている。ずっと残しておいてほしい。
自分の子供にも行ってほしい。
」と願った。大
阪府立農芸高等学校三年生の中尾樹里さんは
「第二回 農業女子フォーラム」の会場、J
「毎日、家に帰って今日の(学校での)話をす
T生命誌研究館(大阪府高槻市)の館長、中村
ごくする。
」といった。そして、口を揃えてい
桂子先生が、国による農業高校減らしを憂いて
った。
発したコメントを受けて、女子生徒たちが反応
した一幕である。彼女たちは、全国的に農業高
「学校が楽しい。」
校が減っている現状をはじめて知って、きっと
「農業が楽しい。」
中村先生は「人間は生き物」
「人間は自然の
座学だけの日は学校へ行きたくなくて、そん
一部」だということを生命誌絵巻(扇型で人間
な日の放課後は「畑行こっか?」と話になる橋
がその他の動物と同等に並んでいる絵)で解説
本さん。牛が気になるからって、朝 7 時に登校
してくださり、それを考えるベースが農業で、
し、日に 2 回の搾乳をする中尾さん。野菜販売
この当たり前のことを生活のベースにするべ
の定期市で、ビラの作成からポスティング、お
きだと仰った。
客様へのアンケートまで、とにかく動き回る中
塚さん。女子生徒たちのイキイキと充実した
先生のこの想いは、福島県喜多方市の小学校
日々、真っ直ぐな言葉が会場にはあった。
で、時間割の中に「農業科」が入る形で実現し
ている。算数や国語と同じように、農業が一年
「農業クラブの発表をもっともっともっと
中小学生の頭の中にある。地域と学校が繋がる。 もっと今の経済界の人たちに聞かせたら、ビッ
子どもとお年寄りが繋がる。教育とは、自分が
クリ仰天すると思う。先生方には(外部への発
育つことであり教えることではない。喜多方市
信を)頑張っていただきたい。」「現場が大事。
の小学三年生は農業科の活動を通して「夢の始
抽象的に“いのち”っていっててもダメ。現場
まりは学校から!」という作文で将来農家にな
を大切にして、若い人たちを大切にしていきま
ると宣言している。
しょう。」と中村先生は熱い。
熊本県南阿蘇村で農業を営む大津愛梨さん
第二回目を迎えた農業女子フォーラムは「教
は、基調講演で農業・農村生活のすばらしさ、
育の原点としての農業・農村」がテーマだった。
そこで暮らす子どもたちのイキイキとした表
そして、このテーマに共通する結論は、現場感
情を紹介してくれた。
「子供がハイハイをはじ
覚の大切さであり、実学主体の農業高校の必要
めたのは、目の前のカエルを捕まえたかったか
性である。
ら。
」と、ユーモアを交えて伝えてくれた。ま
た「大学の必須科目に農業を入れるべきだ。
」
と力説した。
教育の原点は、農業高校にこそある。そして、
その魅力を外部へ広く発信することが、農業高
校、農業・農村、更には、一般生活者の方々の
モデルでトライアスロン日本代表、岐阜の実家
ライフスタイルをより良い方向へ導くに違い
で農業を手伝う丹羽なほ子さんは「食べるもの
ないと確信することができた。最後に、司会・
を作る。普段から五感を刺激して、すごく学ん
進行役の徳山先生、沼尾ひろ子さん、すべての
でいる。野生の感覚。研ぎ澄まされていく。自
関係者の方々へ感謝申し上げます。
然の中でしか学べない。
」といった。
アグリフューチャージャパンの岡部由美子
さんは「農業高校は元気!東京の普通科高校っ
文責
川野了 KAWANO Ryo
て既製服みたいなんです。既製服に当てはまら
ない子供が弾かれてしまう。」といった。
パネラーの皆様に共通しているのは、現場感
覚のある教育の重要性である。
【農業女子フォーラムプロデューサー】
広島県広島市出身。東京農工大学大学院
農学研究科を修了後、広島県(農業土木
職)、日本工営株式会社(農村施設室)を経て、里山再生コン
サルタント アグリダイレクト株式会社を設立、同社代表取
締役に就任、現在に至る。農業高校支援機構 理事他。