ウサギにまつわる民話 お月さまに行ったウサギ①(日本の民話) むかしむかし、サルとキツネとウサギが、神さま のところへ行きました。 「神さま、どうかお願いです。こんど生まれてくる時 は、人間にしてください」 すると、神さまが言いました。 「人間に生まれたいのなら、自分の食べ物を人間 にごちそうすることだ」 そこでサルは山へ行き、クリやカキの実を取って きました。キツネは川へ行って、魚を捕まえてきま した。 ウサギにまつわる民話 お月さまに行ったウサギ②(日本の民話) ところがウサギの食べ物は、やわらかい草です。 今は冬なので、やわらかい草は一本もありません。 (こまったなあ。どうしよう?) ウサギはガッカリして、サルとキツネのいるところ へ戻ってきました。 「ウサギさん、きみのごちそうはどうしたの?」 「だめだよ。草はかれているし、木のめは、まだ出 ていないんだ」 ウサギにまつわる民話 お月さまになったウサギ③(日本の民話) すると、サルが言いました。 「それじゃウサギさんは、いつまでもウサギのまま でいるんだな」 「そうだよ。ごちそうも持ってこないで人間に生まれ かわりたいなんて、ウサギさんはずるいよ」キツネ も、怒って言いました 「ごめん。でも、もう一日だけ待って」 次の日、ウサギは山へ行くと、かれ木をひろい集 めてきました。 ウサギにまつわる民話 お月さまになったウサギ④(日本の民話) そしてサルとキツネの前に、かれ木をつみあげ て言いました。 「今からごちそうを焼くから、火をつけておくれ」 サルとキツネが火をつけると、かれ木はパッと燃 え上がりました。 「ぼくのごちそうはないんだ。だから、だから、ぼく を人間に食べさせておくれ」と、言うなり、ウサギ は火の中に飛び込んだのです。 ウサギにまつわる民話 お月さまになったウサギ⑤(日本の民話) その時、空の上から神さまがおりてきて、さっと ウサギを抱きかかえると、また空へのぼっていき ました。 サルもキツネも、ビックリ。 すると、神さまが言いました。 「サルもキツネも、きっと人間に生まれかわ れる だろう。なにしろ自分の大切な食べ物を、人間に ごちそうしようとしたからね。それは、とても素晴ら しい事だよ。 ウサギにまつわる民話 お月さまになったウサギ⑥(日本の民話) でもウサギは、もっと素晴らしい。 自分をすててまで、人間に食べさせようとしたの だからね。 ウサギをお月さまの国で、いつまでも幸せにして あげよう」 神さまにだきかかえられて、ウサギは空高くの ぼっていきました。 その時からウサギは、お月さまの中で楽しく暮ら しているという事です。 福娘童話集許可転載<http://hukumusume.com/douwa/index.html>
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