概要(6/5~19) • 重積分(2重積分) 第6章(§5は除く) – 重積分の定義 • 積分領域が長方形の場合(§1) • 一般の積分領域の場合(§2) – 「連続関数は積分可能」 – 累次積分(重積分の具体的な計算方法) – 積分の変数変換(§4) 1 重積分(導入:1変数関数の積分) • 1変数の場合:定積分=面積 b S f ( x)dx a a b b • 体積の計算(高校数学) V a S ( x)dx – x 方向に垂直な断面の断面積 S(x) の積分 – 特に:回転体の体積: 半径が f (x) の円を断面とする立体: b V { f ( x)}2 dx a a b 2 重積分(導入): リーマン積分 • 1変数の場合、x 方向を分割し、各小区間 では面積を長方形近似してその極限を考 えた。(長方形の面積=縦×横は所与) • 2変数(重積分)の場合、直方体で体積を 近似してその極限を考える。 • 何が難しいか – 底面(=領域 A)の形がすでに多様。(§2) – 極限の取り方の自由度が大きい。 3 話の道筋 (§1、2) • 重積分: 積分領域が長方形の場合 – – – – 定義: (6.1.3), (6.1.4) ... ダルブー和による定義 「連続関数は重積分可能」(定理 6.1.5) リーマン和への一般化 (6.1.6), (6.1.7) 累次積分 (6.1.8) • 重積分: 積分領域が一般の場合 – – – – – 準備: (6.2.1)~(6.2.4) 定義: (6.2.5) 「連続関数は重積分可能」(定理 6.2.6) 累次積分 (6.2.7) 重積分の性質 (6.2.8) 4 重積分の定義 (6.1.4) • 長方形領域 E [a, b] [c, d ] a x0 , x1 , x2 ,....,xm b P: c y0 , y1 , y2 ,....,yn d – (下ダルブー和) s( f ; P) mij wij mij xi y j – 分割: – (上ダルブー和) S ( f ; P) Mij wij Mij xi y j – 「積分可能」 分割 P を細かくしたとき S ( f ; P) s( f ; P) 0 5 重積分の定義 (6.1.7) • リーマン和: R( f ; P, X ) f (i , j )wij f (i , j )xi y j • 一般に次の関係が成り立つ s( f ; P) R( f ; P, X ) S ( f ; P) • したがってリーマン和が定数に収束するな ら積分可能 (命題 6.1.7) (このほうが普通の積分の定義) 6 長方形領域での重積分 • 例として、f (x,y) = xy の領域 [0,1]×[0,1] での積分を考える。(板書) • これが累次積分: D 1 f ( x, y )dxdy xydxdy D 0 1 xydy dx 0 によって計算できることは先週見た。 7 重積分の記法 • 重積分 A f ( x, y )dw A f ( x, y )dxdy A f ( x, y )dxdy ただし dw dxdy(面積素片) • 累次積分 b d ( x) a c( x) dx b d ( x) a c( x) f ( x, y )dy f ( x, y )dydx 曖昧さを避けるなら: d ( x ) f ( x, y )dydx a c ( x ) b b d ( x) a c( x) f ( x, y )dxdy y d ( x) dx f ( x , y ) dy x a y c ( x ) x b 8 定理 (6.1.5), (6.2.6) • 定理: 「連続関数は積分可能」 • 連続関数に関する次の2つの定理が基礎 – 定理 (5.7.9) (最大最小定理) 連続関数は有界閉集合上で最大値・最小値をと る。 – 定理 (6.1.2) (一様連続定理) 連続関数は有界閉集合上で一様連続である。 9 一般の積分領域(概要) • 上下が連続関数で区切られたものを考える。 A {( x, y) | a x b, c( x) y d ( x)} • A を覆う長方形を考え、その中で f ( x, y) ((x, y) A) f ( x, y) ((x, y) A) 0 * とする。f* は境界上では不連続だが、極限で はその影響は 0 に収束する。 10 面積 (6.2.1) 1 • 点集合 A に対し、 DA ( x, y) 0 右の D をその A ((x, y) A) ((x, y) A) 定義関数(ないし特性関数)という • DAが積分可能なとき A は「面積を持つ (面積確定)」という – 要するに、高さ1の立体により面積を定義した ことにあたる。 – DAは連続関数ではないから、積分可能とは限 らない。積分不能なら面積が存在しない。 11 面積 ⇒ 積分 • 領域: A {( x, y) | a x b, c( x) y d ( x)} は面積確定 (6.2.3) • A での積分は: f ( x, y) ((x, y) A) f ( x, y) f ( x, y) DA ( x, y) ((x, y) A) 0 * を長方形領域で積分したものとして考える • f *(x,y) は A の境界上では不連続:極限を とればその影響は無視できる。(6.2.6) • 累次積分による計算 (6.2.7) 12 積分問題の解法 • 積分領域 A, 被積分関数 f (x,y) を決める – 応用問題ではここが一番重要、かつ中心的 • Aを A {( x, y) | a x b, c( x) y d ( x)} ないし {( x, y) | c y d , a( y) x b( y)} の形で表す。 – – – – ここも実際には結構問題 x, y のどちらを主変数にとるかを考える 1つの領域で表せない場合は適宜分割する 対称性なども考慮して計算を簡単にする 13 積分領域の表し方 • 実際には与えられた積分領域 A を、累次 積分できる形にどう表すかは問題 – 例: A {( x, y) | 0 x y 1} A {( x, y) | x 2 y 2 1} A {( x, y) | f ( x, y) 0} 等々 • 最後の場合、 f ( x, y) 0 の等高線を求める 必要がある。 14 累次積分の計算 b d ( x) a c( x) dx d ( x) f ( x, y )dy f ( x, y )dy dx a c( x) b • 内側の積分は、x を定数として y による積 分を行う。一般には上下端にも x が出てく ることに注意。 • その結果は x の関数 S(x) なので、それを x について積分する。 • S(x) は「断面積関数」にあたる。 15 累次積分の計算(2) • 計算の場でも、対称性などをうまく利用する、 領域を分割するなどで計算が楽になる。 • x→y の順で積分するか、 y→x の順で積分 するかにより、計算量がかなり違う場合があ る。 • それどころか、順序を変えると(初等関数の 範囲で)計算できない場合もある。 (教科書 p.224 の例 4) 参照) 16 Matlab による積分の計算 • 定積分・重積分(累次積分) >> syms x y; >> f = x*y; % 被積分関数 >> int(f, x) % 不定積分 >> int(f, y, 0,1) % 定積分 >> int(ans, x,0,1); % 重積分 >> int(int(f,y,0,1),x,0,1); % 一度にやる場合 • ただし、関数によっては必ずしも計算できる とは限らない。 17 積分の変数変換 (6.4.1), (6.4.2) • 一般には、x=x(u,v), y=y(u,v) で変換の ヤコビアン(ヤコビ行列式)を xu ( x, y) J det (u, v) xv とすると、 D yu xu yv xv yu yv f ( x, y )dxdy * f * (u, v) | J | dudv D • (6.4.3) は極座標の場合: D f ( x, y )dxdy D* f * (r , )rdrd 18 積分の変数変換(2) • 「面積要素」: dxdy | J (u, v) | dudv – xy 座標系で縦横 dx, dy の長方形の面積 ⇒ uv 座標系では(1次近似で)平行四辺形 その面積比が |J(u,v)| • なぜ絶対値がつくか? – 「面積」だから(非負値をとる)...... なんだけど... – J の符号は座標系の「向き (orientation)」に対応 ⇒ 鏡像かそうでないか (行列式 det の符号は、変換の向きを表す) 19 積分の変数変換(3) • なぜ絶対値がつくか?(続き) – 向きを考えれば、 dxdy dydx とすべき – ただしこれは普通の積ではなく、 「外積」と して扱う必要がある b a – 1変数の積分の a f ( x)dx b f ( x)dx も、 x x という座標系の反転として考えること ができる 20 変数変換を行う場合 • 積分領域 D が簡単な形になる。 • 被積分関数 f (x, y) が簡単な形になる。 • その両方。 • 具体例は以下に記すほか、板書で示す。 また補足資料も参照。 21 変数変換の例(1): 線形変換 • 例えば積分領域 A が |x|+|y|≦1 の場合 – 領域の境界は x y 1, x y 1 の4直線 – したがって u x y, v x y といった変換 が有効 uv vu 1 x , y , J (u, v) だから 2 2 2 2 2 1 1 u v 1 2 2 A ( x y )dxdy 1 1 2 2 dvdu 2 3 22 変数変換の例(2): 極座標 • 底面の半径が a、高さが b の直円錐の体 積を求める(回転体の体積でもできるが) r z b 1, つまり z a r a b a – 側面は 心に回転したもの を z 軸を中 2 a b a 2 2 b a b 2 V (a r )rd dr ar r dr a 0 0 a 0 3 23 広義積分 • 積分領域が無限に広がる (6.3.1) • 被積分関数 f (x,y) が∞に発散する (6.3.3) • いずれの場合も、有限の範囲での積分の 極限が収束すれば広義積分が存在 • 重積分・広義積分の有効な例 (6.4.4) e x2 dx 24
© Copyright 2024 ExpyDoc