引退後収入のバリエーションの模索 ≪どんな年金が ほしいですか?≫ 2001年 3月14日 年金理論研究会 川岡 和也 目次 1.引退年齢の多様化 2.年寄り と お金 に対する考え方 3.引退後収入のバリエーション 4.老後生活を支える3本柱? 5.年金の使いみち 6.確定年金(有期年金)か 終身年金か 7.年金額の増減 8.年金額の増減(変額年金) 9.年金制度の財源リスク 10.魅力のある年金とは? 11.本来、年金というものは …… ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ 2 3 4 5 6 7 10 11 12 14 15 1 1.引退年齢の多様化 全員一律の定年年齢から、個人毎の引退年齢の時代へ 様々なライフスタイル 定年延長・再雇用制度の拡充 (何歳で退職するかは各人が決定) 主義・価値観 核家族化 子供の数・年齢 老親との関係 晩婚化 シングル 国の年金の 支給開始年齢の引上げ 蓄え・資産の有無 家を継ぐ・里に帰る 離婚 2 2.年寄り と お金 に対する考え方 ☆ 個人の考え方・価値観 ① 年寄りは そんなに お金を持っていなくてもいい ・金を出すから 口も出す ・世話してるという意識 ⇔ 世話になってるという意識 ・婿・嫁 ⇔ 舅・姑 戦争の原因? ・既に、医療費,交通費,各種施設で優遇料金 ② 年寄りは それなりに お金を持っていた方がいい ・子供・孫から見向きもされない ・同居の場合の生活費 ・収入がない(減る)のは寂しい ・寝たきりになった時の費用が心配 3 3.引退後収入のバリエーション ・勤労収入………通常、少なくなるか、全くなくなる。 ・資産運用収入(金融資産,不動産,etc.) ・資産(金融資産,退職金,不動産,他)の取りくずし ・年金収入………公的年金 企業年金 個人年金 安定的なフロー収入としての魅力 ・リバースモーゲージ ・相続収入 ・その他 4 4.老後生活を支える3本柱?(年金収入という観点から) 公的年金 個人年金 国民共通 個人の意思 ・個人年金 ・ 〃 以外の年金払商品 ・国民年金基金 ・確定拠出年金 ・基礎年金 ・報酬比例年金 企業年金 従業員共通 ・厚生年金基金 ・適格年金 ・確定給付企業年金 ・他の年金(非適年,社内年金,他) ・確定拠出年金 ・etc.…… 5 5.年金の使いみち ゆとりある生活のため ・贅沢,グルメ,旅行,別荘,高級車,クルーザー,etc. ・子におごる,孫に小遣い ・趣味,楽しみ,教養,勉強,他 ・おいしいものを食べたい,他(ちょっとした贅沢) ・交際費 ・毎日の自分の小遣い ・突発的な出費や入院費用等のための蓄え(貯蓄) 基本的な生活費 ・衣,食,住(毎日) 6 6.確定年金(有期年金)か 終身年金か 考え方① 比較的、若いうちに多く必要 確定年金? いつまで? 自分で決められる? 考え方② 年をとってからも多く必要 終身年金? 7 前提:年金のコストは自分で賄う(原資は同額で選択する)という考え方 ① 確定年金を選ぶ人の言うこと ・早く死んで損をする(原資が回収できない)のはイヤ ・年金額が多い方がいい ・そんなに長生きできない ・そんなにいつまでも元気に遊べない,食べられない ◎ 生きてる途中で、年金がなくなってもよい ⇒ ホント? 8 前提:年金のコストは自分で賄う(原資は同額で選択する)という考え方 ② 終身年金を選ぶ人の言うこと ・早く死んだら自分の分も他人が使っていい。どうせ自分は死んだら 使えない。 そのかわり自分が長生きしたら他人の分まで使わせて もらう。 ・終身年金をもらうための条件は、生きているだけでいい。他に何の 努力も要らない。 病気で体が弱っていても、生きてさえいればもら える。 ・年金の形でもらっていると、それを前提とした生活スタイルが出来 あがってしまうので、確定年金だと長生きした時に途中でなくなって 困る。 長生きと言わないまでも、確定の期間が終了して生きていた ら困る。 ・そんなにいつまでも元気に遊べないと言っても、病気をしたら それ なりに費用がかかるし、やはり年金がなくなると困る。 ・長生きした時に後悔するのはイヤ。 9 7.年金額の増減 ☆ 年金額の増減についての考え方(選択理由) ① 逓減または途中で減額する年金額 ・いつまでも元気に遊べない,使えない ・つなぎ年金としての使い方 …… 特殊要因 ② 定額の年金額 ・減るのは寂しい,困る ③ 逓増または途中で増額する年金額 ・インフレ対策 ・増える楽しみ 10 8.年金額の増減(変額年金) ☆ 年金額があらかじめ定まっていない変額年金 ○ 支払い開始前の原資の変額 ……… 単なる投資? ○ 支払い開始後の年金額の変額 ・投資対象の運用に応じて変額 ・インフレ(物価指数),その他に連動して変額 ○ 最低保証年金額の設定 ・最低保証年金額が定まっていないもの ・最低保証年金額が定まっているもの ・最低保証年金額が運用に応じてアップしていくもの ・最低保証年金額が物価,その他に連動して アップ していくもの 11 9.年金制度の財源リスク 期待を裏切られるかもしれない不安 ☆ 受け取る側から見た、予期せぬ制度の財政破綻に対する感じ方・考え方 ○ 公的年金 ・ある程度の漠然とした信頼性と不信感が混在している。 ・制度見直しのたびに、受取り予定額が下がっている。 ・国民共通の制度なので、その時はその時。皆で一緒。 ・激変はないだろう。 ・これだけに頼らない。自助努力は必要。 ○ 企業年金 ・企業の破綻・再編,退職給付制度の見直しが起こり得る。 (制度がなくなるかもという不安,長続きしないかもという諦め) ・支払保証制度があればよい??? ⇒ ・コストの問題 …… 支払保証制度自体の財政破綻 ・元の企業年金制度特有の機能の維持は難しい 12 ☆ 財政破綻に対する感じ方・考え方(つづき) ○ 個人年金 ・預け先の金融機関が破綻する危険性がある。 ・過去の契約の利率が引き下げられるかもしれない。 ・個人の意思で加入するので、預け先の選択は可能。 ・どの金融機関が破綻するかは、長期的には分からない。 ・分散投資が可能。 (・企業の制度として導入されている場合は、その範囲内だけ での分散投資は難しい) 13 10.魅力のある年金とは? 需要ある品揃え ○ 現存の年金で 既にある 魅力的な機能 ・終身年金 ・物価スライド ・逓増年金 ・連生年金 ○ 今後の年金に 期待される機能(一例) ・死亡保障および解約返戻金を大幅に抑えた年金 ・掛金払込みに関して柔軟性があるもの (掛金の増減・中断・一時金拠出等が、変更可能) ・変額年金で、最低保証年金額が、一定の期間毎に、 運用結果の何割かずつアップしていくもの 14 11.本来、年金というものは …… 本来、どちらの年金が理想的なのであろうか? Ⅰ.自分で何も意識していなくとも、一定の年齢から支給される年金 Ⅱ.引退後の生活について自分で考え、準備した場合に、個々人が 設計した内容で支給される年金 ☆ 公的年金は、国民共通の一定水準の生活を保証するという 観点から Ⅰのパターンが適切で、私的年金は、基本的に Ⅱ のパターンが望ましいのではないだろうか 企業年金はどっち ……… ? 15 現在の企業年金のほとんどは、各々の従業員の意識にかかわらず、 同じ会社に勤めていれば、ある程度共通の給付が支給されるしくみ になっている。 その結果、引退後の将来について何も考えていなくとも、勤めていた 会社の違いにより、定年前に計算してみたら意外と出る、あるいは あんまり出ない、といった違いが生じたり、実際にもらってみてから いっぱいあったと気付いた、というケースが出てくる。 また、勤めていた会社によって、年金の給付が終身続く場合と そうで ない場合があり、企業年金制度の設定がない会社も存在する。 現在の企業年金はどちらかというと、 「Ⅰ.自分で意識せずに支給される年金」 と言えるのではないか 16 企業年金の方向性としては …… 本人の意識と関係なく、勤めていた 会社によって老後生活の基盤となる年金収入の 額や期間に違いが生じるというのではなく、原資をもと に、多様性のある給付形態の中からの選択が可能という、 従業員の引退後の生活設計のサポートが用意されて いるという姿が望ましいのではないだろうか。 意見の分かれるところ 17
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