クリティカルシンキングで考える

クリティカルシンキングで
考える
奇跡の治癒
相対主義、真実、そして現実
野口竜矢
奇跡の治癒
• 精神力で癌が治る。
• ビタミンCはあらゆる病気に有効である。
• エネルギーを込めて活性化した水を飲
むと、難病が快方に向かう。
人が上のような奇跡の治癒を信じるに
は次のような理由がある。
①個人的な体験の結果
②医者の権威や所見
③科学的研究によって実証
①個人的体験の例
Aをやって症状が治った。
つまり、Aは有効だ。
しかし、実際は次のような要因も考
えられる。
a.病気は自然に治る
b.プラシーボ効果
c.他の要因(A以外の処置・行動)
②医者の権威や所見の例
医者がAが有効だと言ったら?
医者が言ったことなので多くの人が信じる。
しかし
薬などの効果の有無は、患者を診察したとい
う経験からは導けない。
③科学的研究による検証の例
Aの効果は科学的研究によって検
証されている。
問題点
「科学的研究によって」という言葉は
多用されている
研究方法などによって限界や欠点が
ある
相対主義、真実、そして現実
現実は私たちの表象と無関係に存在するか、それと
もいろいろな表象で独自の現実を作っているのか?
次のような考え方がある。
相対主義
実在論
主観主義
社会構成主義
概念的相対主義
主観主義
各人が自分自身の世界を創造している
しかし
現実には、予想していないことが起こる
(間違い電話などもしたくてしたということにな
る)
信じるものが真実なら、正は誤を含みうる
社会構成主義
大多数が信じれば、それは真実となる
しかし
社会が起こしてきた誤りはどう考えるのか?
(地球は平・太陽が地球の周りを動く)
人は複数の社会に属しているので、どの社
会が本当なのかわからない
概念的相対主義
現実は概念スキーマによって構成され
ている
しかし
私たち人間は相互に理解し、コミュニケーショ
ンをとることができる(他の言語を翻訳するこ
とができる)
実在論
表象と無関係に現実が存在する
表現の仕方はたくさんあるが、表現
されているものはすべての人にとっ
て共通
客観的現実が存在しても、それを異
なった視点で眺められる
まとめ
物事を鵜呑みにしてはいけない
ただ単に反対するだけでもいけない
(いろいろな視点があるから)
仮説を支持する証拠や論理を多面的に検討
し、評価することが必要である
参考文献
T・シック・ジュニア L・ヴォ-ン 菊池 聡
新田 玲子(訳) (2004) クリティカル
シンキング 不思議現象編 北大路
書房