水循環と水質環境

富山県立大学・工学部・環境工学科
オープンキャンパス模擬講義 2008/6/21
健全な水循環と流域環境教育
奥川光治
1.水循環工学講座について
生命と産業を支える水の健全な循環をめざし
ます.
水環境の保全と水資源の有効活用について
研究します.
おもな授業科目
水循環工学
環境計量学
水処理工学1,2
水圏生物学
水質評価学
水理学1,2
環境水質学1,2
環境基礎生物学
2.健全な水循環
自然の水循環と
人工の水循環
国土交通省
水資源部
水資源に関する
基礎データ
(H15年版
ベース)
健全な水循環
「流域を中心とした一連の水の流れの過程に
おいて,人間社会の営みと環境の保全に果
たす水の機能が,適切なバランスの下に、と
もに確保されている状態」
(健全な水循環系構築に関する関係省庁連絡会議)
水循環を取り巻く課題
平常時の河川流量の減少
地下水位の低下,湧水の枯渇
各種排水による水質汚染
生態系への影響
都市化と水害,ヒートアイランド
3.流域環境教育
河川流域全体を一つのまとまりのあるシ
ステムとしてとらえる
健全な水循環について理解を深める
水量,水質の両面から考察する
多様なアプローチを試みる
課題に的確に対処できる技術者として
の能力を養う
流域環境教育プログラムの概要
フィールド実習(コア科目)
システム教育
関連授業科目群
工学的アプローチ
生態学的アプローチ
社会科学的アプローチ
4.コア科目:フィールド実習
関連授業科目群で得た知識を,現場におけ
る体験,実践を通して有機的に関連付け,水
循環をシステムとして考察できるように発展
4年次生前期(必修1単位45時間)
フィールド実習の構成
フィールドツアー
フィールド調査
フィールドツアー
河川の上流から下流,海域まで現況把握
関連機関の協力
水環境をめぐる課題と解決の手法をさまざま
なアプローチで考察
レポート作成
フィールド調査
大学での調査準備
フィールドでの班別調査
大学でのデータ解析・レポート作成
フィールド実習
 流域全体の視点でとらえる
 水循環を質と量の両面から考察する
 工学的,生態学的,社会科学的アプローチを試みる
工学的 生態学的 社会科学的アプローチ
上
流
関連科目群
水量
水質
下
流
流域環境教育プログラムとしてのシステム教育
5.使用器具の紹介
多項目水質計
透明度計
比色pH計
エクマン・バージ
採泥器
バンドーン採水器
定量プランクトンネット
6.調査結果の例
湖沼水質・生物調査
子撫川ダム湖
2006/5/29調査
0
5
水温(℃)
10
15
0
水深(m)
5
冬
10
15
5月
20
25
水温の鉛直分布
水温の鉛直分布
(子撫川ダム湖,2006/5/29)
20
表層で高い
5
6
pH
7
8
9
 植物プランクトンの光合成
 CO2 + H2O → CH2O + O2
0
水深(m)
5
 炭酸平衡
10
 CO2 + H2O ⇔ HCO3- + H+
 HCO3- ⇔ CO32- + H+
15
20
25
下層で低い
pHの鉛直分布
(子撫川ダム湖,2006/5/29)
pHの鉛直分布
 細菌による有機物の分解
 CO2 の生成
 有機酸の生成
表層で高い
DO(mg/L)
5
10
0
15
0
 CO2 + H2O → CH2O + O2
5
水深(m)
 植物プランクトンの光合成
10
15
20
25
底層で低い
溶存酸素の鉛直分布
(子撫川ダム湖,2006/5/29)
溶存酸素の鉛直分布
 細菌による有機物の分解
 O2 の消費
7.おわりに
環境問題へのアプローチ/環境工学の学習
多様な視点が必要
物理,化学,生物,数学など自然科学
経済学など社会科学や人文科学
高校,大学を通じて基礎的な学問をしっかり
身につけられることを期待します.