2004-7-8第34回信頼性・保全性シンポジウム基調講演 新時代の創造的ものづくり -ナノ~大規模システムの信頼性・安全性- 明治大学理工学部情報科学科 向殿政男 わが国の製造業に 明かりが見えた? 2004-7-7:内閣府、7月の景気基調判断を半年ぶ りに上方修正へ 景気動向指数で景気の現状を示す一致指数が 50%を超えるなど、製造業を中心とする企業部 門が改善 2004‐7‐4:中小企業の景況感、7年ぶり高水準 4―6月期の業況判断指数(DI)は前期比5.9ポイ ント改善,約7年ぶりの高水準となった。「大企業 の回復が中小・零細企業にも波及してきた」 マクロ経済回復評価 わが国の「国際競争力ランキング」(*) 1993年------1位 2002年------30位(49ヶ国中) 2004年------23位(60ヶ国 中) (*)ビジネススクールIMD 報告(スイス) わが国を取り囲む現状の変化 景気の長期停滞 デフレ傾向 ・・・・・・→景気は回復基調へ グローバル化 中国の世界の工場化 少子化,高齢化 ・・・・・・→?? ものづくり:これまでの経緯 戦後の安かろう悪かろう→品質管理と生 産技術で克服 石油危機→エネルギー効率性の向上で 克服 ニクソンショックという円高→生産性の向 上で克服 今回のグローバル化,情報化 ,中国の世 界の工場化→??? 何が効いたのか? 中国の好景気? リストラの効果? アメリカの好景気? 長続きするのか? 政府の政策が効いた? ものづくり復活のために, 産官学連携推進会議 知的財産権確立 ベンチャー育成 第2期科学技術基本計画 安心,安全の懇談会 第2期科学技術基本計画 研究重点政策:ナノテクから大規模システム という幅広い分野の中から, (1)ライフサイエンス分野 (2)情報通信分野 (3)環境分野 (4)ナノテクノロジーの4分野 を指定 研究費の投入は効果はあった のであろうか? 研究費バブルの情況を呈している?国の方針は, 決して間違ってはいないと思われる 効率と実効の点で大いに疑問がある IMFの評価:特許の取得率や研究開発投資額で は高い評価,一方,政府の効率性が極 めて悪 い評価 古い税制や規制等が,復活の足を引っ張ってい るのが現状 国の構造改革は,遅々として進んでいない ? 民間の努力で,ものづくりに明る さが見えてきた? ベンチャー企業や新しい産業の創設は少ないと いわれながらも,徐々に増加してきている 世界を相手に高度で知的なものづく,時代の変 化に創造的にチャレンジをしている企業を中心 に,製造業に明るさが見えてきた。 世界的な優良企業が日本を引っ張り始めている マダラ模様 中小企業はまだ実感なし 知的所有権の主張 知的所有権に関して:シャープが台湾の企 業を,富士通が韓国の企業を特許侵害で 提訴 知的で高度なものづくりに関しては,工場 が日本に回帰し始めて居る この意味では,明らかに明るさが見えてき た。 製造業の今後の方向 コストで勝負する時代や量で勝負する時代は終った コスト競争というやり方をわが国の製造業の得意技から もう外す時期に来た 価格以外の品質である機能・性能・信頼性・安全性・感 性・独創性・サービス・ブランド及びスピード等に重点を 置くべきである トップランナーはトップランナーとしての役割,戦い方が あるはずである わが国のものづくりの特徴 現場の技術者が優秀 現場の技術者のモーティベーション が高い ユーザの要求水準が高い メーカはユーザに極めて近いところ にいる ユーザの声を直接反映している 日本のものづくりは独創的 ものづくりでは独創的であれ! *“改善“ 活動――――明らかに独創の一つであ る。 *今後は,もう一つの独創の側面である イノベーションやブレークスルー,すなわち“創造” を重視せよ *改善の連続上には創造はない→発想方法,教 育方法 を変えなければならない 日本のものづくりの方向 自主技術の確立が必須 他に真似できないものを,他に真似で きない高度な技術で作り出す 知的所有権の確立 大事な部分を隠す,すなわちブラック ボックス化 設計の段階からコピー不可能なよう な 仕組みを組み込んでおく 日本のものづくりの方向 人間性,感性の重視:ユーザに目を向 けたものづくり,感性を生かしたものづ くり 安全性,信頼性に重点をおいた知的で 高度なものづくり 伝統的な日本の良さ,日本の文化を大 切にしたものづくり 日本のものづくりの方向 高度な生産技術や高密度実装や技巧を要す る製品を作る 日本でしか作れない製品を作る --------工場は日本へ回帰してくるはず 日本全国で多くの企業が同じような もの を作る時代は終った→オンリーワンの時代 競争相手は,世界であり,国内ではない 信頼,安全を揺るがす 問題の頻発 雪印乳業食中毒等の食品安全 ブリジストン火災事故等の設備安全 出光石油タンク火災等の化学安全 みずほ銀行情報システム障害やソフトバ ンク情報漏洩事故等の情報安全 そして 三菱自動車クレーム隠しの自動車安全 21世紀に望まれる品質は 製品の品質(質,クオリティ):価格,機能,性能,信 頼性,安全性,独創性,感性,サービス,ブランド 性,---21世紀は,安心,安全な社会を求める 信頼性,保全性,安全性は,21世紀に望まれる 安心で安全な社会の構築に最も重要な技術 今後, 製品に対して最も重要視される品質の 側面は,コストではなく,信頼性,保全性,安全性 である 顧客を重視した人間的暖かさと多様さである 性能・機能と信頼性・安全性 信頼性・安全性を伴わない性能・機能 は意味をなさない 製品にとって,信頼性・安全性と性能・ 機能とは車の両輪 これからの時代,新しいイノベーティブ な製品ほど,信頼性・安全性が重要 高度知的製造業と 信頼性・安全性 わが国のこれからの製品は,環境と共に, 信頼性・安全性で特徴を持たせる事で世 界に貢献をしていく事が最も望ましい わが国は信頼性,安全性で世界のトップを 維持すべきである 製造の段階や運用の段階で信頼性や安 全性を確保するのでは,明らかに遅すぎる →設計の段階から 大学の役割は? 本来の大学の役割は 人材の育成 学問的知の体系化 学問的知の継承 息の長い研究の実施 社会貢献 大学を取巻く最近の情況 産学官連携 知的財産センター インキュベーションセンター ベンチャの育成 MOT(技術経営) ---- COE,COL,第三者評価,---- 大学の役割 ものづくりは人づくり 教育:理系の基礎と共に,幅広い教養 と技術者倫理の重視 研究:企業は, 大学の知恵をどんどん利 用 社会貢献:大学で開発され,埋もれている 知恵をビジネスにつなげる努力が必須 →産学官連携 ものづくりはひとづくり ものづくりは人づくり—教育の重視,大学の 知恵,知的財産の利用 高い倫理観を持った技術者の育成:技術者倫 理 高い技術力で品質(質,クオリティ)を高め,創 造できる技術者の育成:独創性,創造性 経営に寄与できる技術者の育成:マネージメ ント能力,経営感覚 大学の役割 経営がわかる技術者,逆に技術がわか る経営者の出現は必須 →MOT(技術経営) 安全を学問として体系化する 工学的な視点を中心に安全学を構築 →安全学 まとめ ピンチをチャンスへ! グローバル化---世界が市場! 中国の世界の工場化---安い消費財の 獲得の好機 ! 少子化,高齢化---高度化,機械化, 効率化の絶好のチャンス! 皆チャンスなり! まとめ キャッチアップのシステムからフロントラン ナーへの仕組みと心構え・文化の変化を!! 日本の良さ,日本の文化を大切にした,世界 に通用するやり方で,世界にないものづくり へ続ける---→変革しかない 常に考える,常に変わる 生産拠点は海外に移っても,技術力ははそう 簡単には移転できない(マネは簡単だが,イ ノベーティブなものは文化と伝統に基づいて いるため困難) まとめ 中小でも,技術力でイノベーティブなところ が多いが,それを生かし,尊重する風土がな かったのではないか?--→知的財産の重視 ものづくりは人づくり--→教育の重視,大学 の改革 基礎からきっちりとデータと共に積み上げて いく地道な研究努力が必要.大学の知識,研 究成果を重要視--→産官学連携推進 高度知的製造業が目標 高度な知的ものづくりに特化 日本でしか出来ないものをつくる 人件費の占める割合などたかが知れて いるだろう 新しい創造的なものづくりにチャレン ジをする企業を中心に 着実にわが国の経済は,回復をしていくだ ろう まとめ 作るものを変える--ナノテクノの分野から大規 模なシステムの分野まで 作り方を変える—IT化,知的ロボット化 作る価値観を変える--ユーザの視点に立った “質(クオリティ)”,特に安全性,信頼性, 感性,そして環境を重視した創造的で,知的 なものづくりに挑戦 常に考え方を変え,挑戦しつづける わが国へ与えられたトップリーダとしての役割 であり,生きる道 まとめ 高付加価値の信頼・安心できるものづ くりは,高度に知的な創造的作業 わが国はこれで世界をリードしていく べきであり,それが出来る国 わが国は,高度知的製造業に特化して いくのが今後の生きる道 日本の大学と手を結ぼう! プラス志向で行こう!!
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