ディジタル信号処理 Digital Signal Processing 第10講 continuous-time signal & system 連続時間信号とシステム Fourier transform:フーリエ変換 Fourier series:フーリエ級数 Delta Function:デルタ(δ)関数 連続時間信号とシステム • ディジタル信号処理システムを理解するため の準備である。 • フーリエ変換とフーリエ級数について理解を 深める。 3.1 フーリエ変換 • フーリエ変換の定義 ∞ F(ω)=∫ f(t) e-jωt dt -∞ フーリエ変換対 象 フーリエ級数対 象 時間領域信号を周波数領域に直す • 周波数成分の大きさF(ω)を知る • | F(ω) |をスペクトラムという • スペクトル(仏spectre) • スペクトラム(英spectrum,複数はspectra) フーリエ変換が存在する条件 ∞ ∫ | f(t) | dt < ∞ -∞ 関数の絶対値の積分値が 有限であるとき, フーリエ変換が存在する フーリエ逆変換 f(t) = 1 2π ∞ ∫ F(ω) ejωt dω -∞ 例題3.1 方形波のフーリエ変換を求める 連続スペクトラム a F(ω)=∫ e-jωtdt = -a ejωt-e-jωt = jω 2sinaω ω 3.1.2 フーリエ変換の性質 • • • • • • • 偶奇性 線形性 対称性 時間シフト 周波数シフト 畳み込み積分 パーセバルの定理 例題3.2 方形波のフーリエ変換 a F(ω)=∫ e-jωt dt = -a ejωt-e-jωt = jω 2sinaω e-ωa ω 3.1.3 スペクトルの打ち切り 例題3.3 方形波のスペクトラムを,ωをある有限値σで打ち切っ たときの様子 3.2 フーリエ級数 • 周期信号 f(t) は,フーリエ級数に展開できる ∞ f(t)=ΣCnejω nt 周期信号は,フーリエ級数に 展開できる 0 n=-∞ 2π ω0= Cn = 基本波周波数 T 1 T/2 ∫ f(t) e-jω nt dt 0 T -T/2 フーリエ級数の係数 例題3.4 方形波列のフーリエ級数 Cn= 1 a ∫ f(t) e-jω nt dt = 1 2sin naω0 0 T -a T nω0 例題3.5 x(t)=1+sinω0t+cos2ω0t の係数Cnを求 める Cn=0.5 Cn=0.5j Cn=1 Cn=-0.5j Cn=0 (n=-2,2) (n=-1) (n=0) (n=1) (その他) 関連記事 スペクトラム 連続スペクトルと離散スペクトル(光を例として) • 線スペクトル=離散スペクトル 山の麓から頂上に至るまでの坂道では、高いところ ほど、そこにある「物体」の位置エネルギーは高くな る。 ここで「物体」を、原子の中にある電子だとすると, 坂道の、高い場所(原子核から遠い位置)にある電 子ほど、その電子のエネルギーは高くなる。 •電子1個が高いところから低いところへ転がり落ちる とき、電子の位置エネルギーが小さくなることの代償と して、その分だけのエネルギーの光を放出する。 このとき、光のエネルギーは、光の周波数をもちいて, 次のように表現される。 E=hν E: 光1個のエネルギー h: プランク定数と呼ばれる、この世に1つの定数 ν(にゅー): 光の周波数 ところが、原子の中においては、坂道は、なだらかな 形ではなく、「階段」になっている。 つまり、電子は、中途半端な場所に存在することがで きず、「階段」の中の「どこかの段」にしか存在できな い。 (この「段」のことを「エネルギー準位」と言う。) よって、電子の位置エネルギーが下がるときも、無限 通りの下がり方があるのではなく、ある段からその下 のどこかの段に落ちる、ということしかできない。 したがって、放出される光も、いくつかの種類の周波 数(ν)だけということになる。 ν = 光の速さ/光の波長 光の波長 = 光の速さ/ν という関係があるので、波長も、いくつかの波長に 限られるわけである。 よって、輝線の波長は跳び跳びの波長になる。 • 連続スペクトル 太陽光のスペクトルは、基本的に連続スペクトルで ある。 線スペクトルになっていないのは、放出する光の源 が熱だからである。 熱放射は、一般に、連続スペクトルになる。 電球も似たようなことで、連続スペクトルの光を出す。 要するに, • すべてのωに対してF(ω)の値があるのが,連 続スペクトル • とびとびのωだけにF(ω)の値が存在するのが 離散スペクトル • 周期信号のスペクトルはω=±ω0,±2 ω0, ±3 ω0,・・・にしか存在しない スペクトラムの分類 • 周期のある連続信号の場合は,離散スペクト ラム • 周期がなく,積分値が有限な連続信号の場 合は連続スペクトラム • 後で説明するが,離散信号については,スペ クトラムに周期性がある。 (周期/非周期)と(連続/離散)の相互関係 • 信号には連続(アナログ)信号と離散(ディジタル)信 号がある。 • また、周期性がある信号と、周期性がない信号があ る。 • スペクトルにも、連続スペクトルと離散スペクトル、 周期スペクトルと非周期スペクトルがある。 • これらは独立ではなく、相互関係が存在する。 連続信号 ←→ 非周期スペクトル 離散信号 ←→ 周期スペクトル 周期信号 ←→ 離散スペクトル 非周期信号 ←→ 連続スペクトル • 連続周期信号は離散非周期スペクトルをもち、 これらの関係を記述するのが「フーリエ級数 展開」である。 • 連続非周期信号は連続非周期スペクトルに なり、これらの関係は一般の「フーリエ変換」 で記述される。 • 離散周期信号は離散周期スペクトルであり、 「離散フーリエ変換」に対応する。 (離散信号は有限であり,有限なものをある規則により変換した結果は 有限であり、それらが連続関数の形をとる場合は、何らかの形で繰り返 し(周期関数)の形をとる。 ) 関連記事終わり 3.3 デルタ関数 ∞ ∫ F(ω) f(t) δ(t) dt =f(0) -∞ ∞ ∫ δ(t) dt =1 -∞ • δ(t-nT) : t=nT のときだけ)1,それ以外の 時刻では 0 という関数 例題3.6 δ(t-t0)のフーリエ変換を求める • δ(t)のフーリエ変換は δ(t)⇔e-jω0 =1 だから, • t0だけ時間シフトすると δ(t)⇔e-jω0 ×ejωt0=ejωt0 例題3.7 cosω0tのフーリエ変換を求める cosω0t=(ejω0t+e-jω0t)/2⇔π{δ(ωーω0)+δ(ω+ω0)} ・デルタ関数列(サンプラ関数) ∞ δT(t)=Σ δ(t-nT) n=-∞ • すべての時刻で1 (単位ステップはある時刻以降1, サンプラはー∞~+∞のすべての離散時刻で1) 質問はありませんか • 今日はここまで • ごきげんよう
© Copyright 2024 ExpyDoc