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スパース周期信号分解による
ブラインド音源分離
B4 稲葉健太
1.背景

音源分離
複数の音源の混合信号から、個々の信号を抽出
音声の理解・認識
音楽信号の解析
様々な音源分離法
従来の方法
1. 複数マイクロフォンを用いる方法
2. 単一マイクロフォンを用いる方法
…2の方法は音源に関する事前情報を用いて分離
する方法が一般的

ブラインド音源分離
事前情報を用いずに音源を分離
2.目的
単一マイクロフォンのブラインド音源分離
処理概要
モノラル
混合信号
周期信号
スパース
周期信号
分解
推定信号
周期信号
振り分け
周期信号
周期信号
推定信号
音源に関する事前情報を用いずに
振り分ける方法を提案

スパース周期信号分解のブラインド音源分離への
応用を検討する
3.スパース周期信号分解
I.
スパース周期信号分解
II.
周期信号
混合信号
スパース
周期信号
分解
周期信号
周期信号
周期信号
4.スパース周期信号分解①

1.
2.
仮定
音響信号は短時間において周期信号とみなせる
観測された信号に含まれる音源の数は少ない
 目的
入力信号 f をできるだけ少ない数の振幅時変周期信号
f p の和へ分解する
1周期毎に振幅が変動する信号

信号モデル
f 
f
p P
p
f :入力信号
fp :振幅時変p周期信号
P :周期の集合
5.スパース周期信号分解②

コスト関数
f :入力信号
fp :振幅時変p
周期信号
2
E 
1
2
f 
f
p P
近似誤差

p
2

p
fp
p P
2
p :荷重
P :周期の集合
スパース
性の尺度
コスト関数の値を減少させることで、
結果にあらわれる周期信号の数を減らす
6.提案する信号群の振り分け
I.
II. 振り分け(k-means法)
推定信号
周期信号
周期信号
振り分け
周期信号
周期信号
推定信号
7.提案する信号群の振り分け①
周期信号群
要素信号群

要
素
信
号
群
第二段階:フレーム間でクラスタリング
p
推
定
信
号
第一段階:フレーム内でのクラスタリング
8.クラスタリングのための特徴量
A
A
基本周波数
f
f
振動スペクトル
共鳴スペクトル
•バイオリンの弦
•歌手の声帯
•バイオリンの本体
•歌手の口腔形状
•同一フレーム内
ほぼ一定
•異なるフレーム間
変化する
倍音スペクトル
A :振幅
f :周波数
音源固有の特徴のため、
異なるフレーム間でも
ほぼ一定
9.共鳴スペクトルの特徴量

ケプストラム
フーリエ変換後のスペクトルを対数で変換し、
さらにフーリエ変換したもの
低周期部分にスペクトル包絡が写像される
A
A
FT
f
q
10.提案する信号群の振り分け②

フレーム内のクラスタリング
振動スペクトルが一定
特徴量として振幅スペクトルを用いたk-means法

フレーム間のクラスタリング
共鳴スペクトルが一定
特徴量としてケプストラムを用いたk-means法
11.音源分離実験

実験条件
フルート(F),トランペット(T),アルトサックス(A),
バスーン(B)の四つの音源を組み合わせ、分離
 理想値とは、要素信号群を源信号との相関係数の
大きい方に振り分けた結果

A+Tの分離結果SNR(dB)
F+Bの分離結果SNR(dB)
A+T
A
T
F+B
F
B
理想値
10.57
9.66
理想値
3.40
3.05
提案法
10.40
9.56
提案法
1.74
1.62
12.まとめと課題



スパース周期信号分解の単一チャネルブラインド
音源分離への応用の可能性を検討した
周期信号群の振り分け法を提案した
◦ スパース周期信号分解で、それぞれの音源を個
別に周期信号へ分解できた場合には、ケプスト
ラムによる振り分けで理想値に近い結果を得た
今後の課題
◦ 分解精度向上のための適切なサンプリング周波
数,周期の設定
◦ より多様な音程をもつ音楽信号での実験