HUES1開発状況

極高真空カソード試験装置の開発
広大院先端 久保大輔 栗木雅夫 飯島北斗
2011.01.11 第8回 高輝度・高周波電子銃研究会
研究の背景・1
 次世代放射光源計画
 ERL( Energy-recovery linac )を利用した次世代放射光源
施設の 計画がKEKで進行している。
 必要とされる電子ビームは
•大電流(100 [mA])
•低エミッタンス(0.1 [mm-mrad])
•超短パルス(100 [fS])
を満たさなければならない。
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従来の熱電子銃では上記の要求に応えることができないため、
新しいタイプの電子銃が必要となる。
研究の背景・2
 NEA-GaAs光陰極
低エミッタンス・大電流で電子ビームを取り出す事が可能。
高い偏極度で電子を取り出すことが可能。
⇒ 次世代放射光源の電子源として最有力。
 寿命問題
他の光陰極や熱電子銃などと比べると電子を取り出すことが
可能な時間(寿命)が短い。
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NEA光陰極の長寿命化に向けた研究を行う必要がある。
NEA-GaAs光陰極
NEA表面形成
NEA-GaAsのバンド構造
GaAs表面にCsを蒸着する。
表面に蒸着されたCsとGaが電気双極子を作る。
真空準位が伝導帯の底よりも低くなり、バンドギャップ相当のエネルギーを
持った光の入射で電子を取り出すことが可能になる。
NEA表面の劣化
Adsorption
Ion back bombardment
NEA表面劣化の原因
残留ガスが表面に付着する。
残留ガスが引き出された電子ビームによりイオン化され、それが逆流し
NEA表面に衝突する。
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真空度の向上がNEA表面の長寿命化につながる。
0号機
広島大学で稼働中の光陰極試験装置。
真空度:7×10-9[Pa]
粗排気
TMP(50L/s)
真空排気
NEGポンプ(310[L/s])
イオンポンプ(160[L/s])
真空容器材質
SUS
NEA形成と寿命測定を同一チェンバーで行う。
初期真空度は7×10-9[Pa]だが、NEA形成の際に真空度が悪化する。
HUES1概要
 Hiroshima University Electron Source 1号機
 極高真空中で光陰極の性能試験 及び 寿命測定を行うこと
を目標とする。
 ロードロック機構を採用する。
 寿命測定用のガンチェンバー
 NEA形成用のプリパレーションチェンバー
という二つの系から成り立つ。
ガス放出係数が小さいと考えられているチタンを使用して、
チェンバーを製作。
HUES1
Laser
真空系 排気試験
極高真空を確立するために
真空排気
クライオポンプ(H2:2700[L/s])
NEGポンプ(H2:1200[L/s])
粗排気
TMP(300L/s)
真空容器材質
チタン
手順
ベーキング
↓
クライオ運転
↓
NEG活性化
↓
クライオ運転
ベーキング
70℃ベーキング
1.4×10-5[Pa] → 4.5×10-7[Pa]
200℃ベーキング
5.1×10-7[Pa] → 1.0×10-7[Pa]
昇温・降温は30℃/hourを超えないように調整。
ベーキング時間はどちらも70時間。
ビルドアップ試験
70℃ベーキング後
200℃ベーキング後
1.1×10-9
[Pa・m3/s]
1.7×10-10
1.1×10-11
[Pa・m3/s]
1.3×10-12
[Pa・m3/s]
[Pa・m3/s]
200℃でベーキングした方が、全ガス放出速度が小さくなる。
クライオポンプ運転
クライオポンプを使用して真空排気試験。(NEG未使用)
degas
青:ベーキング無し
赤:70℃ベーキング後
緑:200℃ベーキング後
200℃ベーキングを行った
後、クライオポンプを運転
し、約20日間引き続ける
ことで10乗台到達が見込
めた。
真空計測:EXG使用。
NEG活性化
Chamber温度:70℃
NEG温度:576℃
活性化中にクライオは
常時運転していた。
NEG活性化
1カ月後の真空度
Cryo off
• 4.3×10-8[Pa] (with TMP)
(1×10-5[Pa] (without TMP))
真空排気試験
 NEGが活性化された状態でクライオポンプを運転した。
(活性化後、2カ月経過)
緑:NEG未活性
赤:NEG活性
クライオポンプを運転して
から約1週間で8×10-10[Pa]
を計測。
8×10-10[Pa]
真空を引き続けると、さら
に真空度の向上が見込め
ることが分かった。
Gun chamber
 寿命測定部の組み立て終了。
 極高真空確立に向けて真空排気中。
Gun chamber ベーキング
NEG活性化
130 hour
昇温・降温は30℃/hourを超えないように調整。
Preparation chamber
NEA形成用チェンバー
真空排気
イオンポンプ(160[L/s])
粗排気
TMP(50L/s)
真空容器材質
SUS
カソードインストール
GaAs結晶(100)
Znドープ(5×1019[/cm3])
インジウムをパックの上で延ばす。
16×16[mm]に切ったGaAsを乗せる。
タンタルキャップで固定。
パックをチェンバー内のホルダーに固定。
ベーキング
40hour
昇温・降温は30℃/hourを超えないように調整。
イオンポンプ運転
NIG degas
現在の真空度:1.4×10-7[Pa] (CCG測定限界以下のため、NIG使用。)
まとめ
 NEA光陰極の長寿命化に向けて、極高真空中で光陰極の
性能試験を行うことのできる装置を設計した。
 真空排気試験を行った。
⇒その結果、8×10-10[Pa]を測定することに成功した。
 NEA形成及び寿命測定ができるように光陰極試験装置を
組み立てた。
 Gun Chamberは極高真空確立に向け排気中。
 Preparation ChamberはNEA形成試験中。
 今後、両者をつなぎ極高真空中でNEA光陰極の性能試験
及び寿命測定を行う。
Back up
クライオOFF
NEA形成手順
Chamber 体積評価
テーブル・パック・ホルダー