マイクロピクセルチェンバー (m

マイクロピクセルチェンバー
(m-PIC)放電部分のSEM観察
神戸大学大学院 自然科学研究科
守谷健司、本間康浩、越智敦彦、吉田圭一、小林正治、松田慎司
2015/9/30
研究の目的
[m-PICの現状]
•MIP粒子(高エネルギー荷電粒子)の検出のためには、
安定した高い増幅率(≧104) が必要
•放電現象が、安定した高い増幅率実現の妨げとなっている
•放電現象に関する研究があまり行われていない
SEM(走査電子顕微鏡)を用いた
m-PICピクセルの観察による放電現象の原因の解明
2015/9/30
m-PIC(Micro Pixel Chamber)
Anode 46mmf
Cathode Hole
236mmf
顕微鏡でのm-PIC画像(×100)
~動作原理~
-
-
-
Chamber Gas
Ar:C2H6=9:1
Cathode
Anode
電極
Ni(anti oxidation)&Cu
2015/9/30
ポリイミド
100mm
放電したピクセル
実体顕微鏡での放電ピクセル画像(×100)
放電ピクセル⇒正常なピクセルに比べて
電極部分に黒ずみがみられるもの
2015/9/30
チャージアップの原理
• 絶縁体に電子が留まり帯電を起こす
• 帯電を起こした結果相対的に表面で加速電圧が低くなる
• 加速電圧が低くなり二次電子放出が高まる
2015/9/30
2次電子像、凹凸像における比較
正常ピクセル(SEI)
放電ピクセル(SEI)
2015/9/30
正常ピクセル(TOPO)
放電ピクセル(TOPO)
オージェ分析
オージェ分析⇒試料の極表面の数nm深さの
組成分析が可能
B点
A点のオージェスペクトル
A点
•ポリイミド上に堆積した
導電性物質は炭素
2015/9/30
B点のオージェスペクトル
ポリイミドの分子構造
ポリイミドの分子構造
代表的なポリイミド⇒デュポン社のカプトン
•オージェ分析では、
導電性物質から窒素は検出されなかった。
•ポリイミド上に堆積した炭素は、
2015/9/30
基板のポリイミドの影響によるものではない。
強制放電実験
顕微鏡でのm-PIC画像(×100)
実験概要◆
炭素を含むエタンのある場合と
無い場合において、
強制的に放電を起こし、
その影響を分析した。
2015/9/30
Chamber Gas
1.Ar:C2H6=1:1, 2.Ar =100%
放電電圧
1.Ar:C2H6=1:1⇒750V
2.Ar =100%⇒450V
ガス中の強制放電実験結果
1.Ar:C2H6=1:1
放電回数=5回
放電回数=10回
放電回数=十数回
2. 純Ar
•放電回数が増加する毎に、
チャージアップ領域が減少
•炭素の堆積に影響を
及ぼしている物質は、エタン
2015/9/30
放電ピクセル(放電回数:2000回)
結論
m-PIC放電ピクセルのSEM観察を行った
•SEMの2次電子像より、放電ピクセルのポリイミド上から
導電性物質が観測された
•オージェ分析より、堆積した物質は炭素
•ガス中の強制放電実験より、炭素の堆積の原因は、
クエンチャーの炭化水素
今後の課題
•放電による炭素の発生をおこさない様なガスの調査
(炭化水素を用いないクエンチャーガスの検討)
•放電をおこさない様な電極デザイン(メッシュなど)
2015/9/30
謝辞
• 京大谷森研究室
2015/9/30