LCAについて2 - 慶應義塾大学 理工学部管理工学科

熊野雄太

Life cycle assessment of building materials
: Comparative analysis of energy and environmental
impacts and evaluation of the eco-efficiency
improvement potential.
◦ Zabalza Bribián, Ignacio
◦ Valero Capilla, Antonio
◦ Aranda Usón, Alfonso
Building & Envilonment;May2011, vol.46 Issue5,
p1133-1140




1、建築物に関して
2、分析方法
3、分析結果
4、結論

世界的に見て建築物が岩石圏(リソスフェア)の資源
の24%を使用している

建築材料が全体の50%以上のエネルギーを消費して
いる

原料製造の段階から建築物デザインに関する改善が
求められる

インパクトカテゴリ(環境への影響を表す領域)
◦ エネルギー使用量(MJ-Eq)
◦ 地球温暖化(kg・CO2-Eq)
◦ 水使用量(literes)
 乾燥をLCAに取り入れる方法はまだない
 川、湖、海、土壌、井戸などの冷却に使用した水の合計。
 水力発電に使用した水は入れない


比較の基本単位は1kg
1𝑚3 単位だと結果が異なる→最後に考察あり

ステージ
1. 建築材料生産
 資源供給、輸送、材料の製造
2. 工場から建設地への輸送
 トラック(20~28トントラックが平均距離100kmを運ぶ)
 鉄道
 海上
3. 建設と取り壊し
4. 最終廃棄

用いたデータベース
Ecoinvent v2.0 datebase
ヨーロッパの平均値を用いたので、それぞれの国に当てはまる
かどうかはその国でのデータの値に依存する

3-1 輸送における環境負荷
◦ 各輸送手段がインパクトカテゴリに与える影響:𝑚𝑖
◦ 積載量1トン当たり
輸送における環境影響
輸送距離:𝑑𝑖
3
𝑚𝑖 × 𝑑𝑖
𝑖=1

3-2 れんがとタイル
◦ ceramic floor tileはエネルギー消費が大きく、水も多く使
用する
◦ 材料によって輸入による負荷がかかる
◦ 材料の製造段階での技術改革が必要
 断続的な窯を連続的に(トンネル窯)
 熱の再利用
 コージェネレーション

3-3 絶縁体
◦ EPSは天然資源のものに比べて環境負荷が高い
◦ 最終廃棄が焼却の場合、天然資源だとCO2排出が98%減
→根本的な建築材料のデザイン改革が必要
◦ 化学合成材料の拡大でウールの市場は縮小し、廃棄物とみ
られている
◦ ウールを使う企業が増えればこの廃棄を安くて豊富な資源に
できる

3-4 セメントとコンクリート
◦ セメントより負荷が小さい混合物が入っているセメントモルタ
ルやコンクリートの方が負荷が小さい
◦ kg単位では負荷はそれほど高くないが、密度が大きいので
𝑚3 単位だと高くなる
◦ セメント製品の製造過程での負荷が大きい
→従来の原料・燃料をもっとエコなものに

3-5 木製製品
◦ 一般的に製造過程の少ない木製製品は負荷が小さい
◦ 主要なエネルギーの69~83%はバイオマスから
◦ 木材の乾燥をかまどから自然乾燥に変えることでCO2を
11%削減できる
◦ 木材の伐採が続けられるなら、森で吸収したCO2を、その木
材の建築物の耐用期間だけ閉じ込めておける
◦ ただ、樹脂に関しては改善の余地あり

3-6 その他
◦ 建築物には多様な材料が使われていて、世界中から集めら
れるので輸送に関わる環境負荷が大きい
◦ 資源の再利用で資源消費・CO2排出を緩和できる
→世界的に進めるべき

3-7 分析方法について
◦ 地域によって重要な項目は異なる(例えば、水不足の地域な
ら水使用量)。ひとつの計算結果だけでは偏った解釈になっ
てしまう。
◦ 1kg単位は建築物のLCAには便利だが、異なる材料の相対
的なメリットを比較するにはふさわしくない
材料によって要求される機能を実現するための量は異なる
環境負荷の点で同じでも、強度などが違うため
しかし、今回のような分析では負荷が同じならどっちでもいい
という結果になってしまう

最適な技術、工場での改革、再利用、輸送距離の最
小化、建築する地域での資源調達など

分析方法によって分析対象の境界が異なるが、結果
として傾向は同じ

建築物取り壊しの際の材料の分解が難しく、結局埋
立や焼却になってしまっている
自動車業界では規制などにより、リサイクルや分
解しやすい部品作りが進んでいる。

建築材料の特性のデータベースを各国で統一するこ
とが必要
政府などが企業にEPDを奨励するべき
◦ EPD・・・製品のライフサイクルを通しての環境負荷が企業の
ホームページなどから消費者にも伝わるもの。外部機関の審
査が必要。



EPDによって競争を促し、資源レベルからの性格な評
価を
建築物の建設は戦略的に、乱立しないように
人口減少も必要