絶滅危惧植物の保全を目的とした公園の維持 管理

絶滅危惧植物の保全を目的とした
公園の維持管理
22117018 越口貴文
目次
目的・背景
調査材料
調査場所
調査方法
結果
考察とまとめ
目的・背景
• 東海地方の固有植物群である,東海丘陵要
素は宅地造成などで数が減っている.
• 希少な植物群なので,生態学的知見が不足
しており保全が難しい.
• これらの保全に適した環境を考えると共に,
絶滅危惧植物の維持を考慮した公園づくり
について考える.
調査材料
マメナシ(Pyrus calleryana Decne.)
•
•
•
•
東海地方の固有種,東海丘陵要素の一つ
絶滅寸前(CR)(愛知県)の樹木
ナシの原種
果実を生産
しているにも
関わらず,個体が
増えていかない.
調査場所
• 愛知県小牧市大草のマメナシの自生地
• マメナシの木が35本自生している
(No.0~No.34)
調査方法
行った調査
• 果実内の種子の個数計数
• 種子の生存率計数
• 種子の発芽実験
これらを元に,マメナシが増えていかない
理由と原因を追究し,解決策を検討した.
調査方法
個数計数
• 果実を割り,中の種子の数を集計する.
→種子を生産した,20本の個体を調べた.
• 個体ごとに分けて,低温湿潤状態で保存.
調査方法
生存率計数
• TTC溶液を用いて各シャーレから10個程度
の種子で実験
• 溶液で浸した種子をインキュベーターを
用いて24時間25℃の暗所で保管
→赤く染色したもの
が生存している.
調査方法
発芽実験
• 残りの種子を用いて6条件で発芽実験
• 10℃/10hr-20℃/14hr
• 15℃/10hr-25℃/14hr
• 20℃/10hr-30℃/14hr
• 定温15℃
• 定温20℃
• 定温25℃
結果
果実ができていない個体があり,果実を作っ
てもほとんど種子を生産しない個体があった.
結果
年ごとの種子の総数に大きな違いが見られた.
結果
生存率はばらついて
いたが,種子の出来の
良い個体,悪い個体には
まとまりがあった.
結果
生存率には大きなばらつきがあり,種子を
作っても死んでいるのもあった.
去年との違いが大きかった.
結果
温度条件によって発芽に違いがあった.
全く発芽しない個体もあった
変温条件の方が定温条件よりも発芽する?
結果
t検定
変温条件,定温条件ともにn=39
t=1.833,P=0.0373
P<α=0.05
変温と定温では発芽に有意な差がある.
(変温の方が発芽する).
結果
生存率と発芽率に相関はなかった.
結果
マメナシが増えていかないのは...
全ての個体が種子を作っているわけではない
↓
出来た種子も死んでいるものがある
↓
発芽に様々な条件が必要である
多くの種子は発芽できない!
考察とまとめ
• 種子ができても生存していないものは,
自家不和合性の結果と考えられる.
→マメナシは自家不和合性.
同じ遺伝子型の個体では種子生産不可
他家受粉を促しマメナシの生息域を広げる
ために,ポリネーター(花粉を運ぶ蜂など)や
果実を食べる鳥を公園に呼び戻す必要があ
る.
自生地に巣箱を設けるなどで多様な公園へ
考察とまとめ
しかし
今年度は大量のハマキムシによって
葉っぱを食べられてしまった(虫害)
→エネルギー不足へ陥り,種子の出来が
悪くなってしまった?
• 農薬で害虫を駆除?
or
• ポリネーターのために農薬は控える?
結果
• 生存率と発芽率に相関がないのは,休眠
状態で発芽しなかった種子があるから.
眠っている種子が土壌中に存在する?
茨城県の霞ケ浦では,土壌シードバンクを
用いて絶滅危惧植物などの植生回復に成功.
マメナシの埋もれた遺伝子を
再生できる?
結果
• 自生地では湿地にするために水位を上げら
れている.
水は比熱が高く温度変化が起こりにくいので,
変温状態になり
やすいように
水位を下げつつ,
様々な環境を
作るべきである.
ご清聴ありがとうございました
東海丘陵要素
• 東海丘陵要素は16種
シデコブシ ヘビノボラズ ヒトツバタゴ
マメナシ ハナノキ クロミノニシゴリ
ナガボナツハゼ モンゴリナラ
シラタマホシクサ トウカイモウセンゴケ
ミカワシオガマ ミカワバイケイソウ
ヒメミミカキグサ ウンヌケ
ナガバノイシモチソウの赤花