金属加工会社における 生産工程管理システムの開発 電子情報システム工学専攻 S0713 清水 邦宏 1 1.はじめに 中小の金属加工会社は,毎日多数の受注を 受けている. 工程管理は帳票などの紙媒体 納期や進捗の確認に時間と手間がかかり,工 場全体の生産性の低下を招いている. 各企業固有の情報を多く扱うため,汎用化が 難しく,導入コストが高くなる. 2 これらの問題を解決するために, 産業技術総合研究所が開発した MZPlatform をベースに,生産工程管理システムを開発する. 3 2. 生産工程管理システムの開発 2.1 共同開発企業の問題点 日報 日報 日報 手入力で打ち込み 電子データ上で確認できるのは前日まで のものである. 手作業での入力は,煩雑でかつミスも多 い. 4 2.2 研究目標 ネットワーク上で利用できる 検索・集計機能の開発. リアルタイムでの工程進捗管理とその ガントチャート化. これら2つの機能を統合した,生産工 程管理システムの開発. 5 開発方針について (1) DBに関して Accessからネットワークに対応したMySQLに 対する機能を開発する. (2) ユーザインタフェースに関して 現行の業務システムを参考に,使い易いよう に開発し,違和感なく新しいシステムの導入を 可能にする. 6 2.4 開発する機能について (1) 各種検索・集計機能 ① ② ③ ④ ロット番号毎の作業時間集計とグラフ化 作業機械毎の作業時間集計とグラフ化 受注先毎の作業時間集計とグラフ化 機械グループ毎の作業時間集計とグラフ化 (2) リアルタイムでの工程進捗管理機能 ① バーコードによる工程情報登録機能 ② リアルタイムでの工程進捗管理機能 7 3. システムの開発 3.1 DBについて ① ② ③ ④ 本システムで利用する4テーブル 作業テーブル 機械テーブル 受注テーブル 工程情報登録テーブル 8 3.2 検索・集計機能について (1) ロット番号毎の作業時間集計 ロット番号 受注データ SELECT Format(日付,‘MM/DD’) as 作 業日,略称,工程名 as 機械名, 工程名2 as 作業名 sum(作業時間) as 作業時間の合 計FROM 作業, 機械 WHERE 作業.機械ID=機械.機械ID AND 作業.ロット番号='U0729' GROUP BY 日付,略称,工程名,工程名2; 集計結果 9 ロット番号毎の作業時間集計のグラフ化 時間1:作業員がメインで行った作業 時間2:作業員がサブで行った作業 10 (2) 作業機械毎の作業時間集計 機械略称 と 検索範囲 作業時間の 合計 集計結果 11 作業機械毎の作業時間集計のグラフ化 12 (3) 受注先毎の作業時間集計 検索範囲 作業時間の 合計 集計結果 13 受注先毎の作業時間集計のグラフ化 14 (4) 機械グループ毎の作業時間集計 機械グループ と 検索範囲 作業時間の 合計 集計結果 15 機械グループ毎の作業時間集計のグラフ化 16 3.3 リアルタイムでの工程進捗管理機能について (1) バーコードによる工程情報登録機能 作業者ID ロット番号 機械ID 開始時間と終了時間と 一緒に登録 工程情報登録テーブル 17 実行画面例 バーコードリーダで 入力 工程情報登録テーブルに登録 18 (2) DBの移行 MySQLはネットワークに対応している. まず,各種検索・集計機能はAccessで開発した. AccessからMySQLへデータを 移行する必要がある MyODBCを利用してデータを移行した. 19 (3) リアルタイムでの工程進捗管理機能 工程情報登録テーブル データを読み込む 20 登録内容確認画面 ガントチャート 選択 登録内容 表示 21 ガントチャート表示 日付 ロ ッ ト 番 号 ユーザがアクセ スした時刻 機械ID 作業中の 工程 作業を終え た工程 22 4. まとめ (1) 各種検索・集計機能 ① ② ③ ④ ロット番号毎の作業時間集計とグラフ化 作業機械毎の作業時間集計とグラフ化 受注先毎の作業時間集計とグラフ化 機械グループ毎の作業時間集計とグラフ化 (2) リアルタイムでの工程進捗管理機能 ① バーコードによる工程情報登録機能 ② リアルタイムでの工程進捗管理機能 2つの機能を統合した, 生産工程管理システムを開発した. 23 システムの効果/有効性 ネットワーク上のどのPC からでも, 各種検索・集計機能が利用できるようにな り,作業効率が改善された. リアルタイムで工程進捗を確認できるた め,稼動ロスが減り,工場全体の生産性 の向上が見込まれる. 24 システムの検証 A社の作業データ1年分に対する各種検索・集 計機能のテストを実施した. リアルタイムでの工程進捗管理機能のフィー ルドテストを実施した. 正常動作を確認した. 概ね良好との評価を得た. さらなる要望が出された. 25 5. 課題と今後の予定 課題 ① 工程情報の登録作業を全てバーコード入力にできない か,また入力ミスがないよう工夫して欲しい. ② 検索・集計結果をExcel形式で保存したい. ③ 作業機械の作業時間集計から稼働コストを算出し,グ ラフ表示して欲しい. ④ 検索・集計機能の作業時間1,作業時間2を合計して表 示して欲しい. ⑤ 進捗情報が失われないようにDBのバックアップが欲し い. ⑥ 全加工工程を通しての工程情報登録作業を行い,それ らのデータに対する工程進捗管理機能のフィールドテ ストを行いたい. 26 今後の予定 要望事項に対する機能修正・追加を行ない, 実運用に耐えうるシステムとして完成させる. 市販されている工程管理システムとの機能比 較/価格比較を行い,本システムの優位性を 客観的に立証する. 27
© Copyright 2024 ExpyDoc