第3章 学習指導要領と生徒指導 (3)新学習指導要領と「生徒指導」(前回確認事項) • 1)学習指導要領で、「生徒指導」という言葉は、どこで出てく るか • ・中学校学習指導要領 – 第1章 総則 第4.指導計画の作成等に当たって配慮す べき事項 – 1.生徒指導の充実 – 2.計画的組織的進路指導 – 3.ガイダンス機能の充実 2015/9/30 2章、3章学習指導要領と生徒指導 1 第3章 学習指導要領と生徒指導 • ・高等学校学習指導要領 – 第1章総則 第5款教育課程の編成・実施に当たって配 慮すべき事項 – 1.個々の生徒の特性等の的確な把握に努め,その伸 長を図る – 2.ガイダンスの機能の充実 – 3.生徒指導の充実 – 4.計画的,組織的な進路指導、キャリア教育の推進 2015/9/30 2章、3章学習指導要領と生徒指導 2 第3章 学習指導要領と生徒指導 • 2)生徒指導の充実とは • ①基本的観点 – 1.単なる問題行動への対応という消極的な面にとどめ てはならない – 2.すべての生徒のそれぞれの人格のよりよき発達を目 指す – 3.学校生活がすべての生徒にとって有意義で興味深く、 充実したものにする 2015/9/30 2章、3章学習指導要領と生徒指導 3 第3章 学習指導要領と生徒指導 • ②三つの観点 – 1.生徒理解 • 多面的、総合的に理解する • 日ごろの人間的ふれあいだけでなく、学年、教科、部 活等広い視野からの理解を深める – 2.信頼関係の構築 • 人間的なふれあい(あいさつ、ことばがけ、会話・コ ミュニケーション) • 生徒とともに歩む姿勢(ともに汗を流す) • 授業等における生徒の充実感、達成感(充実感)を生 み出す指導 • 生徒の特性や状況に応じた的確な指導 • 不正や反社会的な行動に対する毅然とした態度 2015/9/30 2章、3章学習指導要領と生徒指導 4 第3章 学習指導要領と生徒指導 – 3.望ましい人間関係の構築 • 自他の個性の尊重 • 互いの身になって考え、相手の良さを見つけ ようと努める集団 • 互いに協力しあい、主体的によりよい人間関 係を形成していこうとする集団 • 生徒一人一人が存在感を持ち、共感的な人 間関係を育み、自己決定の場を豊かに持ち、 自己実現を図っていく人間関係 2015/9/30 2章、3章学習指導要領と生徒指導 5 第3章 学習指導要領と生徒指導 • 3)ガイダンス機能の充実 – 適切な情報提供、案内・説明、活動体験、各種の援助、 相談活動 • 具体的事例 – a.入学時、新学期時に、生徒自身が学校や学級における 諸活動や集団の意義、内容への理解 – b.新たな学習や学習活動の開始時→これから始まる学 習活動への興味、関心の喚起 – c.選択教科、学習活動のねらいや方法、 – d.進路選択時 2015/9/30 2章、3章学習指導要領と生徒指導 6 第3章 学習指導要領と生徒指導 4)進路指導の充実とは ①生徒が自らの生き方を考え、将来に対する 目的意識を持って、主体的に自己の進路を選 択決定 ②生涯にわたって自己実現を図っていくこと ができる能力や態度の育成 ③特別活動の学級活動を中核としつつ、学校 行事の勤労生産・奉仕的行事における進路に かかわる啓発的な体験活動および個別指導 としての進路相談 ④系統的、発展的な 取り組み 2015/9/30 2章、3章学習指導要領と生徒指導 7 第3章 学習指導要領と生徒指導 • <参考> 進路指導の指針(平成5年文部事務次官通知) – a.学校選択の指導から、生き方の指導への転換 – b.進学可能な学校の選択から、進学したい学校の選択への指 導の転換 – c.100%の合格可能性に基づく指導から、生徒の意欲や努力を 重視する指導への転換 – 2015/9/30 d.教師の選択決定から生徒の選択決定への指導の転換 2章、3章学習指導要領と生徒指導 8 第3章 学習指導要領と生徒指導 • 5)キャリア教育の推進 – ①高等学校学習指導要領においてのみ – ②しかし、小、中、高すべての段階において、「キャリア教育の推進」 という観点から、様々な取り組みが求められている • ・中教審答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の 学習指導要領の改善について」(2008.1.17)の指摘 – ① 生きる力の形成、確かな学力形成上のキャリア教育への期待─ 基礎的・基本的な知識・技能の習得、思考力・判断力・表現力(活用 力)の形成、学習意欲の向上や学習習慣の定着─ – ②キャリア教育それ自体の意義 – 「社会の変化への対応の観点から教科等を横断して改善すべき事 項」の一つとしての「キャリア教育」 2015/9/30 2章、3章学習指導要領と生徒指導 9 第3章 学習指導要領と生徒指導 • 6)留意事項 • ①全教師の協力関係 – ・全ての児童生徒を対象とした取り組みであることから、学校全体の計 画に基づいて組織的に行われる必要がある – ・学校全体における検討、課題の整理 – ・生徒指導は、生徒の個性についての理解を前提として、その成長・発 達過程において行われるものなので、とりわけ学級(H・R)担任教師の 役割が大きい。 – ・その活動を支える生徒指導主事、進路指導主事との協力、連携、さら にはスクールカウンセラーとの協力関係 が必要 2015/9/30 3章キャリア教育の推進 10 第3章 学習指導要領と生徒指導 • ②カウンセリングマインドの理解 • ・生徒の心を共感的に理解する • ・受容的態度 • 「相手の話をじっくりと聞く、相手と同じ目の高さで考える、相 手への深い関心を払う、相手を信頼して自己実現を助ける ことが中心。こうした姿勢を備えることによって、子ども達と の間に共感的な関係を作り、子供たちから信頼される相談 相手となりうる」(1998年中教審答申) 2015/9/30 3章キャリア教育の推進 11 第4章 キャリア教育の推進 • (1)「キャリア教育」の展開 – ①「キャリア教育」という文言が、文部科学行政関連の審議会報告 等で初めて登場したのは、中央教育審議会答申「初等中等教育と高 等教育との接続の改善について」(平成11年12月) – ② 「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告 書」(平成16年1月) – ③小学校・中学校・高等学校キャリア教育推進の手引-児童生徒一 人一人の勤労観、職業観を育てるために-(文部科学省平成18年 11月) – ④中教審答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学 校の学習指導要領の改善について」(2008.1.17) – ⑤今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について( 第二次審議経過報告)(2010.5.13) 2015/9/30 3章キャリア教育の推進(2) 12 第4章 キャリア教育の推進 • (2)諸概念の定義 – ①「キャリア」 • 「個々人が生涯にわたって遂行する様々な立場や役 割の連鎖及びその過程における自己と働くこととの関 係付けや価値付けの累積」(②) – ② 「キャリア教育」 • 「キャリア」概念に基づき「児童生徒一人一人のキャリ ア発達を支援し,それぞれにふさわしいキャリアを形 成していくために必要な意欲・態度や能力を育てる教 育」ととらえ,端的には,「児童生徒一人一人の勤労 観,職業観を育てる教育」(②) 2015/9/30 3章キャリア教育の推進(2) 13 第4章 キャリア教育の推進 • (3)キャリア教育の意義 – ①キャリア教育が求められる背景(①) – 「出口」に関わる課題 • 若者のフリーター志向の広がり,無業者の増加,就職 後の早期離職等,「学校から職業への移行」にかかる 課題 • 卒業後の職業生活を視野に入れた接続全体の在り 方を検討する必要 • 「学校教育と職業生活との接続」=「学校から職業へ の移行」にかかる課題の克服 – 「小学校段階からの発達段階に応じたキャリア教育の推 進」 2015/9/30 14 3章キャリア教育の推進(2) 第4章 キャリア教育の推進 – ①キャリア教育が求められる背景(②) – (1) 就職・就業をめぐる環境の激変 • 経済のグローバル化による競争強化によるコスト削 減、経営の合理化による雇用調整等 • 経験者採用や中途採用,外部委託等の比重の増加 • 正規雇用から一時的・非正規雇用(アルバイトやパー ト等)への切り替え • 求人の減少 – 将来の生活や社会人・職業人としての生き方を描くこと が困難 2015/9/30 3章キャリア教育の推進(2) 15 第4章 キャリア教育の推進 – (2)若者の勤労観,職業観や職業人としての基礎的・基 本的な資質・能力をめぐる課題 • 働くことへの関心,意欲,態度,目的意識,責任感, 意志等,勤労観,職業観の未熟さ • コミュニケーション能力や対人関係能力,基本的マナ ー等,職業人としての基礎的資質・能力の低下 • 社会の一員としての意識の希薄化 – (3)若者の意識の変化 • 精神的・社会的自立が遅れ,人間関係を築くことがで きない,進路を選ぼうとしないなどの子どもの増加 • いわゆるモラトリアム傾向が強くなり,「とりあえず」進 学したりする若者の増加 2015/9/30 3章キャリア教育の推進(2) 16 第4章 キャリア教育の推進 2015/9/30 3章キャリア教育の推進(2) 17 第4章 キャリア教育の推進 – ②キャリア教育の意義(③) – 子どもたちが「生きる力」を身に付け、社会の激しい変化に流される ことなく、それぞれが直面するであろう様々な課題に柔軟にかつたく ましく対応し、社会人・職業人として自立していくことができるように する教育の推進が強く求められている。 – 「キャリア発達」支援の必要性の増大 – 自分の過去・現在・将来を見据え、社会との関係の中で自分らしい 生き方を展望し実現していくことは、自己の確立として青年期の発達 課題とされてきたが、生涯にわたっての課題ととらえるべきである。 2015/9/30 3章キャリア教育の推進(2) 18 第4章 キャリア教育の推進 – ③ 「生きる力」形成上のキャリア教育の意義 • 新学習指導要領の狙い – ・「生きる力の形成」 – ・ とりわけ「確かな学力」の形成 » 基礎的・基本的な知識・技能の習得、思考力・判断力・表現力 (活用力)の形成 – ・学習意欲の向上や学習習慣の定着 – ・「観察・実験やレポートの作成,論述など体験的な学習,知 識・技能を活用する学習や勤労観・職業観を育てるための キャリア教育などを通じ,子どもたちが自らの将来について 夢やあこがれをもったり,学ぶ意義を認識したりすることが 必要である。 – 「社会の変化への対応の観点から教科等を横断して改善す べき事項」の一つとしての「キャリア教育」 2015/9/30 3章キャリア教育の推進(2) 19 第4章 キャリア教育の推進 • (4)各発達段階におけるキャリア教育 – ①キャリア発達にかかわる諸能力 • • • • 1.人間関係形成能力 2.情報活用能力 3.将来設計能力 4.意思決定能力 – ②獲得されるべき諸能力 2015/9/30 3章キャリア教育の推進(2) 20 第4章 キャリア教育の推進 2015/9/30 3章キャリア教育の推進(2) 21 第4章 キャリア教育の推進 ③キャリア教育の推進 2015/9/30 3章キャリア教育の推進(2) 22 第4章 キャリア教育の推進 • (1)「キャリア教育」の展開 – ①「キャリア教育」という文言の登場 • 中央教育審議会答申「初等中等教育と高等教育との接続の改 善について」(平成11年12月) – ② 「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告 書」(平成16年1月) – ③小学校・中学校・高等学校キャリア教育推進の手引-児童生徒 一人一人の勤労観、職業観を育てるために-(文部科学省平成18 年11月) – ④中教審答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学 校の学習指導要領の改善について」(2008.1.17) – ⑤中教審答申「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り 方について(2011.1.31) 2015/9/30 3章キャリア教育の推進(2) 23 第4章 キャリア教育の推進 • (4)各発達段階におけるキャリア教育 • • • • 1.人間関係形成能力 2.情報活用能力 3.将来設計能力 4.意思決定能力 – ②獲得されるべき諸能力 2015/9/30 3章キャリア教育の推進(2) 24 第4章 キャリア教育の推進 2015/9/30 3章キャリア教育の推進(2) 25
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