MIMO MC-CDMA方式の ビット誤り率に関する比較検討 平成19年度 電気関係学会東海支部連合大会 名古屋工業大学 電気電子工学科 野々村嘉人 岩波 保則 岡本 英二 背景 近年の高度情報化社会においてディジタル無線通 信は広く普及している。 また、それに伴って高速大 容量通信の需要は高まっている。MIMOはこれらを 可能とする技術として期待されている。 MC-CDMA方式は劣悪な通信環境下において、高 速ディジタル伝送を可能とするマルチキャリア変調 方式と、多元接続能力が高く、フェージングや干渉 に対し強く、周波数利用効率が優れているCDMA 方式を合わせた方式の一つ。 2 目的 マルチパス耐性に優れたOFDM変調とMIMO 技術により構成されるMIMO-OFDM方式を比 較対象とするMIMO MC-CDMA方式のビット 誤り率特性の比較検討。 MIMOの信号分離にはNullingを用いた。 3 MIMO-OFDM変調方式(送信側) DATA QPSK Mod. IFFT GI Ins. DATA QPSK Mod. IFFT GI Ins. 各送信機毎に別々の信号を送り、QPSK変調後 サブキャリア毎にそれぞれIFFTによりOFDM変 調をする。その後GIを挿入し各送信アンテナか ら送信する。 4 MIMO-OFDM変調方式(受信側) GI Remov. FFT QPSK Demod. DATA QPSK Demod. DATA Nulling GI Remov. FFT 各受信アンテナで受信した信号からそれぞれGIを除 去しFFTによりOFDM復調を行う。そして各サブキャリ アに対して送受信アンテナ間の周波数領域の通信路 行列 H の一般逆行列 を乗算するNulling操作に よって送信アンテナ毎の信号分離及びマルチパス通 信路の周波数領域等化を同時に行う。 5 MIMO MC-CDMA方式(送信側) Walsh符号 DATA QPSK Mod. IFFT GI Ins. IFFT GI Ins. Walsh符号 DATA QPSK Mod. 各送信アンテナに於いてユーザー毎に拡散符号で あるWalsh符号をサブキャリアの周波数軸方向に乗 算し、乗算後の各ユーザー信号をすべて足し合わせ、 IFFTにより時間信号に変換する。その後GIを挿入し 各送信アンテナから送信する。 6 MIMO MC-CDMA方式(受信側) Walsh符号 GI Remov. FFT QPSK Demod. DATA QPSK Demod. DATA Nulling Walsh符号 GI Remov. FFT 各受信アンテナから受信した信号をMIMO-OFDMと 同様にNullingまで行い送受信アンテナ毎の信号分 離、マルチパス通信路の周波数領域等化を行う。 その後、分離された信号にユーザー毎のWalsh符 号を乗算しサブキャリア方向に足し合わせることによ り信号分離を行う。 7 計算機シミュレーション条件1 情報ビット数/パケット 1024ビット 最低送信パケット数 50000パケット アンテナ本数 2×2 変調方式 QPSK変調方式(グレイマッピング) 通信路 準静的2パスレイリーフェージング通信路 フェージング推定 既知(カンニング方式) サブキャリア数 64 ユーザー数 64 GI長 16 遅延時間 8 DUR 0[dB] 8 BER特性の比較(アンテナ数2×2) 1.E+00 MIMO-OFDM,ZF基準 MIMO MC-CDMA MIMO MC-CDMA,ZF基準 MIMO-OFDM 1.E-01 MIMO-OFDM,MMSE基準 MIMO MC-CDMA,MMSE基準 BER 1.E-02 1.E-03 MIMO MC-CDMA 12[dB] 1.E-04 1.E-05 0 5 10 15 20 25 Average Eb/No[dB] 30 35 40 9 計算機シミュレーション条件2 情報ビット数/パケット 1024ビット 最低送信パケット数 50000パケット アンテナ本数 4×4 変調方式 QPSK変調方式(グレイマッピング) 通信路 準静的2パスレイリーフェージング通信路 フェージング推定 既知(カンニング方式) サブキャリア数 64 ユーザー数 64 GI長 16 遅延時間 8 DUR 0[dB] 10 BER特性の比較(アンテナ数4×4) 1.E+00 MIMO MC-CDMA MIMO-OFDM,ZF基準 MIMO MC-CDMA,ZF基準 1.E-01 MIMO-OFDM MIMO-OFDM,MMSE基準 MIMO MC-CDMA,MMSE基準 BER 1.E-02 1.E-03 MIMO MC-CDMA 10[dB] 1.E-04 1.E-05 0 5 10 15 20 25 Average Eb/No[dB] 30 35 40 11 まとめ 送受信アンテナ本数がそれぞれ2本と4本の場合で、 MIMO-OFDM方式を比較対象とするMIMO MCCDMA方式のビット誤り率特性を、MIMOの信号分 離をそれぞれNullingのZF基準とMMSE基準を用 いて比較した。 ZF基準の場合はどちらもMIMO-OFDM方式に比 べビット誤り率特性は悪いが、 MMSE基準の場合 はどちらもMIMO-OFDM方式に比べビット誤り率特 性は10[dB]以上良くなっている。 12 今後の課題 MIMOの信号分離にNulling以外の信号分離法を 用い検討。 より実際的な環境を想定し、既知の通信路ではなく 未知の通信路でパイロット信号などを用いチャネル 推定をした上での検討。 13
© Copyright 2024 ExpyDoc