配合設計 コンクリート工学研究室 岩城 一郎 配合とは?配合設計とは? • 配合:コンクリートを製造するために用いられる 各材料の使用量あるいは混合割合 • 配合設計:コンクリートが所定の性能を有するよ うに,その製造に用いる各材料の使用量あるい は混合割合を定めること • コンクリートに要求される性能:安全性(丈夫), 耐久性(長持ち),施工性(造りやすさ),さらに は美観(美しさ),環境低負荷(環境保全),経済 性(安さ) 配合の表し方 配合表:コンクリート1m3あたりの単位量を表示 示方配合の表し方 単 位 量(kg/m3) 粗骨材G 粗骨材の スランプ 水セメン 空気量 細骨材率 最大寸法 ト比 水 セメント 混和材 細骨材 mm mm 混和剤 | | W/C s/a (mm) (cm) (%) (%) (%) W C F S mm mm 具体的な例 示方配合の実例 単 位 量(kg/m3) 粗骨材G 粗骨材の スランプ 水セメン 空気量 細骨材率 最大寸法 ト比 水 セメント 細骨材 5mm 10mm 13mm 15mm AE剤 | | | | W/C s/a (mm) (cm) (%) (%) (%) W C S 10mm 13mm 15mm 20mm 20 10±1 50 5.0±1.0 45 170 340 805 312 104 208 416 1.19 配合表の各項目 • • • • • • • • • • 粗骨材の最大寸法Gmax スランプ (AEコンクリートの)空気量 水セメント比W/C 細骨材率s/a 単位水量W 単位セメント量C 単位細骨材量S 単位粗骨材量G 単位混和材(混和剤)量FまたはA 各項目の説明 • 粗骨材の最大寸法Gmax:一般に大きいほど同一強度,同一ス ランプのコンクリートを作る際の単位水量Wが減るため,部材の 最小寸法,鉄筋のあき,かぶりの制約条件を満足する中ででき るだけ大きく設定する. • スランプ(Slump):フレッシュコンクリートのコンシステンシーや ワーカビリティーを評価するための指標.所定のコーンに所定の 方法でコンクリートを詰め,コーンを引き抜いた際の,コンクリー トの沈下量を求めたもの.大きいほど作業はしやすくなるが材料 分離が大きくなる.小さすぎるとやはり締固めにくく材料分離が 起こる.→作業に適する範囲でできるだけ小さいものを選ぶ.一 般の土木構造物:8-12cm,断面の大きさ,配筋等により使い分 ける. • 水セメント比W/C:骨材が表乾状態のときの,セメントペースト部 分の水とセメントの質量比,W/C 小→強度 大, 組織の緻密性 高→一般に耐久性 高 スランプ試験の方法 全国生コンクリート 工業組合HPより 配合表の各項目 • (AEコンクリートの目標)空気量:多いほど凍害(凍結融解作用) に対する抵抗性の向上,ワーカビリティーの向上⇔強度の低 下:プラスの影響の方が明らかに大 • エントレインドエア:AE剤によりコンクリート中に連行される微小 な独立気泡(25-250μm) • エントラップトエア:コンクリートの練混ぜ中に自然に形成される 気泡(エントレインドエアよりも大,凍害に対する抵抗性が期待 できない,1~2%は入る.),JIS規格:4.5±1.5%→寒冷地では4 ~6%を推奨 • 細骨材率s/a(日本では質量は大文字,容積は小文字):骨材全 量に対する細骨材量の絶対容積比→フレッシュ時の性状(粘り, 粗々しさ)に影響 • 単位水量W:大→耐久性 小(乾燥収縮,物質の透過性)→作業 ができる範囲内でできるだけ少なく設定する. • 単位セメント量C:大→経済性,発熱量 大 水セメント比W/Cを下げると? (セメント水比C/Wを上げると?) 圧縮強 度(MPa) 70 60 50 R 2 = 0.9745 40 30 20 10 0 1.5 2 2.5 3 3.5 4 C /W コンクリートの圧縮強度はC/Wに比例する(W/C に反比例する)→W/Cを下げると強度が上がる. 単位水量Wを上げると? • 軟らかい(一見,作業しやすい)コンクリートがで きる. • 材料分離しやすくなる. • ひび割れが出やすくなる.→耐久性が低下する. • C一定の条件でWだけが上がると,W/Cが高くな り,強度が低くなる(細孔組織が粗くなる).その 結果,耐久性がさらに低下する. 配合の補正 • 配合の仮定 - 骨材は表面乾燥飽水状態(表乾状態) - 細骨材は5mm以下,粗骨材は5mm以上 • 実際には? - 骨材は湿潤状態 - 細骨材は5mm以上,粗骨材は5mm以下のものも含 まれる. • 配合の補正 - 骨材の含水率に対する補正:実際の骨材が湿潤状 態とすれば,表面水量を補正する必要がある. - 骨材粒度に対する調整:実際の細骨材に5mm以上 (粗骨材に5mm以下)のものが含まれているとすれば, 骨材量を補正する必要がある.
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