土木用発砲スチレンコンクリートの開発

土木用発砲スチレンコンクリ「.トの開発
雌学事証悟試翠調韻台長・:倉又章.
材料試験係長Q森由:義一
.1、.はじめに
自ンクリ「トは搬な建設材料飾り・∼置旧の割踵量が幽きいことが特徴であるが・
必ずレも重量塗必要としない構造物もあるごとから・・蓮築甲のコングリ最、トではポリス
:チレンビーズを骨材に使用した軽量ユングリートが使用されている・。:、しか砿材料が特
殊であるため比較的高価になってしまう一ごとや必要な強度が確保できないととから1.土
木用とンク、リートどして嫉普及が進んでいなかった。
今回は、軽量コンクリートをコンクリ}トニ次製品に用.いることで、施工性.向上によ
る.コス・ト縮球が図られることに加え、発泡スチロール廃材のクサイクル活用を目的とし
て開発を行なった。
各種材料の試験を行った結果1、発泡スチロール廃材を高温融解したインゴジトの破砕
材を粗骨材(腿下.IEPS骨材」)に悼用Pたコセクリート1ホ・通常のコンクリートの・
約.8.6%の単位重量であり.ながら、・土木用コンクリートニ次製品として十分な強度を得
論罪欺凍繕に対する野性に鞭ていrと鴨早が脚左ので』
2.開発の経過 −’ .
, ・ .. ,.
輕量ゴンクリートに用いる骨材として、発泡界チロールの原料となる発泡ビーズと発
泡スチロールのリサイクル減容材を’ pいて試験練りを実施した。試験結果と問題点を表
一1に示す。
一237一
発泡ビーズ等では使用する骨材が軽量であるた
め、締責め時に骨材の分離が発生することに加え、
,強度や凍結融解に対する耐久性が低下して、土木
用コンクリートとしての機能が確保できなかっ
た。こうした問題を解決する材料どして、発泡ス
チロール廃材のリサイクル過程で高温で融解させ
ることで発生するインゴットを破砕した、EPS
骨材の可能性を検討した。当インゴットはビデオ
テープのケースなどの原料となっており1,生産量
写真一、EP鍋材 発卸ないことからコンフリー階椛して醐
であると判断し、検討の対象とした。
3 EPS骨材の惟状
表一2 EPS骨材と一般骨材の物理試験結果
EPS骨材の物理的性状は
表一2砂とおりである。細骨
材入りEPSは強度増加に向
け、モルタルとの付着強度を
向上させるため、製造過程に
’おいて砂を混入した骨材であ
粒度及び粗粒率
吸水率
種別
単位容積重量及び実績率
単位重量
実績率
粒度
粗粒率
EPS骨材
1.36(%)
適合
6.35
0,97(kg/の
65.4(%)
細骨材混入EPS
0、58(覧)
適合
.6.85
1.30(㎏μ)
56.8(%)
一般骨材
3.0以下
一
6.0∼8,0
2.50以上
一
る。EPS骨材は一般材料に加え、単位容積質量が約40%であり軽量化に有効と言える。
4.EPSコンクリ≒トの強度試験結果
耳PS骨材を粗骨材として用いたコンクリ1一トρ配合諸元を表一呂に示すb
表門3 E戸Sコンタり一トの配合諸元
【配合条件1
粗骨材の最大寸怯
20mm
スランプ管理値
4cm=ヒ1 0cm
空気量 水セメント比
55% 30∼45%
セメントの種類
普通ガルトランドセメント
【示方配合=水セメント比40%の場合】
1㎡あたりの重量(kg)
種類
水
普通コン捌一ト
160.0・
セメント、
401.0
理論重量 重量比
細骨材
・粗骨材
EPS骨材
AE剤
増粘剤
撃汲〟^㎡)
s%)
670.0
1097.0
0
1,OO1
0
2328.0
100.0
359.1
1,187
0.4
1649.4
70.8
EPS骨材100%
180.8
452.0
657.5
0
EPS骨材80覧
、80.8
,452.σ
65ア.5
202.0
287.o
1.丁30
O.4
1779.3
76.4
細.骨材混入EPSm磯
1幽80.8
452.0
657.5
0
503.0
1.130「
0.4
1793.3
77.0
試験練りを繰り返し所定の配合条件で示方配合を決定した。理論重量比では、粗骨材
の全量をEPS骨材としたコンクリートで約70%であり、細骨材を20%混入したEPS
骨材の場合でも約76%の重量比であった。いずれも普通コンクリートの80%に相当する
目標値(1900kg/nf)を下回っており軽量コンクリートとしての性能を満足している。
一238戸
フレッシュコンクリートの性状試験及び硬化コンタ:リートの物理試験を実施した結果
を表一4に示す。・
表一4 E唱PSコンクリートの性状及び物理試験結果
種類
水セメント
スランプー(cm)
普通コンクリート.
EPS骨材100%
Rン妨一ト
EPS骨材80%
Rン列一ト
細骨材混入EPS
P00知ン的一ト
30
35
40
45
30
35
40
45
35
40
35
40
空気量
@(%)
艨i%)
9.3
8.7
τ3
8.O
4.8
3.6
3.5
418
6.2
5.9
5.5
5’.3・
5.6
4.9
48
4.9
5.1
6.2
6.3
6.9
『5.0.
石.5
噛
T.6
5.4
曲強度σ28
灘融解耐久
σ.7
σ28
i阿/mm 2)
ォ指数㈱
’40.0
50.8
48.4
47.5
45.3
33.5
28.5
27.6
26.5
35.8
32.6
41.O
39.0
8.18
7.11
97.1
96.1
6.45
6.36
’7』6
92.7
93.0
89.5
圧 州㎜2)
コン列一ト
キ度(℃)
30.5
28.5
29.0
23.5
28.0
39.1
’37.1
36.2
30.3
32.5.
24.1
31.0
31.0
12.5
23.2
22.5
31.8
28.0
37.0
36.0
14.く〕
13.5
11.0
図一1圧縮強度の比較
60
6.30 ,
54.1
6.07
49.2
49.2
77.0
70.5
5.81
6.26
5.88
5.55
5.00
静弾性
C、数
3.3x104
.L4x104
・41.3
31.3
図一2耐久性指数の比較
100
ま
『璽1:
’τ一『『叩1…一甲一紅=まτ=鞠∵繰醸
80
義60
i l i ,
組40
垂・・
蓮・・
卜・ 1 欝 藺理目襟
一_一
ロ一まこ棄≦ボ」
l II l r
出10
塾普通コカリート 一轡一EP$コン夘一ト100%
、20
→一細骨材混入EPS・毒EPSコン刎一ト80%
曇普通ユンクリート 壷EPSゴンクリート100%
十細骨材混入EPS 一嚇一五PSのクリート80%
0
0
25 30 35 40 ・45
50 .・・25
w/c(%)
『30 35 40, 45
50
w/o(%)
0%の配合では水セメン、ト比を30%程度まで下げ徐け.
噛目 、 F
れば強度が得ちれないが、細骨材入りEPS骨材を
用いた配合やEPS骨材を80%混入した配合では管
理目標を超える強度を確保することができた。.
・また、寒冷地で注目すべき凍結融解の耐久性指数
では、E戸S骨材を80%混入した配合が管理目標を
超える耐久性を有していることが判明した。『
こうした試験結果から、EPS骨材を90%混入し、
?Zメント比を29.5%とした配合を示方配合として
灘.1
・’
決定した。’
写真一2凍結融解試験後の供試
体断面(EPS100%骨材)
5.EPSコンクリートの熱特性
EPS骨材を用いたコンクリートの内部温度が上昇した場合、EPS骨材φ線膨張係.
激が周辺のモルタルより大きいため、ひび割れが生じてしまうことが判明した。普通コ
ンクリ、一トでは60℃から表面に気泡が発生するが、EPSコンクリートは40℃で微細な
ひび割れが発生し、80℃ではひび割れが開いて深くなり段差が隼じた。
ただし、圧縮強度に与える影響についてほ図心3に示すように、普通コンクリートの
一239一
.温度・上昇に伴う強度低下に比べ、EIPS、コンフリー
60
トの強度低下が緩やかな結果であった。’
三一吊供試体温度と圧縮強度
@ 廓 _50
実際の使用条件下での物理性能を確認するため、濃、。
EPS醐を9・%混入した腔メントー比4・%濠び29磁・・
5%の標準砂生後の供試体を7月から12週に渡って暴鍛20
、判薩鞠噛
「・←一普通コンフリートー・櫨一EPSコンクリート
露した後の圧縮強度と’凍結融解}ビ対する耐久性を確圃
0
認した。試験結果は表一5に示すとおり、どちらも
20 40 60 80
幽供試体内灘温度(℃λ
暴露後の圧縮強度が約1割低下した。暴露後のひび・
表一5.暴露供試体の試験結果
割れによって凍結融解に対する耐久
圧縮強度(N/mm2)
性が劣ると思われたものの、’耐久性
指数は逆に若干ではあるが改善した。
.長期的な耐久性についてほ検証が必
4週強度
EPSgO%混合
iW/C=40)
・要であるものの、通常の使用状況下
ではひび割れが及ぼす影響に?いて
は大きなものではないと判断できる。
EPS90%混合
iW/Cニ295)
墨2週
¥露強度
凍結融解耐久性指数(%).
標準養生
31」
・ 28,8
71.7
35.4
3t9
」88.0
標準養生+
P2週暴露
79.6
90.2
5,まとめ及び今後の問題点㌦
・EPS骨材を用いた軽量コーンクリートについて検討を行なった結果、’粗骨材の全て’を・
EPS骨材とすることは困難であるものの、圧縮強度及び凍結融解耐久性を満足するた
めには90%の混入⇒§可能であり、単位容積重量を1,768kg!㎡(論理重量)に掬えたコン
クリートの実用性に目処がついた。
EPS骨材に用一いる発泡スチ冒一ル廃材は、原料となる発泡トレイ等の資源回収が行
唱なわれているため一定に供給が確保できる。また、EPS骨材の製造は市販されている
高温融解用の機械と砕石製造用の愈愈器を用いれば、どの地域でも製造が可能である。
この点ではEPS『コンクリ申トを普及することに関.して問題はない。
ただし、熱特性によるひび割れが発生するため、ひび割れの発生を挿える対策が必要・
である。具体的には吸熱養生時に型枠で拘束して養生後の膨張を抑えることや、混和剤
でモルタル紅筆1を上げることなどを検討していく。
EPSゴシクリートを用いたコンクリートニ次製品の製造価格については、通常の製
品単価の約1.8倍程度になるが、製品の輸送、敷設コストが軽減されるため、大きな差に
はならず、側溝蓋など繰り.返して敷設する場合には全体のコストは低くなる。’
6..あとがき
・EPSコンクリートは熱膨張によるひび割れの発生、若干の製造コスト塔という不利
な点が認められるものの、コンクリートの軽量化と発泡スチロール廃材のリサイクル促
進という効果は特筆すべき点であり、コンクリートニ次製品の中でも側溝や々ンホール
など土の中で温度上昇の影響を受けない箇所に適用が可能と思われる。また、専う人力
に頼らざるを得ない側溝清掃の蓋開閉時には軽量化のメリットが存分に発揮できると考
える。さらにはプレキャスFコンクリート床版などに活用されるならば、一層の効果が
期待できる。
今後は問題点の解決を図ることと合わせ、コンクリートニ次製品への適用促進をはか
ることが課題となる。
一240一