建築材料 第11回 製造・調合 建築学科 平岩 陸 1 コンクリートの製造 現場で練ることはほとんどない 注文 運搬 生コン工場 施工者 レディーミクストコンクリート ・調合 ・受入れ検査 ・練混ぜ ・出荷 2 コンクリートの調合 コンクリートを製造するための セメント、水、骨材、空気、混和材料の混合割合 練るためには調合表が不可欠 重要なのは・・・・ ・ワーカビリティ ・強度 :施工時に重要 :建物の耐力・耐久性に影響 3 調合表の指標 調合強度 スランプ 空気量 水セメント比 粗骨材の 細骨材率 (N/mm2) (cm) (%) (%) 最大寸法 (%) (mm) 30 15 4.5 52 25 39.6 鉄筋間を通るか否か 強度の主要因 耐凍結融解のために必要 施工性のために重要:ワーカビリティー 調合上目標とする強度 4 調合表の例:容積 容積(L/m3) 単位水量 (kg/m3) セメント 細骨材 粗骨材 Vc Vs Vg 157 96 空気 水 280 細骨材 427 足すと・・? 4%分は空気 粗骨材 体積比率はこんな感じ セメント りゅーべー 1 m3 作るための量 これを質量にする→ 5 調合表の例:質量 容積(L/m3) 単位水量 (kg/m3) セメント 細骨材 粗骨材 Vc Vs Vg 157 1.00 96 3.16 280 427 2.56 2.62 (g/cm3):密度 質量(kg/m3) 単位水量 (kg/m3) セメント 細骨材 粗骨材 C S G 157 303 716 密度を掛けると質量に 1118 計量時には こちらが必要 6 調合表 質量 (kg/m3) 混和剤の 最大塩化物 単位水量 使用量 イオン量 3 (kg/m ) セメント 細骨材 粗骨材 (kg/m3) (g/m3,C×%) C S G 157 303 716 1118 303, 0.1 (0.3以下) この重さを量って混ぜれば、 1m3のコンクリートができる=単位量 ・20m3作るには、それぞれ何kg必要? ・一辺3mの立方体を作るには、それぞれ何kg必要? 7 各単位量の規定 ・単位水量:185kg/m3以下 ・単位セメント量:270kg/m3以上 ・水セメント比:65%以下 ・空気量:4.0~4.5%が標準 ・塩化物イオン量:0.30kg/m3以下 単位水量を小さくし、 単位粗骨材量を多くし、 スランプを小さくすると、 良質なコンクリート 8 調合の流れ ・強度の設定 ・スランプの設定 設定 ・空気量の設定:4.0~4.5% ・水セメント比の計算 ・単位水量・単位セメント量の計算 ・単位粗骨材かさ容積の計算 ・単位細骨材量・細骨材率の計算 9 強度の設定1 調合強度を決めるために ・設計基準強度: 構造計算から 必要な強度を計算 ・耐久設計基準強度:目標の耐久性から算出 計画供用期間 の級 短期 標準 長期 超長期 計画供用 期間 30年 65年 100年 200年 耐久設計基準強度 (N/mm2) 18 24 30 36 10 強度の設定2 調合強度を決めるために ・設計基準強度 Fc ・耐久設計基準強度 Fd 大きい方が 品質基準強度 Fq この強度を下回っては困る 強度に割増しをする ・材齢91日と材齢28日の強度の差 ・養生期間中の温度 ・コンクリート強度の割増しの影響 ということを加味して・・・ 11 強度の設定3 調合強度を決めるために 調合管理強度 Fm = Fq + 28S91 品質基準強度 + 強度補正値 温度が低いと強度が出にくい 補正値:大 セメント種類 予想平均気温の範囲 普通ポルトランド 0≦θ<5 セメント 強度補正値 6 2 (N/mm ) θ≦5 3 12 強度の設定4 調合強度を決めるために 調合管理強度 Fm で作って良いか? 単純に調合管理強度を狙うと・・・ 強度のばらつきは正規分布に従うはずなので 頻 度 50%の確率で不良品に! 圧縮強度 Fm 13 強度の設定5 調合強度を決めるために 調合管理強度 Fm にさらに割増しをする 調合強度 F ・F = Fm + 1.73σ ・F = 0.85Fm + 3σ σ:コンクリートの標準偏差 工場実績または 2.5もしくは0.1Fq N/mm2 これらの大きい方を調合強度として採用 14 スランプの設定 ・現場の要望:スランプは大きく! →打設しやすい(型枠内に入りやすい)ため ・しかし大きくしすぎると・・・ 材料分離、強度低下などが生じる 打設できる範囲でスランプは小さいほうが良い 設計基準強度30 N/mm2以下で、18cm以下 建築では、15、18が一般的 15 強度とスランプが決まれば・・・ あとは計算だけ ・水セメント比の計算 ・単位水量・単位セメント量の計算 ・単位粗骨材かさ容積の計算 ・単位細骨材量・細骨材率の計算 細かなことは材料実験時にやります 16 水セメント比 W 水セメント比 x = ×100 C W:単位水量(kg/m3) C:単位セメント量(kg/m3 ) 圧縮強度と水セメント比の間には相関関係がある 水セメント比が大きいと 水が多い、セメントが少ない →つまり強度は・・・ 17 水セメント比の計算 圧縮強度と水セメント比の間には相関関係がある 51 x = F/K + 0.31 x:水セメント比(%) 適用範囲:40~65 F:調合強度(N/mm2) K:セメント強さ(N/mm2) この式から水セメント比を計算できる ただし、65%以下とする 18 単位水量・単位セメント量 ・単位水量:185kg/m3以下 ・単位セメント量:270kg/m3以上 実際には試し練りで決めていくが、 参考として、水セメント比とスランプから、 W = 170 - 0.700x + 2.85SL x :水セメント比(%) SL:スランプ 19 単位粗骨材かさ容積 単位容積質量(kg/m3) 実積率(%) :空のところにどれだけ入るか コンクリートのように 周囲にモルタルがある場合は 入る量が少なくなる 入る量の比率:かさ容積(m3/m3) 0.6~0.7ぐらい 20 単位粗骨材かさ容積 単位粗骨材かさ容積からの計算 実積率:60% 単位粗骨材かさ容積:0.6(m3/m3) コンクリートにしたときに 実際に入る粗骨材の体積%は? 21 単位細骨材量と細骨材率 単位粗骨材量までわかったので、 残りの空間を埋める計算で単位細骨材量を計算 空気 水 セメント 細骨材 粗骨材 1m3になるように Vs s 細骨材率(%) a = ×100 Vs + Vg ワーカビリティーに影響 Vs:単位細骨材体積 Vg:単位粗骨材体積 22 調合は以上で完成 調合強度 スランプ 空気量 粗骨材の最 (N/mm2) (cm) (%) 大寸法 (mm) 30 15 4.5 25 こういう条件のコンクリートは・・・ 水セメント比 細骨材率 (%) (%) 52 39.6 で、 23 調合は以上で完成 容積(L/m3) 単位水量 (kg/m3) セメント 細骨材 粗骨材 Vc Vs Vg 157 96 280 427 質量(kg/m3) 混和剤の 最大塩化物 使用量 イオン量 セメント 細骨材 粗骨材 (kg/m3) (g/m3,C×%) C S G 303 716 1118 303, 0.1 (0.3以下) 24 現場からは・・・ 生コン工場へ注文する 生コン工場 ・調合 ・練混ぜ ・出荷 運搬 施工者 運搬時間1.5時間以内 ・受入れ検査 25 現場からの注文 宅配ピザとそれほど変わらない。 ・日時 ・量(m3単位) ・アジテータトラックの大きさ などを指定 コンクリート特有の内容として ・呼び強度 ・スランプ などを指定 ・空気量 ・粗骨材の最大寸法 26 呼び強度・粗骨材の最大寸法 コンクリート特有の内容として ・呼び強度 ・スランプ ・空気量 ・粗骨材の最大寸法 ・呼び強度は調合時の調合管理強度Fmに相当 つまり、この強度は保証されると思えば良い ・粗骨材の最大寸法 通過率が質量で90%以上となる最小のふるい寸法 27 コンクリートが現場に搬入されたら・・ 28 建築材料10 普通コンクリートに関する調合設計の値として, 最も不適当なものは,次のうちどれか。 1.単位水量を,200kg/m3とした。 2.単位セメント量を,300kg/m3とした。 3.水セメント比を,60%とした。 4.AE剤を用い,空気量を4.5%とした。 5.塩化物量は,塩化物イオン量として0.2kg/m3と した。 29
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