コンクリートの調合設計演習課題(日本建築学会 JASS5 による) 設計

コンクリートの調合設計演習課題(日本建築学会 JASS5 による)
設計条件
設計基準強度 Fc=30N/mm2、耐久設計基準強度 Fd=30N/mm2
圧縮強度の標準偏差σ=2.5N/mm2
骨材最大寸法 20mm(鉄筋のあき、かぶり厚)
空気量 4%(凍結融解作用に抵抗)
スランプ 12(AE 減水剤添加により 18 とする)
強度管理材齢 91 日、材齢 28 日までの予想平均気温 16℃
使用材料
普通ポルトランドセメント(密度 3.15g/cm3、セメント強度 K=58N/mm2)
計画供用期間の級
短 期(30年)
標 準(65年)
長 期(100年)
超長期(200年)
セメント
材齢 28 日までの予想平均気温の範囲
普通
8℃以上
早強
5℃以上
高炉B種
13℃以上
S値の標準値
3
※暑中コンクリートはS値=6とする
水(上水)
細骨材(砕砂)F.M.2.8、表乾密度 2.55g/cm3、吸水率 2.2%
粗骨材(砕石)F.M.7.1 表乾密度 2.65g/cm3、吸水率 0.8%、実績率 62%
AE 減水剤 セメントの質量比で 0.3%
1)
調合強度の決定
・調合強度 F:20 度の水中(標準養生)で 28 日間養生されたシリンダの圧縮強度
・調合管理強度 Fm:20 度の水中で 28 日間養生されたシリンダの圧縮強度が、確率
的にほぼ下回ることのないといえるコンクリートの強度。
F≧Fm+1.73σ かつ F≧0.85Fm+3σとする
・設計基準強度 Fc:設計時に仮定したコンクリートの強度
耐久設計基準強度
(N/mm2)
18
24
30
36
W/C
(%)
スランプ
0~8℃
0~5℃
0~13℃
6
粗骨材の種類(最大寸法)
砂利(25mm)
砕石(20mm)
8
0.69
0.68
12
0.68
0.67
40~60
15
0.67
0.66
18
0.63
0.62
21
0.59
0.58
8
0.68
0.67
12
0.67
0.66
65
15
0.66
0.65
18
0.62
0.61
21
0.58
0.57
表中にない値は補完によって求める。
・耐久設計基準強度 Fd:構造物の計画供用期間から定まる必要コンクリート強度。
中性化の進行は水セメント比の小さいほど遅いことから一般に強度の高いほど耐久性
があるという関係に基づいている。
・品質基準強度 Fq:構造体コンクリートが満足すべき強度(設計基準強度と耐久設計
基準強度の大きい方)。コンクリートのポテンシャル性能に加えて、硬化期間の温度、湿
度条件、打ち込み作業の適切さなどが影響する。これらの影響による強度低下を S と
表し補正値とする。Fm≧Fq+S とする。
2)
水セメント比の決定
調合におけるコンクリート強度の決定要因の第 1 は水とセメントの質量比(W/C:水セメ
ント比)であることから、調合強度に対して水セメント比を定める。
W/C(%)=51/(F/K+0.34)。ここで、K:セメント強度
3)
単位粗骨材量の決定
一般的な施工条件を確保した条件でコンクリート中の粗骨材量を最大化すると、粗骨
材のかさ容積はおおよそ一定となる。学会仕様書(JASS5)は右表による。粗骨材の絶
対容積は、かさ容積に実積率をかければ求められる。
4)
単位水量の決定
単位水量は次表によって定める。単位水量の制限:乾燥収縮量は単位水量にほぼ比
例するため、185kg/m3 以下とする。表で仮定した粗骨材の実積率と異なる場合には
補正が必要となる。
5)
単位セメント量の決定
水セメント比 W/C と単位水量 W から単位セメント量 C は決定される。
スランプ
砂利
8
155
12
164
40
15
172
18
184
21
(195)
8
150
12
160
45
15
167
18
179
21
(190)
8
149
12
157
50
15
164
18
175
21
(187)
8
147
12
154
55
15
160
18
171
21
183
8
145
12
152
60~65
15
158
18
168
21
179
実積率:砂利=65.4%、砕石=59.4%
W/C(%)
砕石
166
176
184
(195)
(206)
161
171
179
(190)
(201)
160
168
175
(186)
(197)
158
165
171
182
(193)
156
163
169
179
(189)
単位セメント量の制限:硬化コンクリートのアルカリ性を確保して鉄筋の防錆効果を確保するため 290kg/m3 以上とする。
6)
単位細骨材量の決定
細骨材以外の量が確定したので、細骨材が占めるべき容積量がわかるので、細骨材の絶対容積は求めることができる。
骨材容積中の細骨材容積の割合を細骨材率 s/a という。細骨材率が小さいとばさばさで粗骨材分離しやすく、大きいと流動性が悪い。
7)
調合表の作成:品質基準強度、調合強度、スランプ、空気量、水セメント比、粗骨材寸法、細骨材率、混和剤の種類と添加量とともに、
必要な材料量(質量および絶対容積)で表す。