角速度ベクトル 回転を表すベクトル オメガ 大きさは、角速度。 単位時間に回った角度。 単位は、ラジアン/秒 rad/s 方向は、回転面に垂直 向きは右ねじが進む方向 回転ベクトルの向きに注意。 日常会話の「回転の方向」と ベクトルの向きは違う。 問題:地球の自転の角速度ベクトルの 方向を図示せよ。理由も述べよ。 1 角速度ベクトルは何を表すか? (1)単位時間に回る角度 角速度ベクトルの大きさ(長さ)から (2) 回転面 角速度ベクトルに垂直 (3) どちら向けの回転か。 問題 角速度ベクトルが(3,3,0) rad/sのときに、 a) 角速度の大きさを求めよ。 b) 回転面と回転の方向を図示せよ。 回転している時の速度 変更あり 点Pが点Aのまわりに円運動をしているとする。 このときの角速度ベクトルをωとする。 回転軸上の点Oから点Pへの動径ベクトルをrとする。 点Pの速度は、 v ω r A で書ける。 P r O 問1.上の式の両辺の単位を調べよ。 問2.上の式を証明せよ。 3 問1の解答:単位 v ω r 左辺は速度なので、単位は m/s (メートル毎秒) ωの単位は、rad/s (ラジアン毎秒) ラジアンは無次元量。 rの単位は、m (メートル)。 したがって右辺の単位は、m/s で左辺と同じ。 4 v ω r 問2の解答: A 点Pを通り、ベクトルωに垂直な面に 回転面がある。回転の中心をAとする。 P θ O r の証明 v AP r sin 速度ベクトルvの向きは、 円の接線の方向で、 紙面の表から裏。 これは の向きと一致する。 ω r 5 補足: v AP の証明 r ' 弧の長さ 両辺を微分すると、r’が一定なら、 d d r' dt dt r ' 角度 P A v r ' 6 円運動の速度は接線方向(半径に垂直)になること。 補足 動径ベクトルをx, y座標で書くと、 r ex a cos e y a sin a r v 時間で微分する。半径aや単位ベクトルは 一定(時間が進んでも同じ)。θが変化する。 dr d v e x a sin e y a cos dt dt a e x sin e y cos rとvの内積をとると0なので、円運動の速度は動径ベクトルと 直交する。 7 ・力のモーメント ・角運動量 ・力のモーメントと角運動量の関係 8 力のモーメント 教科書p.50 F ある質点mが原点Oからrの位置にあり、 m mに力Fが加わっているとする。 この時の、点Oのまわりの力のモーメントは、 N rF r O 図でNの方向は、スクリーンを(裏から表に)貫く方向 9 力のモーメントの問題 問題1 力の大きさおよび位置が一定で、力の角度を変化させる。 F 力のモーメントの大きさが最大および最小になる時の角度を求め、 図示せよ。 m r O 問題2 長さ2aのシーソーがあり、支点Oはシーソーの中央にある。 質点mがシーソーの端にあるとする。 シーソーと水平線のなす角をθとする時、 mにかかる重力によって生じる、支点0のまわりの力のモーメントを求めよ。 O m 10 力のモーメントの問題1の解答 問題1 力の大きさおよび位置が一定で、力の角度を変化させる。 力のモーメントの大きさが最大および最小になる時の角度を求めよ。 N rF N r F rF sin 力のモーメントの定義 sin sin の最大値は1で、θ=π/2, 3π/2nの時。 の最小値は0で、θ=0, πの時 m r O 11 力のモーメントの問題2の解答 O N rF やり方その1 m r O の求め方 成分で書くと、 y F m ge z z r (r cos,0, r sin ) x F (0,0,mg) r F (0, mgrcos,0) yのプラス方向。紙面表から裏への方向。 12 力のモーメントの問題2の解答 N rF の求め方 やり方その2 r O 青いベクトルと赤いベクトルの y なす角は、π/2 + θ F m ge z z x 13 力のモーメントの問題2の解答 青いベクトルと赤いベクトルの なす角は、π/2 + θ sin cos 2 r O y F m ge z z x N r F m gasin m gacos 2 r 紙面に垂直で、紙面の表から裏。 F 14 三角関数の公式 sin sin cos cos sin cos 2 cos sin 2 1 y 0 y sin 4 2 π y cos 2π 15 モーメントとは。 rA r の形 動径ベクトル(位置を表す) A ベクトル。特別な場合は、スカラー(1次元ベクトル)。 力のモーメント N rF L r p 角運動量もモーメントの1つ。 p mv その他のモーメント 慣性モーメント (前期に勉強します。) 双極子モーメント(後期の電磁気で出てきます。) 16 角運動量とは。 運動量 角運動量 p mv 既にやった。 L mr v r p v ベクトル積 r ある基準点Oの周りの 角運動量。 m O 問題 半径aの円上を一定の速さvで回っている粒子の 角運動量ベクトルを求めよ。 17 円運動の角速度の解答 問題 半径aの円上を一定の速さvで回っている粒子の 角運動量ベクトルを求めよ。 v a r 動径ベクトルと速度ベクトルのなす角はπ/2。 それぞれのベクトルの長さは、a, v。 よって角運動量の大きさは、mav。 方向は紙面を貫く方向に、紙面の裏から表へ。 18 角運動量の運動方程式 d dA dB A B B A dt dt dt を使う F 力のモーメント(ある点Oの周り) m N rF r 力のモーメントと角運動量の間には、 以下が成立する。 dL N dt 問題 運動方程式 O (1) 力のモーメントによって、 回転の勢いが変化する。 L r mv ma=Fより、(1)を導け。 高校の物理では、(1)は独立に覚える人も多いが、 実際はニュートンの運動方程式から導かれる。 19 解答 L r mv (1) N r F (2) dL N dt (1)の両辺を時間で微分する。 ベクトル積の微分の公式(復習) dL d r dv d dA dB mv r m A B B A dt dt dt dt dt dt dv mv v m r (3) dt 任意のベクトル A に対して、 A A A sin 0 0 2 (3)の第2項は運動方程式と(2)より、 r ma よって、 dL N dt rF N 20 角運動量と力のモーメントの違い 角運動量:回る時の勢い L r mv N rF dL N dt 質量が大きいほど、勢いが強い。 速いほど勢いが強い。 基準点からの距離が長いほど勢いがある。 動径ベクトルと速度の角度が直角に近いほど、 勢いがある。 角運動量を変化させるのが、力のモーメント 21 角運動量の方程式と運動方程式の比較 dL N dt 力のモーメントで dp F dt p mv 力が働くと、 速度が変化 回転の勢いが 変化 22 まとめ 力のモーメント N rF 角運動量 F ある点0の周り O L mr v r m v ある基準点Oの周り O r m 注意点 ・力のモーメントも角運動量もベクトル。 大きさだけでなくて方向・向きも指定する必要。 ・力のモーメントも角運動量も「ある点の周り」。 基準点が違えば、力のモーメントや角運動量は 違ってくる。 dL N dt 力のモーメントをかけると、 角運動量が変化する。 23 剛体を考える前に、 多重積分を説明する。 24 多変数の積分を考える前に。 1変数の積分は高校で勉強した通り。 F ( x) f ( x)dx dF ( x ) f ( x) dx y f (x) 傾き g’(x0) y=g(x) x1 x2 x1 x2 x f ( x)dx 積分は図形的には、 面積を表す。 x0 x 微分は図形的には、 傾きを表す。 25 多変数の積分を考える前に。 1変数の積分は高校で勉強した通り。 F ( x) f ( x)dx dF ( x ) f ( x) dx y f (x) 傾き g’(x0) y=g(x) x1 x2 x1 x2 x f ( x)dx 積分は図形的には、 面積を表す。 x0 x 微分は図形的には、 傾きを表す。 26 復習 偏微分:2変数以上の関数である1つの変数について微分する。 p ( x, y ) q ( x, y ) x x :xについて微分する。(yを一定とみる) 「偏微分」と呼ぶ。 図形的には、z=p(x,y)の関数を、 y一定の断面で見た時の、傾き z y x 27 次に多変数の積分を定義します。 28 2変数の積分 F ( x, y ) dy dx f ( x, y ) 2段階で定義。 g ( x, y ) dx f ( x, y ) F ( x, y ) dyg ( x, y ) g ( x, y ) f ( x, y ) x F ( x, y ) g ( x, y ) y 順番に積分すればよい。 大部分の場合は積分順序によらないので、 積分しやすい方を先にすればよい。 z=f(x,y) 図形的には、曲面z=f(x,y)の下の体積 次のページに詳しい説明。 y x 29 積分の幾何学的意味 y=f(x) y 1変数の積分:曲線の下の面積 f ( x)dx x 0 図のような微小な幅の帯を考えると、 幅がdx, 高さがf(x)。 これの和が積分なので、面積に対応する。 f(x) dx 2変数の積分:曲面の下の体積 dx dy f ( x, y) f(x,y) dx 次のページに例。 dy 30 重積分の例 d a c I dx dy f ( x, y ) f ( x, y) x3 sin y 1 b の場合 1 I dx dyx sin y x dx 2 dy sin y 0 2 0 3 3 0 x4 1 1 2 cos y 0 1 4 4 4 0 2変数の積分:曲面の下の体積 f(x,y)=xyのグラフ y f(x,y) dx dy 問題 z=xy, xy平面、x=a, y=bで x 囲まれる立体の体積を求めよ。(a>0, b>0) 特に、a=10, b=10の時、体積はどうなるか? 辺の長さが10,10,100の直方体の何パーセントの体積か? 32
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