いのちが産まれる場所 Ⅰ．いのちはどこで産まれる？ Ⅱ．日本の周産期事情 Ⅲ．長崎の事情と対策長崎大学医学部産婦人科増崎英明朝日新聞2006.5.14 産科崩壊の背景（悪循環の構図）高い訴訟リスクによる開業医のお産からの撤退ハイリスクローリターンの劣悪な勤務医の労働環境勤務医の疲弊による地域周産期中核病院からの離脱新規研修医制度による産婦人科志望者の激減女性医師の増加に見合う育児支援体制の欠如分娩を取り扱う医師数の絶対的不足分娩取り扱い病院の減少分娩取り扱い有床診療所の減少地域の産科救急システム崩壊産婦人科医師不足の悪循環を断ち切るために（１）高い訴訟リスクハイリスクローリターンの勤務医の労働環境勤務医の疲弊による周産期中核病院からの離脱無過失補償制度医療関連死原因究明の第三者機関の設立勤務医の報酬の見直し（分娩費値上げ，夜勤手当増額など）地域周産期施設の集約化と勤務環境改善長崎市民病院と原爆病院の合併日本産科婦人科学会会員の年齢別男女比（2004年）日本産科婦人科学会会員の年齢別男女比（2004年）女性（ 3,514）男性（12,377） 450 日産婦学会員数 400 350 300 250 200 150 100 50 産婦人科における女性医師の増加 0 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 90 －２０代産婦人科医師の75%が女性である－年齢－３０代産婦人科医師の50%が女性である－ 95 100 産婦人科医師不足の悪循環を断ち切るため（２）女性医師の増加に見合う育児支援体制の欠如子育て中医師のためのポスト増設，継続就労支援体制院内保育所の整備 ●日本産科婦人科学会「女性医師の継続的就労支援のための委員会」設置． ●厚生労働省医政局長より「医師に対する出産･育児等と診療の両立の支援について」の通達新規研修医制度による産婦人科志望者の激減学生・研修医への産婦人科の魅力を伝えるポジティブキャンペーン分娩実施率-男女別、経験年数別女性医師の平均分娩実施率は66.0% (男性医師は82.6％) 女性医師の分娩実施率は経験年数11年目で45.6％まで落ち込む 92.2% 100% 85.2% 66.0% 分娩実施率‐経験年数別、女性 78.2% 75.1% 69.3% 67.1% (n=1,993) 67.6% 64.3% 48.9% 52.6% 50% 56.8% 45.6% 48.7% 57.1% 53.2% 0% 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目 8年目 9年目 10年目 11年目 12年目 13年目 14年目合計 (n=1,993) (n=102) (n=209) (n=174) (n=185) (n=176) (n=173) (n=126) (n=135) (n=137) (n=103) (n=132) (n=113) (n=77) 100% 96.5% 82.6% 92.2% 分娩実施率‐経験年数別、男性 85.4% 87.3% 87.2% 82.1% 78.6% 81.4% 81.6% 15年目 16年目 (n=77) (n=74) (n=2,467) 77.6% 81.1% 79.7% 82.6% 78.3% 82.0% 50% 0% 2 年目 3 年目 4 年目 5 年目 6 年目 7 年目 8 年目 9 年目 10 年目 11 年目 12 年目 13 年目 14 年目 15 年目 16 年目合計 (n=2,467) (n=57) (n=129) (n=130) (n=150) (n=149) (n=134) (n=182) (n=183) (n=185) (n=170) (n=206) (n=202) (n=201) (n=184) (n=205) 労働環境整備に関する提言産婦人科医師の長時間労働を改善し、より柔軟な働き方を早急に確立すること。妊娠、分娩、授乳、育児等の期間に対しての代替要員を確保し、勤務医定数の柔軟な体制を確立すること。病院に近接する保育施設を質、量ともに確保し、医師の子弟を保育できるような体制を整えること。これらの提言は、病院設置者、医療・行政関係者ならびに一般国民に対して行い、男女共同参画社会の実現を産婦人科から呼びかけるものである。（日本産科婦人科学会）更なる状況の改善には，一般市民，患者，マスコミ関係者，そして医学生，初期研修医の意識の変化が不可欠．長崎新聞2008.2.27 平成20年6月19日（木）方策産婦人科の３Ｋきつい、汚い、危険 → 産婦人科医は絶滅危惧種？（過酷、休暇なし、苦しい、拘束される、告訴が多い）１．感動溢れた産婦人科（懐妊の喜び、家族の味方、感謝される喜び）２．興味の尽きない産婦人科（研究の宝庫、子供の誕生、協力・協調）３．心のこもった産婦人科（開腹せず、回復早く、患者に優しい医療）産婦人科医は唯一、いのちの産まれる場所で働くことのできる医師なのです。清聴に深謝します