平成20年11月5日 シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル 市民と共に考える公開講座 「産科医療の未来を語る」 主催:産科医療協議会 「守れ、日本の母と子を!」 「産科若手医師に夢を!」 産科医療協議会とは • 産科医療現場の医師を中心とした、個人 の自発的なグループです。全国で70名以 上の産婦人科医が参加しています。 • 活動内容 – 周産期医療の現状について専門家どうしで情 報交換するとともに、それを広く正しく国民に 伝える – 周産期・産科医療に携わる医療者を増やす 市民と共に考える公開講座 「産科医療の未来を語る」 平成20年11月5日 産科医療現場の実情 日本産科婦人科学会・産婦人科医療提供体制検討委員会 海野信也 北里大学医学部・産婦人科学 分娩施設の減少 (厚労省医療施設調査) 5,000 分 娩 施 設 数 1,400,000 4,500 1,200,000 年 間 1,000,000 出 生 800,000 数 4,000 3,500 1796 3,000 1720 1625 1503 2,500 2,000 1,500 1,000 2490 2271 1321 600,000 400,000 2072 1803 1612 500 0 200,000 0 病院 診療所 2007:1189+1637 出生数 出生場所別出生数の推移 (人口動態統計) 2,500,000 自宅その他 2,000,000 助産所 病院 205965 1,500,000 診療所 59925 838078 815611 12521 11353 11492 11407 11190 11289 603914 586000 575138 1,000,000 681873 639067 620849 137292 500,000 10676 10872 545766 555648 386973 814685 694107 525744 537980 536055 536280 524118 521998 503579 523539 1990 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 280292 0 68638 25770 1950 1960 1970 1980 わが国の分娩施設 ー1990年以降の変化ー 病院での出生 数 割合 1990年 2000年 2005年 2006年 681,873 639,067 545,766 555,648 55.8% 53.7% 51.4% 50.9% -6.3% -20.0% -18.5% 525,744 537,980 503,579 523,539 43.0% 45.2% 47.4% 47.9% +2.3% -4.2% -0.4% 出生数の 変化率 診療所での出生 数 割合 出生数の 変化率 厚生労働省 医療施設調査より 病院の医師は減少している 350 300 250 勤務施設別・産婦人科・産科医師の年齢分布 2006年末現在 診療所 医育機関附属の病院 病院 200 150 100 50 0 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60 63 66 69 72 75 78 81 84 87 90 93 一般病院と大学病院勤務医の在院時間 450 400 350 300 250 0 115 200 60 127 月間時間外在院 時間 150 100 非常勤施設での 在院時間 月間勤務時間数 177 155 一般病院(221) 大学病院(76) 50 0 一般病院勤務医の在院時間 450 月間時間外在院時間 400 月間勤務時間数 350 300 250 151 115 111 179 174 132 112 93 88 178 178 181 174 200 150 100 50 0 175 大学病院勤務医の在院時間 450 400 非常勤施設での在院時間数 月間在院時間 55 350 71 300 73 79 250 31 32 251 260 200 150 100 352 278 276 266 50 0 30歳未満 30-34歳 35-39歳 40-44歳 45-49歳 50-54歳 (11) (20) (18) (8) (14) (5) 施設別 性別 産婦人科+産科 医師数の 変化(60歳未満) 9000 8000 220 272 345 7000 1724 1765 1821 1307 1438 1649 4683 4419 4281 3920 1998年 2000年 2002年 2004年 388 1867 6000 人 5000 1672 4000 3000 2000 1000 0 女性・診療所 男性・診療所 女性・病院 男性・病院 400 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 53 55 57 59 61 63 65 67 69 71 73 75 77 79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 101 103 105 日本産科婦人科学会 会員数 2008年 450 女性 男性 350 300 250 200 150 100 50 0 日本産科婦人科学会 年齢別女性率 2008年 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 25 35 45 55 65 75 分娩取扱施設に勤務している割合 100% 研修開始後の期間 80% 2-5 yrs 6-10 yrs 11-15 yrs 60% 40% 20% 0% 男性 女性 日産婦学会 女性医師継続的就労支援委員会2007年調査 外科系学会新入会員の推移 2002-2003年と比較して、2006-2007年には新入会員が25%減少した。臨床研修制度 開始後、病院の医療現場から、若手外科系医師が6160名減少した計算になる 4500 4000 3500 減少分 3000 形成外科 脳神経外科 泌尿器科 2500 耳鼻咽喉科 眼科 2000 産婦人科 整形外科 1500 外科 1000 500 0 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 日本産科婦人科学会 入会年度別 新入産婦人科医数 2008年9月30日現在 400 300 214 238 210 202 213 200 100 0 152 137 53 48 93 50 116 133 144 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 女性 男性 350 300 250 勤務施設別・産婦人科・産科医師の年齢分布 2006年末現在 診療所 医育機関附属の病院 病院 200 150 100 50 0 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60 63 66 69 72 75 78 81 84 87 90 93 わが国の医療訴訟・診療科別既済件数(2006) 医師1000人あたりの件数 16 13.66375286 14 12 10.47668937 10 8.71419301 8 6.306306306 6 43.632751525 2.565335899 2.421924793 2.244897959 2 0 3.913256155 2.581658997 2.265005663 1.610565308 0.895938011 産科医療の現状 1 • 分娩施設が減少しています – 病院 • 病院勤務医の待遇・勤務条件悪化→病院勤務医の減少 • 女性医師の割合の増加 • 新医師臨床研修制度の導入 – 診療所 • 高齢化 • 安全確保のための医師・助産師確保困難 • 開業経費の増大 – 助産所 • 安全確保のための連携医療機関確保困難 • 世代交代による助産師のライフスタイルの変化 日本産科婦人科学会 卒業年度別 新入産婦人科医数 2008年9月30日現在 400 300 200 100 0 215 232 212 220 212 133 136 106 121 136 29 22 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 女性 男性 日本産科婦人科学会 入会年度別 新入産婦人科医数 2008年9月30日現在 400 300 214 238 210 202 213 200 100 0 152 137 53 48 93 50 116 133 144 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 女性 男性 2008年7月 日本産科婦人科学会 産婦人科動向 意識調査 全研修指導施設750病院中332病院が回答 全体としての産婦人科の状況 悪く なって いる 21% 少し悪 くなっ ている 26% よく なって いる 1% 変わら ない 35% 少しよ くなっ ている 17% 貴施設の産婦人科の状況 悪く なって いる 少し悪 13% くなっ ている 25% よく なって 少しよ いる くなっ 6% ている 24% 変わら ない 32% 全体としての産婦人科の状況 回答の理由(複数回答) 悪くなっていると感じる理由 1. 産婦人科医不足 61 良くなっていると感じる理由 1. 一般の方・マスコミの理解 33 2. 分娩施設減少 2. 人員増 12 3. 待遇改善 12 38 3. 施設減少のための残ってい る施設の負担増・勤務条件 の悪化 37 4. 診療の質の低下 9 4. 診療報酬の重点評価 8 自施設産婦人科の状況 回答の理由(複数回答) 悪くなっていると感じる理由 良くなっていると感じる理由 1. 産婦人科医不足・減少 56 1. 人員増 49 2. 諸要因による勤務の過酷化 42 3. 患者の要求水準の上昇 8 4. 待遇の悪化・改善の欠如 7 2. 待遇改善・手当増 30 3. 医学生・研修医の志望者増 の動き 9 4. 新入局者増 8 5. 病院側の理解 8 6. 勤務条件の緩和 8 産婦人科+産科医師数と 産婦人科新専門医数の推移 400 300 200 100 296 271 312 352 純減数 新専門医数 0 -100 -220 -220 -257.5 -257.5 2003 2004 2005 -200 -300 2006 厚労省 医師歯科医師薬剤師調査・日産婦学会データより 産科医療の現状 2 • 産婦人科を新規専攻する医師は少しずつ 増え始めている • 地域の基幹病院でも、状況がよくなってき ている施設が出始めている • でも、まだ産婦人科医全体の数が増えると ころまではきていない 医師養成数を増加させない限り、若手の医 師は増加しない 医師・歯科医師・薬剤師調査 日本産科婦人学会として 優先的に取り組むべき課題 • • • • • • • 勤務医の待遇・労働条件の改善 医学生・研修医対策 医療体制 医療紛争・訴訟対策 社会啓発活動 学会のあり方 診療報酬 172 91 47 39 37 21 14 これからどうしていけばいいか • 医師養成数全体を増やす • 新規に産婦人科医になる医師を増やす – 勤務医と開業医のバランスをよくする – お産を取り扱う開業医の減少を食い止める • 助産師を増やす • 産婦人科医と助産師が連携し、安全なお 産を地域で効率よく提供できるしくみを築 き上げる Project 500 産婦人科医は何人必要か • 毎年300名以上入っても、産婦人科医は減 少し続けている • 減少しないようにするだけで、年間500名 は最低必要。 それは米国の養成数にほ ぼ一致する • 500名は、政策的に確保する絶対的必要 がある • 500名いれば、なんとかなるかもしれない 図1 わが国の出生数の年次推移 (人口動態統計) 3 000 000 2 696 638 2 500 000 2 091 983 2 000 000 出 生 数 1 500 000 ( 人 ) 1 000 000 1 089 745 500 000 1880 1900 1920 1940 1960 年 1980 2000 2020 図2 わが国の将来推計出生数(2006年12月推計) 国立社会保障・人口問題研究所 千人 2028年 1200 1000 800 出生中位 600 出生高位 出生低位 400 200 0 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 図3 わが国の周産期死亡率の推移 周 産 期 死 亡 率 ( 出 生 50 40 30 20 千 対 10 ) 0 1940 1960 1980 2000 2020 図4 わが国の妊産婦死亡率の推移 妊 200 産 180 婦 160 死 亡 140 率 120 ( 100 出 産 80 1 60 0 万 40 対 20 ) 0 1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 産科医療の現状 1 • 日本のお産は年々安全になっています。 • 周産期死亡率、新生児死亡率は事実上、 世界最高水準にあります。 • 妊産婦死亡率も他の先進国とほぼ同等の 水準です。
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