課題系列化のための教授方略の 特性分析 竹谷 誠 学籍番号: 0312000082 発表者: 佐藤 篤 発表日: 2003年5月8日 この論文は何の論文? 従来からある各種の教授方略の特性を活 かした新しい学習課題系列化法を提案して いる論文 ポテンシャル性とコヒーレンス性を包含した 系列化指数とそれに基づく系列化手続きを 提案している論文 結論 提案した系列化手続きは、他の研究で発表 されている方法と比べてみると、ポテンシャ ル指数とコヒーレンス指数を包括した系列 化指数・目標指向性因子負荷(λ)・前提指向 性因子負荷(μ)を用いていることによってコ ヒーレンス&ポテンシャル性の特性の程度 を表すことができた。 学習化系列法 2次元にグラフ構造化された教材(教材構 造グラフ)をもとに、1次元的に学習課題を 配列するための方法。 T={T1 ,T2 , ・・・,Tn} 教材構造について 1 Ti が Tj の必須の前提課題であり、Tjよりも 先に学習しなければならない時、TiからTj へ直接順序関係が成り立ち、Ti⇒Tj と表す。 また、成り立たない場合、Ti⊥Tj と表す。 Ti から Tj へ直接順序関係が成り立つか、また は二つ以上の直接順序関係を経由して、間接的 に順序が成り立つ時、TiからTj へ可到達である といいTi→Tj と表す。また、可到達でない場合は Ti∇Tjと表す。 ポテンシャル性 本論文では、個々の学習課題が教材構造 グラフの中で相対的にどのような位置にあ るかによって系列の順番を決定する教授方 略をいう。 ポテンシャル性の程度を定量化した量をポ テンシャル指数(g または d で表す)という。 基礎性 尺度は、目標指向性因子量 go(Ti) を用いて 表現される。 当該課題に対する目標課題数の多さを定 量化したもの。「目標性」とも呼べる。 下位性 尺度は、逆前提指向性因子量gpで表現され る。 当該課題に対する前提課題の少なさを定 量化したものであり、前記と同様に前提指 数性因子gpを用いると、逆に上位性、前提 性となる。 下位の課題から上位の課題の順に系列化 すれば、学習が円滑に進められる。 コヒーレンス性 課題間の関係に着目した教授方略 コヒーレンス性の程度を定量化した量をコヒー レンス指数(f または h で表す)という 関連性 尺度は、目標指向性因子量 fo と前提指向 性因子量 fp の和を用いる。 二つの課題が共通にもっている前提課題と 目標課題が多いほど、両者の関連は強い。 合前提性 尺度は、前提指向性因子量 fp を用いる。 二つの課題が共通にもっている前提課題が 多いほど、系列において近接すべきである と解釈する考えに基づいている。 合目標性 尺度は、目標指向性因子量 fo を用いる。 二つの課題が共通にもっている目標が多い ほど、系列において近接すべきであると解 釈する考えに基づいている。 脈絡性 関連性指数、合前提性指数、合目標性指 数を一般化したものを脈絡性指数という。 θ[1,0]は合目標性指数、θ[0,1]は合前提性 指数、θ[1/2,1/2]は関連性指数に一致する。 連続性 (ボトムアップ型手続きの場合)系列Oにおい て、条件 c(Ti-1,Ti)(i=1,2,・・・,n) が成り立つ とき、系列Oは連続性が成り立つ。 (トップダウン型手続きの場合)系列Oにおい て、条件 d(Tn-i+1,Tn-i+2)(i=1,2,・・・,n) が成り 立つとき、系列Oは連続性が成り立つ。 教授方略の指標の特性分析 教授方略を選定する上では、それぞれの指 標がどのような意味と特性をもっているかを 把握することが重要 前述した指標間の関係を解析し、その特性 を吟味する 基礎性と下位性の関係 基礎性が最も低く、上位性が最も高い課題 は、1次元に課題が配列された時の最終目 標課題である。 基礎性が最も高く、上位性が最も低い課題 は、1次元に若しくは多次元に課題が配列 されたときの、最終目標課題までの距離が 最も長い初期前提課題である。 合前提性と下位性との関係 2つの課題TiとTjの合前提性指数ρijの上限 値が、当該課題の下位性指数の比の平方 根である。 2つの課題TiとTjの下位性の程度が近接す ればするほど、合前提性の程度は高くなる。 逆に隔たれば隔たるほど高くなり得ない。 合目標性と基礎性の関係 2つの課題TiとTjの合目標性指数oijの上限 値が、当該課題の基礎性指数の比の平方 根である。 2つの課題TiとTjの基礎性の程度が近接す ればするほど、合目標性の程度は高くなる。 逆に隔たれば隔たるほど高くなり得ない。 包括的系列化指数 脈絡性指数の一般化 目標指向性因子量 fo(Ti,Tj)、目標指向性因 子負荷 λ、前提指向性因子量fp(Ti,Tj) 、前 提指向性因子負荷 μによって定義される。 提案された指数&式 |λ|+|μ|=1が成り立つ場合 Θ[λ,μ](Ti,Tj)≡λfo (Ti,Tj)+μfp (Ti,Tj) fo (Ti,Tj)=1/N・N[So(Ti)∩So(Tj)] fp (Ti,Tj)=1/N・N[Sp(Ti)∩Sp(Tj)] 教授方略の分類 ボトムアップ手続き(B):系列の先頭課題から 順に決定し、最後に末尾課題を決定する手順 トップダウン手続き(T):末尾課題から出発して、 学習課題の中で最も系列化基準にあった課題 を逆順に順次選定していき、最後に先頭課題 を決定する手順。 クラスタリング手続き(ε):最終的に求める系列 の中で最も系列化基準にあった部分系列から 順次決定し、最終的に一つの系列を決定する 手順。 系列化手続きの定式化 B=B (σ,τ,φ)、T=T (σ,τ,φ) σ:指数名、一般には f または g で表記する。 τ:最適基準(教授方略において、指数の最大 値を基準に系列すべき課題を選択するか、最 小値を基準に選択するかを指定する。パラ メータ値は max. か min. が入る) φ:対象課題指定(指数をどの課題間に適用し た最適値であるか、すなわち指数が適用され る対象課題を指定する)。 対象課題の種類 単独型(inde.):既系列課題とは無関係に、 系列化可能課題からポテンシャル指数の最 適値に合致した課題を選択する方法 連続型(cont.):最新に系列化した課題と連 続性が成り立つ課題のうち、最適値をもつ 課題を選択する手続き。 順列型(perm.):最新に系列化された課題Ti1と次に系列化される課題Tiとの関係のうち、 最適値をもつ課題を選択する方法。 組合せ型(comb.):既系列Oli のすべての課 題と次に系列化される課題との関係のうち、 最適値を満たす課題を選択する手続き。 一対型(one-p.):既系列課題のうち、特定の 課題と次に系列化される課題との関係のう ち、最も基準に合致した課題を選定する方 法。 教授方略の特性分析 二つの系列化手続きにおいて、得られる系 列集合が同一のとき二つの手続きは同値 であると言い、記号 ~ で表し、包含関係に あるとき記号 ⊇ を用いる。 λとμの値によって、多種の指導方略にのっ とった系列を生成できる。 また、前ページの図から方略に応じてλとμを 決定することができる。 まとめ この論文では、ポテンシャル性とコヒーレンス 性を包含した系列化指数とそれに基づく系列 化手続きを提案した。 またその方法によってポテンシャル性とコヒー レンス性の諸特性をもった系列を生成するこ とができる。 参考文献 新学社 URL:http://www.sing.co.jp/koza/koza073.ht m
© Copyright 2024 ExpyDoc