児童の抑うつ認知処理過程による 登校回避感情生起の検討 ○嶋本 恵1) 西村 大樹2) 東條 光彦1) 1)岡山大学大学院教育学研究科 2)岡山県精神科医療センター Ⅰ.問題と目的 ストレス媒介モデルでの説明が可能か? 登校回避感情は抑うつの表現型の一つ? 登校回避感情 Ⅱ.方法 抑うつ症状 セルフ・エスティームの低さ 友人関係上の問題 学業の問題 ◆調査対象:岡山県内の小学4~6年生1,525名(男子 764名,女子761名) ◆調査内容:①児童用非機能的態度尺度(DAIC) (佐 藤,2005) : 「破局的・絶望的態度」9項目のみ, ②児童用自動思考尺度(ATIC) (佐藤・嶋田,2006), ③学校忌避的感情測定尺度 (古市,1997), ④小学生用学校ストレッサ―尺度(嶋田,1998):「友だ ちとの関係」尺度6項目, 「学業」尺度8項目, ⑤家庭の雰囲気尺度(菅原,八木下,詫摩,八泉,瀬地山, 菅原,北村,2002) セルフ・エスティームの低さ 対人関係の障害 学業成績の低下 絶望感 認知能力の低さ など など (Asarnow et al.,1987) Table1 男女別の平均値(SD) および比較結果 Ⅲ. 主要な結果と考察 女子の方が・・・ 男子 女子 t 学業ストレッサー 18.11(5.53) 18.37(4.97) 0.87 n.s. 友人関係ストレッサー 11.76(3.99) 10.95(3.87) 14.71*** 家庭の雰囲気 15.40(5.10) 14.69(4.85) 7.09** 抑うつスキーマ(DAIC) 15.60(5.25) 16.44(5.20) 9.45** 自己の否定 1.95(2.89) 2.00(2.85) 34.76*** 絶望的思考 学校ストレッサー ★特定の状況下で物事をネガティブに捉えやすい 可能性! 「登校回避感情」が生起する過程では・・・ 自動思考(ATIC) ★抑うつスキーマをもつ者がストレスフルな出来 事を経験することで,単なる「落ち込み」が,“自 分はだめな人間だ”などのネガティブで継続的な 自動思考の反すうを誘発していく可能性! ★ネガティブな自動思考とポジティブな自動思考 のバランスの崩れが大きく影響する。 7.06(2.98) 7.03(2.68) 0.04 n.s. 将来への期待 10.95(3.32) 11.23(3.09) 0.04 n.s. サポートへの期待 13.13(2.76) 13.63(2.49) 12.69*** 20.48(7.65) 19.91(7.67) 1.94 n.s. 登校回避感情 *p<0.05,**p<0.01,***p<0.001 ネガティブな 自動思考 学業ストレッサ― スキーマはすでに形成 されている可能性! .80*** .71*** 抑うつスキーマ .22*** .71*** .34*** .48*** 自己の否定 学校ストレッサ― 絶望的思考 自動思考 .65*** df=10, *p<.05, **p<.01, ***p<.001 GFI=.90, AGFI=.71, NFI=.77 .25*** .36*** 友人関係ストレッサ― Fig.1 児童の登校回避感情に関する認知モデル ―.44*** ポジティブな 自動思考 サポートへの期待 登校回避感情 ―.22*** 「登校回避感情」 を抑制
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