Ⅰ 勤労者予防 センターの取り組み と病院(病棟・外来)との連携を

勤労者予防医療セミナーで
実施した、メンタルヘルスセミナー事例
中部労災病院
勤労者予防医療センター
事務長:平山 貴雄
産業看護師:茂木 順子
実施施設:地域包括支援センター
対 象 者:地区のケアマネジャー
人
数:15名
時
間:1時間30分
セミナー内容:メンタルヘルスに関して
(講義 約50分、演習 約40分)
地域包括支援センターとは
地域包括支援センターとは、平成18年4月1
日から介護保険法の改正に伴い創設された機
関で、地域住民の心身の健康維持や生活の安
定、保健・福祉・医療の向上、財産管理、虐待
防止など様々な課題に対して、地域における
総合的なマネジメントを担い、課題解決に向けた
取り組みを実践していくことをその主な業務とし
ています。
【基本機能】
① 「総合的な相談窓口機能」
地域の高齢者の実態把握や、虐待への対応など権利擁護
を含む
② 「介護予防マネジメント」
新・予防給付の予防プラン作成を含む
③ 「包括的・継続的なマネジメント」
介護サービス以外の様々な生活支援も含む
原則的に市町村が実施主体となるが、非営利法人などに運営
を委託することもできます。
整備目標としては、中学校区を一つの単位として全国で5,000ヶ
所程度整備する予定とのことです。
【職員配置】
① 社会福祉士 ⇒ 「総合的な相談窓口機能」
② 保健師 ⇒ 「介護予防マネジメント」
③ 主任ケアマネージャー ⇒ 「包括的・継続的なマネジメント」
ケアマネジャーの支援
セミナー内容
【講義】
テーマ~心の健康と生活習慣病
心の不健康をもたらすキーワード
-ストレスを知るために-
過重労働・過労死・自殺死亡・うつ病・睡眠障害
(細目)
働く人の心と体の健康に関する行政措置
働く人をとりまく環境
ストレスに関する統計・事業所の取り組み状況
うつ病になるしくみ
職場復帰支援について・手引き
ストレスとは・自動思考、認知療法について
職場の環境改善・ストレスと生活習慣病
演習内容
ストレス対処実践法
~認知療法によるアプローチ~
認知療法とは:ものの見方とか、物事をどう解釈するかという
意味
〔Cognitive Therapy ゴグニティブ.セラピー〕
頭の中で何を考えているのか、何と自分に言っているかという
ことに注目していく心理療法
認知療法の基本となる考えは「自動思考」と呼ばれている
~ある状況に出合った時、とっさに頭の中で考えること、
自動的にパッとうかんでくること~
実際の演習
ストレスをつくりやすい認知の否みと修正について学ぶ
認知の歪み
歪みを修正する
『全か無か思考』 (完璧主義思考)
物事を全てか(白)何もないか(黒)の
両極端で考える。
状況を全(100)か無(0)ではなく
0 100の間で評価する。
『過度の一般化』
一つの否定的な事柄を一般化したり、
継続的なものとみる。
「いつも」ではない。そうでない時を
発見する。
『心のフィルター』
否定的側面に焦点をあわせ、肯定的
側面を無視する。
マイナス面だけでなく、全体を見る
『心の読みすぎ』
人の気持ちを否定的に解釈する。
相手の心を悪い方に憶測しない
『先読みの誤り』
将来を悲観的、否定的に読む。
プラスをイメージする
認知の歪み
歪みを修正する
『拡大解釈』
否定的面を拡大解釈する。
大袈裟に考えない
『べき思考』
物事は自分の期待通りであるべきだ
と考える。
自分や相手を「こうあるべき」「こうある
べきではない」と批判する。
「であれば良い」と言い換える
『レッテル貼り』
ミスをした時「私は間違いをした」と言
う代わりに「私はバカだ」「失敗者だ」
などとレッテルを貼る。相手に対して
も自分の意にそわないような時に
レッテルを貼る。
レッテルをはがす
具体的な状況としてとらえる
考え方の傾向 ~実践してみよう
状 況
他の人たちがいる前で
私の仕事を批判される
と、
大切な話をしていると
きに相手の人がアクビ
をすると、
スーパーで買い物をし、
レジでお金を払うとき
財布を忘れたのを発
見したら(後ろには長
い行列ができている)、
大事なプロジェクトを
任せると上司に言わ
れたら、
誰かにあなたの仕事
を褒められたr、
感情:悲哀、不安、
怒りなど
度合い:1~100%
感情に伴う自動
思考
認知の歪み
合理的な
反応
結果:その後の
気分
1~100%
まとめ
ケアマネジメントを携わっているケアマネージャーも、他の職場
と同様に日々、色々なそして過重なストレスに苛まれています。
利用者や家族との関係、サービス事業所や医療機関との関わ
り方、ケースに対する支援の方法で悩んだり等、ストレスの原
因となる要因は様々あります。
その結果、うつ状態・うつ病になったり、燃えつきてしまう人も多
いと聞いています。
今回の事例は少人数の対象者でもあり、講義を聞いて頂くとい
う受け身の内容だけでなく、自身がどのようにストレスを受けと
めているか、それをどのように受けとめれば、行動すれば上手
にストレスと対応していけれるのかを、認知療法を用いて学ぶ
時間をとりました。実施する中で受講者からも活発な発言もあ
り、よい反響を得ることができたのではと思います。