定量分析

定量分析
電子天秤
(ロードセル式)
その3
ロードセルとは・・・
ロードセルは、「力」を他の量に変える変換器で、油圧式のような例外を別にし て、通常ひずみ
ゲージを使い、「力」を「電気出力」に変えるものを指す。レールのような金属の棒の伸び縮みを
知りたい時 、別の金属線をレールに接着して(電気的 には絶縁して)取り付けると、レールの伸
び縮みに応じて金属線も伸び縮みする。伸びると長さが伸び、断面積が減るので電気抵抗が増
え、縮むとその逆で電気抵抗が減る。 つまり長さの変化が、電気抵抗の変化に置き換わる。
50Ω
力
物体の寸法変化
100Ω
200Ω
抵抗体の寸法変化
抵抗の変化
ひずみの生じ方
物体は外力を受けると変形する。物体が外力を受けて変形すれば、物体を構成する各分子間に
は分子力が作用し、外力による変形を妨げようとする内力が生じる。
物体が受けている外力と物体の内部に生じる内力がつりあうと物体の変形は停止する。その時、
物体の断面に生じる単位面積当たりの内力を応力と言う。
P
σ
上図では、顔を殴られている。パンチは外力、顔は物体になる。外力であるパンチの力に対して
顔で応力が生じる。パンチの外力を P (N) だとして、殴られている部分の面積を A (m2) だとした
ら、応力σは次のようになる。
σ =
P(N)
A(m2)
=
P
A
(Pa)
ひずみ
物体が外力を受けて変形した時、元の寸法に対しての変化分を単位長さ当たり
で表したものをひずみと言う。辞書では、物体に外力を加えたときに生じる、伸
び・縮み・ねじれなどの変化の割合をひずみと表している。
トルコアイスを棒で引っ張っています。
元のアイスの長さを l 、引っ張った後のアイスの長さ
を ⊿lとする。この場合ひずみεは次のようになる。
ε =
⊿l
l
ひずみは元の長さとの伸び量の比なので単位は存在しない。
⊿l
応力とひずみ
応力σ
弾性域
塑性域
比例限界
カンダタ
他の罪人たち
も登ってきた
仏様の怒りをかう
「この糸は俺の
だ・・・」
カンダタ登り始め
血の池地獄
ひずみε
ロードセルが機能するのは、この範囲
応力が小さいときは、応力とひずみは比例している。これをフックの法則という。ある程度
応力が大きくなると、ひずみは応力に比例しなくなる。この限界の応力を比例限界とよぶ。
さらに応力が増していくと、ついに物体は壊れてしまう。この点が破壊点である。
フックの法則が成り立つ間は、ひずみゲージの抵抗変化とひず
みの間には直線関係が成り立ち、次のような式が成立する。
⊿R
R
= K×ε
R:ひずみゲージの元の抵抗値(Ω)
⊿R:伸び縮みで起きた抵抗変化(Ω)
K:比例定数(ゲージ率:金属によって固有)
ε :ひずみ
抵抗の変化→かかる力
ロードセルの測定原理
ロードセルに力が加わると、ひずみゲージの電気抵抗値が変化する。この抵抗値の変化
を電圧で測定する。ひずみゲージの抵抗変化は非常に小さいので、一般的には図のよう
なホイートストンブリッジ回路を組んで検出する。
a
R1
R4
Ia
Ib
R2
Ib
b
Ein
キルヒホッフの第一法則より
I=Ia + Ib
Eout
Ia
R3
I
オウムの法則より
Ein=Ia(R1+R4)
Ein=Ib(R2+R3)
a、b回りの電流は、
Ia =
Ein
(R1+R4)
I b=
Ein
(R2+R3)
出力電圧は点a、bの電位差だから
Eout=Ea-Eb=IaR1-IbR2
Ein
Ein
=
R1 -
R2
(R1+R4)
(R2+R3)
R1
R1R3 - R2R4 E
R2
in
=
= Ein
-
(R1+R4)
(R1+R4)(R2+R3)
(R2+R3)
ここで R1R3 = R2R4 のような抵抗を選ぶとEout=0となり平衡状態となる。
よって例えば、R1の抵抗がR1→R1+⊿Rに変化すると平衡状態が崩れ、
電圧を検出するようになる。
さらに前回勉強したロバーバル機構をとるように抵抗を配置すると
抵抗
伸びる
R1
⊿R1
R4
R2
縮む -⊿R2
R3
-⊿R4
⊿R3
F
縮む
伸びる
そこで、ホイートストンブリッジ回路の抵抗を全てRとした時に、力Fによる微小な抵抗
の変化⊿Rがあれば、ロバーバル機構によって等しく力がかかるので・・・
⊿R1= ⊿R3 = ⊿R
⊿R2= ⊿R4= -⊿R
2
R1R3 - R2R4 E
(R+⊿R)2 - (R-⊿R)
in =
Eout=
(2R)2
(R1+R4)(R2+R3)
=
4R⊿R
4R2
= Kε Ein
Ein =
⊿R
R
Ein
Ein
RとEinは既知なので、Eoutを測定す
れば抵抗変化すなわち、かかった力
(ひずみ具合)が分かる。