不法行為とは何か • (1)一般的第三者間の損害賠償 – 加害者(不法行為者:被告) -- 被害者(原告) • (2)不法行為法の組立て – (ア)一般の不法行為と特殊の不法行為 – (イ)統一的不法行為要件 不法行為法の目的 • 原状回復 • 被害者の救済 – 損害の填補 • 不法行為の抑止 – 一般抑止 – 個別抑止 制裁的機能 各国の不法行為法 • 単一ルール主義 (民法709条) – フランス民法1382条 • 社会生活の発展に柔軟に対応しうる。 曖昧さを併せ 持つ。 • 多元的ルール主義 – ドイツ民法823-1条、823条1項,2項、826条 • 不法行為の外延が比較的明瞭である。 • コモン・ロー(英米法) – 判例法による類型化 • 変化の激しい現代社会に対応できる柔軟性を持つシ ステム。 先進性 • http://cals.aichi-u.ac.jp/products/materials/torts/TortCases.html フランス民法1382条 • いかなる行為によるにせよ、フォート(過失) によって他人に損害を与えた者は、その損害 を賠償する義務を負う。 • Article 1382 – Tout fait quelconque de l'homme, qui cause à autrui un dommage, oblige celui par la faute duquel il est arrivé, à le réparer.. ドイツ民法823条 • (1)故意又は過失に因りて他人の生命、身体、健康、自由、 • 所有権又はその他の権利を違法に侵害したる者は、その他 人に対し之に因り生じたる損害を賠償する義務を負う。 (2)他人の保護を目的とする法律に違反したる者亦同一の義 務を負う。法律の内容に依れば過失なくしても其の法律に違 反することが可能なるときは、過失ある場合にのみ賠償義務 を生ず。 • § 823 Schadensersatzpflicht • (1) Wer vorsätzlich oder fahrlässig das Leben, den Körper, die Gesundheit, die Freiheit, das Eigentum oder ein sonstiges Recht eines anderen widerrechtlich verletzt, ist dem anderen zum Ersatz des daraus entstehenden Schadens verpflichtet. • (2) Die gleiche Verpflichtung trifft denjenigen, welcher gegen ein den Schutz eines anderen bezweckendes Gesetz verstößt. Ist nach dem Inhalt des Gesetzes ein Verstoß gegen dieses auch ohne Verschulden möglich, so tritt die Ersatzpflicht nur im Falle des Verschuldens ein. ドイツ民法826条 • 善良の風俗に反する方法を以て故意に他人 に損害を加えたる者は、その他人に対し損害 を賠償する義務を負う。 – §826 Sittenwidrige vorsätzliche Schädigung • Wer in einer gegen die guten Sitten verstoßenden Weise einem anderen vorsätzlich Schaden zufügt, ist dem anderen zum Ersatz des Schadens verpflichtet. 不法行為法学の混迷状況について • 我妻栄(東大ー独) 通説の形成 • 加藤一郎(東大ー独) – 我妻法学の補完・通説の完成 • 平井宣雄(東大-仏・米) – 通説批判・過失一元論・義務射程説 • 石田穣(東大-独) 危険性関連説 • 前田達明(京大-独) 違法性一元論 教科書βの構成 (民法Ⅳ 債権各論) • Ⅰ.序説 • Ⅱ.不法行為法の発展 • Ⅲ.一般の不法行為 • Ⅳ.権利(法益)保護の諸類型 • Ⅴ.特殊の不法行為 • Ⅵ.不法行為の効果 不法行為法の論点 • 要件論 – – – – 要件はいくつか? 4,5,6 ? 故意・過失を峻別する意義 過失についての論争 一元論と二元論 違法性についての論争 • 一元論と二元論 • 違法性不要論 – 因果関係論 • 仮定的因果関係 • 事実的因果関係と法的因果関係 • 相当因果関係説への批判 • 効果論 – 損害概念 差額説と具体的損失説 – 原状回復と差止請求 – 損害額の算定 違法性と過失 • 権利侵害から違法性へ、そして権利侵害へ – 権利侵害の要件 損害の発生、権利侵害(旧民法にな かった概念の導入) – 法的保護の拡大と違法性概念の導入 • 雲右衛門事件と大学湯事件、末川博『権利侵害論』(1930) • 基本構造の確立とその転換 – 違法性と過失の対置 – 基本構造の転換 • 過失概念の変化→心理状態から結果回避のための客観的義務 違反 • 平井宣雄による違法性概念不要論→過失一元主義 提起が転 換期となる。 不法行為法の発展 • 責任帰属の原理 – (1)過失責任主義 • (ア)立法者の選択 • (イ)過失責任主義の射程範囲 – (2)無過失責任主義 • (ア)損害の合理的分配 • (イ)危険責任と報償責任 – (3)両者の棲み分け 危険責任と報償責任 • 危険責任 – 損害発生の可能性の高い危険源を支配する者 は、そこから定型的に生じる結果に対してみずか ら責任を負うべきであるという帰責原理 • 報償責任 – 利益を得る者が損失をも負担すべきであるという 考え方に基づく帰責原理 帰責原理の変遷 • 結果(原因)責任主義 • (Erfolgs od. Kausalhaftung) • 過失責任主義 • (Verschuldungshaftung) • 無過失責任主義 • (Haftung ohne Verschulden) • 次は? 補償制度? 法と経済学(Law and Economics) • ハンドの定式(Hand fomula) – ハンド裁判官の提示した過失責任認定のための判 断枠組 B < P x L • 法と経済学における二潮流 • 1.Richard A. POSNER, Economic Analysis of Law (1977) • 2.Guido Calabresi, The Cost fo Accidents: A Legal and Economic Analysis (1970) 不法行為法の補完と代置 • (1)責任保険 – 責任の社会化 保険の果たす役割 • (2)各種の補償制度 – 労働者災害補償保険法(1947)、公害健康被害 の補償等に関する法律(1973)、医療品副作用被 害救済・研究振興基金法(1979) • 総合的補償システム • ニュージーランド事故補償法(1972,1982大改正) 被害者救済システムの形成 • (1)複数の源による損害填補 • (2)不法行為法の目的 – 近代法における民刑両責任の分化により、損害 填補機能が不法行為法の主要目的となる。 – 当事者間では、公平な負担、社会全体からみれ ば損害の合理的な配分が実現されるべきである。 – 制裁的機能、事故予防機能の再評価 加害行為 の抑止
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