CUG(Categorial Unification Grammar)

CUG(Categorial Unification Grammar)
範疇文法・・・構文構造などの文法情報を語彙項目の中に記述
非終端標識を使用する文法規則
語彙範疇を使用して文法情報を表す
語彙的な情報
語彙文法をユニフィケーション文法として定式化する方法
CUG(Categorial Unification Grammar)
語彙範疇~基本範疇
語彙範疇
基本範疇
導出範疇
構成素の構造を表す
(1)基本範疇 基本範疇として次の3つを仮定する
基本範疇: N 名詞
NP 名詞句
S 文
語彙範疇~導出範疇
基本範疇以外を導出範疇として定義する
(2)導出範疇 基本範疇を組み合わせたもの
導出範疇: NP/N
冠詞
S\NP
自動詞
(S\NP)/NP
他動詞
(S\NP) \(S\NP) 副詞
導出範疇は基本範疇と丸括弧()およびスラッシュ、バックスラッシュを使って表す
導出範疇の一般形
<result direction argument>
result , argumentは範疇(基本範疇または導出範疇どちらでもよい)
directionは右結合(/)または左結合(\)
文中における語彙範疇の順序を表す
directionが右結合のとき
導出範疇“<result/argument>”・・・右側に“argument”をとって“result”
となる範疇
directionが左結合のとき
導出範疇“<result\argument>”・・・左側に“argument”をとって“result”
となる範疇
語彙範疇~例
●冠詞を表す導出範疇NP/N
導出範疇NP/Nは、右側に名詞Nを取って名詞句NPとなる語彙範疇である
冠詞 the の語彙範疇
右側に名詞roomを取って名詞句 the roomとなるような語彙範疇
自動詞 sings の語彙範疇
左側に名詞句 she を取って文 she singsとなるような語彙範疇
他動詞
右側は目的語となる名詞句を取って動詞句となる
左側に主語となる名詞句を取って文となる
副詞
左側に動詞句を取って動詞句となる
関数子と引数
導出範疇 X|Y (”|”は右結合もしくは左結合のいずれかを表す)
導出範疇の右または左に範疇をとることを示している
関数的な動作を示唆している
導出範疇は「“argument”を“result”に写像する関数」
冠詞の導出範疇NP/Nは名詞Nを名詞句NPに写像する関数
自動詞の導出範疇S/NPは名詞句NPを文Sに写像する関数
と考えることができる
導出範疇・・・「関数子」
その右、左にとる語彙範疇・・・「引数」 と呼ぶ
関数適用
結合規則・・・関数子と引数を結びつける規則
関数適用
右関数適用 :X→
左関数適用 :X→
ar
al
X/Y Y
Y X\Y
1つの語彙範疇から別の語彙範疇を導く操作である
the room →ar
NP
冠詞the
the
NP/N
room
N
の導出範疇NP/Nに名詞roomの基本範疇NPを右関数適用
句構造規則との対応(1)
関数適用は句構造規則に対応させて考えることができる
NP →ar
ER6)NP →
ER7)NP →
NP/N N
D
NP
A
NP
冠詞、形容詞共に、右側に名詞を取ることで名詞句となるような範疇
句構造規則との対応(2)
左関数適用
she sings →al
S
she
NP
ER1) S → NP VP
sings
S\NP
に対応
同様に考えると
ER5) NP → NP PP
前置詞句の導出範疇は NP\NP と表される
左側に名詞句NPを取って名詞句NPとなる導出範疇
関数子NP\NPを名詞句NPに左関数適用→名詞句に対する基本範疇NPを導出
NP
→al
NP NP\NP
句構造規則との対応(3)
同様に
ER2)
VP → VP
PP
前置詞句の導出範疇は (S\NP)\(S\NP) と表される
左側に動詞句S\NPを取ることにより動詞句S\NPとなる導出範疇
導出範疇S\NPを関数詞(S\NP)\(S\NP)に左関数適用
→ 導出範疇S\NPが得られる
NP
→al
S\NP (S\NP)\(S\NP)
構造表現
関数適用を使うと文の構文構造を表すことができる
he
NP
sees
the
(S\NP)/NP
room
NP/N
today
N
(S\NP)\(S\NP)
ar
NP
ar
S\NP
ar
S\NP
S
al
解析木
関数適用によって作られる解析木
S
NP
S\NP
S\NP
(S\NP)\(S\NP)
NP
(S\NP)/NP
NP/N
he
sees
the
N
room
today
関数合成
関数合成・・・関数子と関数子を結合して新しい関数子を作る演算
右関数合成
左関数合成
右関数合成: X/Z →cr X/Y Y/Z
右関数合成2:(X/W)/Z →cr2 X/Y (Y/W)/Z
右関数合成3:X \Z →cr3 X/Y Y\Z
左関数合成: X\Z →cl X\Y Y\Z
左関数合成2:(X\W)\Z →cl2 (Y\W)\Z
左関数合成3:X\Z →cl3 Y/Z X\Y
X\Y
タイプレージング
タイプレージング
範疇Yに対して、Yを引数にとる範疇X/YまたはX\Yに対して、範疇Yを
新しいそれぞれの範疇X/(X\Y)またはX\(X/Y)で置き換えること
条件:2つの範疇YおよびX\Yを定義しておく
新しい範疇・・・タイプグレーズド範疇
範疇X|Yにおいて
結合記号“|”が左結合“
\
結合記号“|”が右結合“
タイプレージング・・・結合の方向を変える
/”であるとき
”であるとき
タイプレーズド範疇の中で範疇X|Yの右側に加えられた部分“|Y”の
タイプレーズド範疇の中で範疇X|Yの左側に加えられた部分“X|”の
結合記号は左結合“\”である
結合記号は右結合“/”である
タイプレーズド範疇を
用いた解析
“she sings”に対し名詞句の範疇NPと自動詞句の範疇S\NPに左関数適用
she
NP
S
sings
S\NP
al
範疇NPと範疇S\NPに対して左タイプレージングを適用
NP →tr S/(S\NP)
範疇NPと範疇S\NPに対するタイプレーズド範疇
右関数適用を使用
she
S/(S\NP)
S
sings
S\NP
ar
この例の場合
左関数適用によっても右関数適用によっても解析可能
(例-1)She sees the table
she
sees
NP (S\NP)/NP
the
table
NP/N
N
NP
S\NP
ar
ar
al
名詞句“she”に対する範疇NPと他動詞“sees”に対する範疇(S\NP)/NPに対して関数適用ができない
文の前からの解析は不可能
(例ー2)She sees the table
she
sees
the
table
S/(S\NP)
(S\NP)/NP
NP/N
N
S\NP
S\NP
S
cr
cr
cr
名詞句“she”の範疇NPの代わりにタイプレーズド範疇をS/(S\NP)を使うことで
文の前から解析できるようになる
タイプレージングの種類
文の守護である名詞句に対して、右タイプレージング
主語タイプレージング : NP →tr
S/(S\NP)
他動詞の目的語に関するタイプレージング
他動詞目的語タイプレージング : NP →tv
VP\TV
VP・・・導出範疇S\NP
TV・・・他動詞句の導出範疇(S\NP)/NP
二重他動詞の第2目的語タイプレージング
NP →ttv ((S\NP)/NP)\(((S\NP)/NP)/NP)
他動詞目的語タイプレージング
を使った解析
He
found
the room
quickly
NP
TV
NP
VP\TV
VP\TV
tv
VP\TV
S\NP
S
cr
al
al
二重他動詞の第2目的語
タイプレージングを使った解析
(S\NP)/NP・・・他動詞句の導出範疇
((S\NP)/NP)/NP・・・二重他動詞句の導出範疇
John
must
NP
leave
(S\NP)/VP
VP
ttv
S/(S\NP)
ar
S/VP
S
ar