スライド 1

神戸大学 安岡ゼミ
日本の雇用制度は
大きな矛盾を抱えていま
す
雇用に関するさまざまな問題
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増加する失業率と
長時間労働に伴う過労死
フルタイムとパートタイムの待遇・賃金
格差
失業手当などのセーフティネットの不徹底
男女間賃金格差
「過労死するほど働く人」
「低賃金・低処遇の条件下で働かざるを得ない人
「働く意欲があるのに働けない人」
これらの問題点を改善する手段
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狭義:有償労働において、労働時間を削減
することで、新たな雇用を創出しようとする
もの。
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広義:企業に限らず、家事などの無償労働
に分類されるワークもシェアしていこうとい
モデル
A
正規労働
残業
B
正規労働
残業
C
雇用機
会の創
出!!
これからの流れ
政策提
言
問題点
(現状)
ワーク
シェア
リング
1.緊急避難型ワークシェアリ
ング
一時的に所定内労働時間を短縮化
より多くの雇用を創出
景気の悪化を乗り切る
【日本の事例】
シャープ、富士通は労使合意済み。導入に前向きな企業も多い。
ブルーカラーのみの導入。ホワイトカラーは適応外。
2.中高年対策型ワークシェアリ
ング
中高年労働者を中心に労働時間を短縮化
定年退職以降の継続雇用
高齢者の短時間雇用を実現
【ドイツの事例】
「高齢者パート就労法」改正(1996年):
年金が支給されるまで労働者を「パート労働」に移行させ、政
府が賃金の20%を保障 ⇒高齢者の雇用維持を実現。
3.雇用創出型ワークシェアリン
グ
法定労働時間の短縮一律化
失業者に新たな就業機会を提供
雇用創出・失業率改善
【フランスの事例】
週35時間労働制(1998年公布・2000年施行)
⇒98年から02年までに新たに約169万人が雇用された他、
余暇が増加し、健康状態が改善された。
4.多様就労対応型ワークシェアリ
ング
勤務形態の多様化(個人選択)
パートタイマーとフルタイマーの均等待
遇、
正社員における短時間勤務の導入など
多様な労働者(特に労働弱者)にとって
働きやすい環境と雇用機会を与える
【オランダの事例】
社会保障や税金の諸制度も改善
⇒多様な就労形態が実現
パートタイム経済/ワークシェアリングを成功させた
オランダ・モデル
1970年代〜「オランダ病」:
増大する財政赤字、賃金の高
騰、拡大する失業率など大不
況
「ワッセナー合意」(1982):
労働組合
賃金と物価のスパイラ
ル現象の抑止に成功、
失業率の低下と経済成
長を同時に達成
賃金抑制
経営者
労働時間短縮
政府
減税
日本の雇用形態では、
正社員・非正社員の処遇格差が大きすぎる
⇒欧州型ワークシェアリングの
短期的実現は困難
政策提言:日本型ワークシェアリン
グ
「短時間正社員制度」の導入
労働時間はフルタイム正社員よりも少ないが、
決められた時間で勤務し、正社員と同等の社
会保障制度を受けられる労働者
=正社員と非正社員の間に位置する
中間的な雇用形態を創出!!
「短時間正社員制度」のメリッ
ト
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雇用機会の創出⇒失業率の改善
過労の改善:拘束性の高い労働からの脱却を
望む正社員のニーズにも合致
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待遇・賃金格差の改善
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余暇の増加:ワークライフ・バランスの実現
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(個人レベルでの)労働効率が上がる
「短時間正社員制度」の問題点
単純な時間短縮は時間当たりの賃金率の
引き上げや人件費の増大をもたらすこと
から、企業は導入に対して消極的
⇒どこから短時間労働者のための
時間とお金をまかなうのか?
政策提言:実現に向けて(時
間)
正社員

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短時間
正社員
フルタイム正社員の一定割合以上を短時間正
社員に移行させることを義務付ける。
※移行の際に一切不利な扱いをしてはならな
い
サービス残業の全面禁止。
残業手当の引き上げを義務付け:残業の減少
モデル(時間)
A
B
C
正規労働
正規労働
残業
サービ
ス残業
残業
サービ
ス残業
短時間
正社員
政策提言:実現に向けて(お
金)
政府

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企業
新規採用短時間正社員の雇用保険の一部を政
府が負担。
全フルタイム正社員の雇用保険の一部を政府
が負担。:ワッセナー合意との相違点
結論
単なるヨーロッパ型の導入ではなく、
日本特有の雇用形態や社会問題に即した
ワークシェアリングを実現させることで、
日本が抱える諸問題を解決する糸口と
なり得るのではないか。
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問題点の究極的解決にはワークシェアが
不可欠ではないだろうか。
ご清聴ありがとうございました
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集合写真^^