南山大学 外国語学部英米学科 平岩ゼミ

日本の外国人労働者問題について考える
〜NO MORE 移民〜
南山大学 外国語学部英米学科
平岩ゼミ
目次
研究動機・現状分析
移民のメリット・デメリット
移民の失敗例
日本における分析
政策提言
研究動機・現状分析
2050年には日本の総人口は3300万人減少!
生産年齢人口は3500万人減少!
生産年齢人口減少による問題の解決策
• 女性の社会進出促進
• 働く意欲のある高齢者の再雇用
• ニート・フリーターの活用
• 出生率の増加
• 移民政策
※本発表では外国人労働者受け入れも含むとする。
内閣府による試算
合計特殊出生率は、2014年まで概ね1.39で推移し、その後、2024年までに1.33に
低下し、その後概ね1.35で推移。出生率回復ケースは、2012年の男女年齢別人口
を基準人口とし、2030年に合計特殊出生率2.07まで上昇し、それ以降同水準が維
持されるなどの仮定をおいて推計。4.移民受入れケースは、2015年以降、毎年20
万人移民を受け入れると仮定して推計。
短期的な人手不足のための研修制度
①技能実習期間の延長 最長3年→5年
②受け入れ人数枠の拡大
適正な受け入れを行う企業の人数枠を倍増
③2号移行職種の拡大
1年限りの技能実習
→2年以上の技能実習が可能になる職種
(自由民主党 日本経済再生本部
労働力強化・生産性向上グループの提言、平成26年3月26日)
近年、移民受け入れ論が
目立つが本当にそれで
いいのだろうか?
移民政策における
メリット、デメリット
メリットに関する先行研究
日本経済調査協議会(2008)
外国人労働者受入れ政策の課題と方向
Grubelモデル(1994)
経済的メリット
• 生産年齢人口増加による税収の増加
• 不足する労働力の補い
• 外国人労働者の高い出生率による少子化対策
• 国際競争力の強化(Grubelモデル)
デメリットに関する先行研究
井田敦彦(2005)
少子化高齢化と外国人労働者
総合調査「少子化・高齢化とその対策」 P242−251
Grubelモデル(1994)
経済的デメリット
•
•
•
•
国内労働者の就業機会減少の危険性
労働市場の二重構造化
国内労働者の賃金の低下(Grubelモデル)
失業率の上昇
また、不景気の時は移民がバッファとなる
• 社会的費用負担
先行研究
労働移動の効果~Grubelモデル~
-単純労働者受け入れの場合-
資料出所:小黒一正
経済と移民などに関する一考察」
⇒企業利潤増加
BUT
労働者賃金低下!
(2007)「人口減少
失業率の上昇及びに
不景気時における外国人労働者への影響
日本の日系ブラジル人、ドイツを例に
日系ブラジル人の「帰国支援」
2008年 リーマン・ショック
厚生労働省は「帰国支援事業」を実施
・帰国旅費として本人に30万円
・扶養家族に対して20万円を帰国旅費 を支給
+
・※当分の間、同様の身分に基づく在留資格による
再入国を認めない (※約3年)
この事業によって帰国した外国人の数は
2 万1675人
(うちブラジル人2万53人)
法務省「登録外国人統計」
ドイツ 移民の歴史
WWⅡ後、復興のための労働力不足
→1961年、トルコ共和国と西ドイツの間に
雇用双務協定
1960年:2700人
⇒1970年:46万9200人に急増
• 1973年 第一次石油危機による景気後退
→ドイツの双務協定破棄・外国人労働者の
受け入れ停止
→ドイツ政府:トルコ人に帰国奨励
⇔多くのトルコ人:ドイツに残ることを選択
背景
・トルコの失業は緩和されていなかった
・ドイツの充実した社会保障
・ドイツ社会の企業は熟練労働者を
つなぎとめておく傾向
ヨーロッパ人権規約に基づく「家族の再統合」を
基本的人権として保障
→すでに合法的に単身で出稼ぎに労働者たちが
母国に残してきた家族を呼び寄せた
→国内のトルコ人口が1980年代初めまで
急速に増加
→外国人労働者とその家族が
社会福祉の対象となり、
政府は住宅や医療費、移民の統合を
促す教育などのサービスに多額の費用を投じた
→本来受けられるはずだった社会福祉を
外国人労働者に回されてしまったという印象から
国民の移民に対する敵意が助長された
全人口8213万5000人のうち1556万7000人が
移民の背景を持つ(2008年)
つまり5人に1人!
ドイツ人の人口は少子化などを背景に年々減
少
労働力人口の減少を解決するため、
さらに移民を受け入れて行く必要
問題点
移民の背景を持つ国民
中途退学率13.3%→ドイツ人(7%)の2倍
失業率12.4%→ドイツ人(6.5%)の2倍
ドイツ語が出来ない、十分な教育を受けていない
という理由から就職できず、
生活保護を受けて生活している移民が多い
社会的費用負担に
関する研究及び分析
移民と自国民との社会保障の受給・負担
についての実証研究-デンマーク
Blume, K. and M. Verner (2007)
“Welfare Dependency among Danish Immigrants”
European Journal of Political Economy. Vol. 23.
No.2
1999年:デンマークの人口の移民の割合3%以下
国全体の社会保障給付の18%を占める。
移民と自国民との社会保障の受給・負担
についての実証研究-アメリカ
Borjas, G. and Trejo(1991)
“Immigrant Participation in the Welfare System.”
Industrial and Labor Relations Review. Vol.44. No.2
社会福祉の年間平均負担額-1970‘s~80S
移民の家族
アメリカ人の家族
13,500USドル
7,900USドル
日本における外国人労働者の
社会保障に関する分析
外国人における生活保護受給率−韓国籍
2014.7時点
160万8994世帯(日本総世帯の3.1%)
しかし、2010年の韓国または北朝鮮を母国とする
生活保護受給世帯主の総数は2万7035世帯で、
総世帯数(19万246世帯)に占める生活保護率は
14・2%!
厚生労働省「被保護者全国一斉調査(基礎調査)」
外国人労働者の犯罪率
H18. 在日外国人の犯罪率
日本人の犯罪率を1とした場合
警視庁HP
保険料滞納問題
~豊橋市平成17年度~
外国人登録
者数
加入世帯割
合(%)
収納率(%)
ブラジル
12,051
20.9
51.7
韓国・朝鮮
1,983
48.7
76.4
フィリピン
1,178
14.7
48.7
中国
1,166
27.9
35.0
国籍
ペルー
978
32.9
外国人全体の収納率は
43.0
愛知県豊橋市
「国民保険税収納対策」
2007年8月訂正版より作
成
外国人による保険料の滞納は近年増加傾向
平成17年度豊橋市における
外国人の保険料滞納額
約1億5,700
万円
市町村の負担増加
◆保険料納付義務を書いた
英語・ポルトガル語の簡潔な説明文を作成
◆滞納者に英語・ポルトガル語の督促状を送付
◆窓口にポルトガル語の話せるアルバイトを配置
新たな対応を始めるために費用がかさむ!
厚生労働省
◆平成19年度に限り、
外国人支援のための相談員設置モデル事業を実施
◆平成20年度以降、本事業化
・様々な言語を話せるNPO団体等と契約
・厚生労働省は、相談員の契約経費を補助
外国人労働者における
送金についての考察
○送金
年間送金額(2012年)
国
順位 送金総額
順位 在日移民数
(US$1=100円)
(人)
順位 一人当たりの
年間送金額
(US$1=100円)
中国
1
43.14兆円
2
655,480
1
65.81万円
フィリピン
4
11.38兆円
4
226,179
2
50.31万円
タイ
5
2.20兆円
5
46,311
3
47.50万円
韓国
2
31.37兆円
1
699,290
4
44.85万円
ブラジル
3
11.68兆円
3
365,857
5
31.92万円
○外国人労働者の賃金
月収
35.8万円
29.3万円
14.5万円
6.5万円
○技能実習生と研修生
<違い>
・技能実習生・・・在留期間最長3年。
就労は認可。
・研修生
・・・在留期間最長1年。
就労は不認可。
<共通点>
企業などで生産活動に従事しながら日本
の産業・職業上の技術を身につける。
↓
日本で学んだ技術を本国で活用する。
(技術移転)
↓
その国の経済発展を担う人材育成をする。
○送金が年収に占める割合=
1人あたりの年間送金額
国
一人当たりの
年間送金額
(US$1=100円)
中国
65.81万円
フィリピン
50.31万円
タイ
47.50万円
韓国
44.85万円
ブラジル
31.92万円
年収(月収×12)
一般労働者(製造業)
429.6万円
日系人男性
351.6万円
技能実習生
174万円
研修生
78万円
★専門的技術を有していない外国人労働者
ほど、送金が年間所得に占める割合が高い
日本で消費にまわせるお金が少
ない
○送金が年収に占める割合= 一人当たりの年間送金額
年収
全国籍・形態の労働者が同額の送金をするならば…
(%)
まとめ
• 帰国支援事業
• 外国人労働者における生活保護
• 治安維持費
• 保険料滞納
• 送金により消費が少ない
⇒
税収<社会的費用
になるのではないか?
政策提言
• 研修、技能実習生制度廃止
• 日系人受け入れのための在留資格廃止
既に日本に定住している外国人は対象外
• 日本の教育機関(大学等)による受け入れ
「就学」のための在留資格は認める
政策提言
• 生産年齢人口減少の短期的解決策
①女性の社会進出を継続
②約60万人のニート、約176万人のフリーター活用
③約3100万人の高齢者のうち希望者が働ける環境づくり
• 長期的解決策
④出生率増加のための政策
ex. こども手当、保育施設の拡充等
ご清聴ありがとうございました
稲熊美沙 岩本奈美 岡本絵梨菜
岡本理乃 近藤和也 水谷真夕 森絵莉子