生理計測と認知心理学 ー皮膚電位反応計測演習ー

知性創発実験演習
生理計測と認知心理学:皮膚電位反応計測
福田玄明
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スケジュール
• 今日
– 生理計測の基礎的な説明
• 1月11日
– 皮膚電位計測実習
• 1月18日
– 実習結果の分析とまとめ
今日の内容
1. どうして生理計測
2. 生理計測の種類
3. 皮膚電位反応について
1. しくみ
2. 研究の実例
どうして生理計測?
• 生理計測の必要性
– 心と身体の関係
• 生物学的,生理学的目的
• 心のしくみについて
– 直接聞いてもわからないこと
言語報告の問題
1. 答えにくい
1. 表現の問題
2. 関係性の問題
3. 望ましさの問題
2. 答えられない
1. 時間の問題
2. 無意識の問題
3. 数量化,客観性の問題
4. 内的な過程
生理計測の種類
• 交感神経・副交感神経を計測
– 皮膚電位
– 心拍電位
– 脈拍など
• 脳活動の計測
– 脳波
– PET, fMRI
– MEG
皮膚電位反応
• 皮膚表面の電位変化の計測
– 心理的事象により,汗せんが変化し,皮膚上
の電気的性質が変化する
– 古くは(?),嘘発見などに用いられた.
皮膚電位反応のしくみ
• 皮膚電位反応で計測するのは自律神経系
– 神経系には中枢神経系と末梢神経系がある
– 末梢神経系には自律神経系と体性神経系
• 体性神経系
– 運動,感覚と関連
• 自律神経系
– ホメオスタシスの維持
自律神経系
– 自律神経系は
– 自律神経には交感神経と副交感神経がある
• 交感神経
– 運動の準備,代謝を促進
– 何かが起こることへの備え
– 汗腺が開く
• 副交感神経
– 身体の休息,代謝を抑える
– エネルギーの蓄え
– 汗腺が閉じる
汗の出る仕組み
• 2種類の汗腺
– エクリン腺
• 皮膚電位に影響
• 全身にあるが,特に手のひらと足の裏
• いろんな機能
– 体温調節,保温,摩擦の低減
– アポクリン腺
• 脇とまたにある
• 機能はよくわかっていない
– 性フェロモンとの関係?
どのような刺激に反応するか
•
•
•
•
恐怖刺激(Ohman, 1984)
強い情動(Lang, 1998)
感情調整(Gross, 1998)
緊張
– Guilty knowledge test(Pinnebacker, 1985)
実際のデータ
• 振幅(amplitude)を指標とすることが多い
• 今回の演習でも振幅を中心に
ここまで
• 口頭で答えにくいこと,答えられないことを
調べるのに生理計測は有効
• 皮膚電位反応は刺激に対する身体反応を
本人の意識とは別のレベルで計測できる
先行研究
• Bauer (1984)
– 相貌失認
– Guilty Knowledge Testの変形
• 有名人の顔写真10セットと家族の顔写真8セット
を呈示
• 写真呈示中に,5つの名前が読み上げられ,その
中から正しい名前を選ぶ課題.
• 写真呈示中の皮膚電位が計測された.
Albert
John
Thomas
Bill
Jim
• 結果
– 名前の正答率はチャンスレベル
– 正しい名前が読まれたときSCRが大きくなった.
• 考察
– 生理反応と口頭反応で結果が異なる
• 生理計測によって,被験者自身もわからないことがわかる可
能性
– 相貌失認でも自動的なレベルでは名前を認識してい
る
• 知覚レベルでは認識できているが,誰なのかを決定する複
雑なレベルで障害があると考えられる
先行研究2
• Ohman & Soare1994)
– 恐怖症(ヘビ、クモ)
• ヘビとクモに選択的に恐怖症を持つ被験者にヘビ
とクモの写真を提示しSCRを計測する
• 視覚的マスキングを用いる
– 刺激が提示された直後に別の刺激が提示されることで、
元の刺激が知覚できなくなること。
• 無意識下に提示された恐怖刺激に反応はあるの
だろうか?
結果
先行研究3
• Bechara et al (1997)
– IOWA gambling task
• カードを引くギャンブル
• リスキーな山と安全な山
• カードを引くときのSCRを計測
• 結果
– 被験者は徐々にリスキーな山は引かなくなる
– 被験者が意識的にリスキーな山を避けるよう
になる前に,リスキーな山の選択確率は減少
する.
– 被験者の山の選択確率が変化する前にリス
キーな山を引くときのSCRは大きくなる.
先行研究のまとめ
• 皮膚電位を計測することで,被験者自身も
わかっていないことを計測できる可能性が
ある.
– 定量的,客観的データ
– 無意識の研究
– 人の認知の性質
年明け
• 皆さんに実際に皮膚電位を計測してもらいます。.
– 課題はこちらで用意します。
– 皆さん同士で実験者,被験者の両方をやってもらいま
す.
– 短時間ですが、それぞれデータを計測して、分析、考
察までやってみましょう。
– 少し時間が経ちますが、よろしく。。。