新学習指導要領の実施にむけて

教育課程研究集会資料
新学習指導要領の手引
(総合的な学習の時間)
徳島県立総合教育センター
手引の構成
Ⅰ 改訂の趣旨
1 改善の基本方針 2 改善の具体的事項
Ⅱ 改訂の要点
1 目標及び内容の改善 2 内容の取扱いの改善
Ⅲ 具体的な改善事項
1 目標について 2 各学校において定める目標及び内容
Ⅳ指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画作成上の配慮事項
2 内容の取扱いについての配慮事項
Ⅴ 移行期間中の取扱い
Ⅵ Q&A
Ⅱ 改訂の要点
1 目標の趣旨
1. 教科の目標
横断的・総合的な学習や探究的な学習を通して,
自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体
的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能
力を育成するとともに,学び方やものの考え方
を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,
創造的,協同的に取り組む態度を育て,自己の
生き方を考えることができるようにする。
・現行のねらいを踏まえながら,これまでも大切にして
きた「探究的な学習」を行うことや,「協同的」に取り組
む態度を育てることなどを明らかにして構成された。
Ⅲ 具体的な改善事項
1 目標について
目標の5つの要素
(1)横断的・総合的な学習や探究的な学習を通すこと
・ 総合的な学習の時間における探究的な学習とは,問題解決的な活動が
発展的に繰り返されていく図のような一連の学習活動のことである。
Ⅲ 具体的な改善事項
1 目標について
目標の5つの要素
(2)自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,
主体的に判断し,よりよく問題を解決す
る資質や能力を育成する
・「自ら学び,自ら考え,主体的に判断し」とは,
自ら見付けた課題に関して主体的に学習活動
を繰り広げ,自分なりに納得できる答えを探し
求め,判断していくことである。
・「よりよく問題を解決する」とは,自らの知識や
技能等を総動員して,目の前の具体的な問題
に粘り強く対処し解決しようとすることである。
Ⅲ 具体的な改善事項
1 目標について
目標の5つの要素
(3)学び方やものの考え方を身に付けること
・「学び方やものの考え方を身に付ける」と
は,横断的・総合的な学習や探究的な学習
の過程において,それらを現実の様々な状
況に応じて活用し,確かにすることである。
Ⅲ 具体的な改善事項
1 目標について
目標の5つの要素
(4)問題の解決や探究活動に主体的,創造的,
協同的に取り組む態度を育てること
・お互いに考えや意見を出し合い,見通し
や計画を確かめ合い,他者の考えを受け
入れながら,問題の解決や探究活動を協
同して行う学習経験の積み重ねが大切に
なる。
Ⅲ 具体的な改善事項
1 目標について
目標の5つの要素
(5)自己の生き方を考えることができるよ
うにすること
・「自己の生き方を考えることができる」とは,
・人や社会,自然とのかかわりにおいて,自らの生活や行動につ
いて考えていくこと
・自分にとって学ぶことの意味や価値を考えていくこと
・これらの二つを生かしながら,学んだことを現在及び将来の自
己の生き方につなげて考えること
Ⅲ 具体的な改善事項
1 目標について
2. 各学校において定める目標及び内容
1 目標
各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合的な
学習の時間の目標を定める。
・この目標は,学校教育目標との関連性を考慮しつつ,総合
的な学習の時間での取組を通して,どのような生徒を育て
たいのか,また,どのような資質や能力及び態度を育てよう
とするのか等を明確にしたものである。
2 内容
各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合的
な学習の時間の内容を定める。
・各学校においては,学習対象を明らかにするとともに必要
に応じて学習事項等を定めることが考えられる。
Ⅳ 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画作成上の配慮事項
(1) 全体計画及び年間指導計画の作成に当たっては,学校
における全教育活動との関連の下に,目標及び内容,育
てようとする資質や能力及び態度,学習活動,指導方法
や指導体制,学習の評価の計画などを示すこと。
※「目標」「育てようとする 資質や能力及び態度」,「内容」
を明確にすることが重要である。さらには, 「学習活動」,
「指導方法」や 「指導体制」,「学習の評価」などが示される
べきである。
Ⅳ 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画作成上の配慮事項
(4) 育てようとする資質や能力及び態度については,例え
ば,学習方法に関すること,自分自身に関すること,他
者や社会とのかかわりに関することなどの視点を踏まえ
ること。
※この三つはあくまでも例示であり,各学校にお いて設定し
ていた資質や能力及び態度を見直す際の参考にしていくこと
が重要である。その際,地域や学校,生徒の実態に応じて設
定することを忘れてはいけない。
Ⅳ 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画作成上の配慮事項
(5) 学習活動については,学校の実態に応じて,例え
ば国際理解,情報,環境,福祉・健康などの横断的
・総合的な課題についての学習活動,生徒の興味・
関心に基づく課題についての学習活動,地域や学
校の特色に応じた課題についての学習活動,職業
や自己の将来に関する学習活動などを行うこと。
※ これらの例示を参考にしながら,地域や学校,生徒
の実態に応じて内容を設定し,具体的な学習活動として
展開することが求められる。
※小学校:地域の人々の暮らし,伝統と文化など
中学校:職業や自己の将来に関する学習活動
Ⅳ 指導計画の作成と内容の取扱い
2 内容の取扱いについての配慮事項
(1)第2の各学校において定める目標及び内容に
基づき,生徒の学習状況に応じて教師が適切な
指導を行うこと
※生徒の主体性を生かした学習と教師の適切な
指導が相まってこそ,より質の高い学習が実現さ
れ,総合的な学習の時間の目標が達成される。
また,そのことが生徒の学習活動への満足感や
達成感も高める。
Ⅳ 指導計画の作成と内容の取扱い
2 内容の取扱いについての配慮事項
(2)問題の解決や探究活動の過程においては,他
者と協同して問題を解決しようとする学習活動
や,言語により分析し,まとめたり表現したり
するなどの学習活動が行われるようにすること。
※多様な情報を手に入れることができる
※他者を尊重するとともに,自らの役割を自覚する
ことができる
※協同的に人とかかわることで,交流を深めたり広
げたりできる
Ⅳ 指導計画の作成と内容の取扱い
2 内容の取扱いについての配慮事項
(2)問題の解決や探究活動の過程においては,他
者と協同して問題を解決しようとする学習活
動や,言語により分析し,まとめたり表現し
たりするなどの学習活動が行われるようにす
ること。
※文章やレポートにまとめることは,それまでの学
習活動を振り返り,体験したことや収集した情報と
既有の知識とを関連させ,自分の考えとして整理
することにつながる。
Ⅳ 指導計画の作成と内容の取扱い
2 内容の取扱いについての配慮事項
(3)自然体験やボランティア活動などの社会体験,も
のづくり,生産活動などの体験活動,観察・実験,
見学や調査,発表や討論などの学習活動を積極
的に取り入れること。
※総合的な学習の時間では,一定の知識を覚え込ませる
のではなく,直接的な体験を適切に位置付けた横断的・総
合的な学習や探究的な学習を行う必要がある。
※生徒をはじめ教職員や外部の協力者などの安全確保,
健康や衛生等の管理に十分配慮することが求められる。
Ⅳ 指導計画の作成と内容の取扱い
2 内容の取扱いについての配慮事項
(4)体験活動については,第1の目標並びに第2の
各学校において定める目標及び内容を踏まえ,問
題の解決や探究活動の過程に適切に位置付けるこ
と。
※設定した課題に迫り,課題の解決につながる体験活動
※生徒が主体的に取り組むことのできる体験活動
※年間を見通した適切な時間数の範囲で行われる体験活動
※生徒の安全に対して,十分に配慮した体験活動
Ⅳ 指導計画の作成と内容の取扱い
2 内容の取扱いについての配慮事項
(5)グループ学習や異年齢集団による学習などの多
様な学習形態,地域の人々の協力も得つつ全教
師が一体となって指導に当たるなどの指導体制に
ついて工夫を行うこと。
※人数と学習活動とは適正か,どれくらいの時間が必要
か,事前にどのような活動を行っておくかなどについて,
しっかりとした計画を立てることも重要である。
※学級や学年を越えた取組を進めることで,生徒の多様な
興味・関心や学習経験などを生かすことができる。
Ⅳ 指導計画の作成と内容の取扱い
2 内容の取扱いについての配慮事項
(6)学校図書館の活用,他の学校との連携,公民館,
図書館,博物館等の社会教育施設や社会教育関
係団体等の各種団体との連携,地域の教材や学
習環境の積極的な活用などの工夫を行うこと。
※学校図書館やコンピュータ室の図書や資料を充実させ,
コンピュータ 等の情報機器やネットワークを整備すること
が望まれる。
※総合的な学習の時間の学習活動が中学校の学習活動
と相互に関連付けられ連続的・発展的に展開できるように
したり,地域の学校間で共通の課題を取り扱ったりするな
ど,他の学校との連携にも配慮する必要がある。
Ⅳ 指導計画の作成と内容の取扱い
2 内容の取扱いについての配慮事項
(7)職業や自己の将来に関する学習を行う際には,
問題の解決や探究活動に取り組むことを通して,
自己を理解し,将来の生き方を考えるなどの学習
活動が行われるようにすること。
※職業や自己の将来に関する学習は,問題の解
決や探究活動を通して行うことが欠かせない。
生徒が自ら職業や自己の将来にかかわる課題
を設定し,自らの力で解決に取り組み,その結
果として生徒一人一人が自己の生き方を真剣に
考える学習活動が展開されることが求められる。
Ⅳ 指導計画の作成と内容の取扱い
2 内容の取扱いについての配慮事項
(7)職業や自己の将来に関する学習を行う際には,
問題の解決や探究活動に取り組むことを通して,
自己を理解し,将来の生き方を考えるなどの学習
活動が行われるようにすること。
※職場体験を終えた後も,単に感想を発表するだ
けでなく,課題や目的に照らして何を考えたのか,
さらにどのような課題が生まれてきたのかなどに
ついて,レポートにまとめたり発表したりして,さら
に問題の解決や探究活動が連続することが重要
である。
Ⅴ 移行期間中の取扱い
移行期間中の留意事項
移行期間中の特例(総合的な学習の時間)
平成21年度から平成23年度までの第1学年から第3
学年までの総合的な学習の時間の指導に当たっては,
現行中学校学習指導要領第1章第3の規定にかかわら
ず,新中学校学習指導要領第4章の規定によるものと
する。
総合的な学習の時間は21年度から先行実施
平成20年度
平成21~23年度 平成24年度以降
1年
105時間
50~65時間
50時間
2年
105時間
70~105時間
70時間
3年
110時間
70~130時間
70時間
Ⅴ 移行期間中の取り扱い
移行期間中の留意事項
移行期間中の配慮事項
(1)改訂の趣旨の理解(探究的な学習)
(2)新しい指導計画の修正または作成
【全体計画】
【年間指導計画】
※7つの要素(全体計画及び年間指導計画のどちらかに示していればよ。)
①学校で定める目標
②育てようとする資質や能力及び態度
③内容
④学習活動
⑤指導方法
⑥指導体制
⑦学習の評価
Ⅴ 移行期間中の取扱い
移行期間中の留意事項
移行期間中の配慮事項
(3)総合的な学習の時間を推進するための体制づくり
○
校内組織の整備
・指導体制
・運営体制
・教職員研修
○ 年間授業時数の確保と弾力的な授業時数の運用
○ 環境整備
・学習空間の確保
・学校図書館の整備
・情報環境の整備
○ 外部との連携の構築