第12回: 心の病気とその治療 臨床心理学と精神医学 1 心の病気 定義 その障害により、本人または 周囲の人間が社会生活上の 困難を被ること 3大精神疾患 精神分裂病 (躁) うつ病 神経症 精神分裂病(統合失調症) 精神症状:幻覚、幻聴、関係妄想、被害妄想、 作為体験、まとまりのない思考 身体症状:表情の貧困、独り言、空笑 初期症状:不眠、不安、緊張、集中力の低下、 倦怠感、離人症 特記事項:病識のないことが多い 有病率:約 0.8% 好発年齢:20〜30歳 治療:薬物療法が中心。開放病棟では社会復帰に 向けて生活訓練が行われる。 うつ病 感情の沈滞、思考の停滞、意欲の低下、孤独 観や劣等感。身体面では不眠、食欲不振、疲 労感、頭痛、性欲減退など 初期症状:睡眠障害、朝の憂うつ感 うつ状態時には自殺企図の可能性 反応性うつ病と内因性うつ病 治療:薬物療法とカウンセリングの併用 うつ病の禁忌事項 励ます 重要な決定をさせる 旅行に連れ出す 神経症 不安神経症:対象のはっきりしない不安 パニック障害なども含む 強迫神経症:強迫観念と強迫行動を主とする 恐怖症:対象がはっきりしている恐怖。 心気神経症:疲れやすく、集中力や記憶力の低下 、不眠、頭痛、めまい、便秘、下痢などの身体的 不全感を訴える 対人恐怖 通常誰もが感じる対人場面での羞恥・困惑感 情を極端に恐れ、それに囚われる 赤面恐怖、表情恐怖、視線恐怖、醜形恐怖、 自己臭恐怖など 心身症 身体症状を主とするが、その診断や治療 に心理的因子に対する配慮が重要な意 味を持つ病態。 ストレス性潰瘍、過喚起症候群、過敏性腸 症候群、偏頭痛、高血圧、摂食障害など 。 神経性食欲不振症 神経性食欲不振症 <診断基準> 標準体重の−20%以上の体重減少 食行動の異常(不食、大食、隠れ食いなど) 体重や体型についての歪んだ認識 (女性の場合)無月経 痩せの原因と考えられる器質性疾患がない 摂食障害の原因 成熟拒否(「子供のままでいたい」) 女性性獲得拒否(性に対する嫌悪) アイデンティティ獲得の失敗 人格障害 乖離性同一性障害 いわゆる多重人格。幼児期の虐待経験が原因 との説もある。 妄想性人格障害 主に被害妄想が原因で、不全感を訴え、周囲 との摩擦を起こす。 自閉症 生後30ヵ月未満の発症 他者に対する反応性の全般的な欠如 言語発達における粗大な欠陥 特異な会話パターン 変化への抵抗 ある対象への特異な興味または愛着 1 精神医療の実際 (1) 治療者 臨床心理士 精神科医 違い:薬を処方できるか 1 精神医療の実際 (2) 薬物療法 抗精神病剤:強い鎮静作用 抗不安剤 抗うつ剤(プロザック他) 心理療法 カウンセリング(来談者中心療法) クライエントの悩みや訴えに、共感的な態 度で耳を傾ける。 「〜しなさい」という指示は行わない。 行動療法 問題行動を学習されたものと捉え、 その行動が維持されている原因を 探して取り除く 古典的条件づけ オペラント条件づけ 条件刺激 強化子 系統的脱感作 不安階層表(学校恐怖の場合) 第1段階 第2段階 第3段階 第4段階 第5段階 第6段階 学校に行く準備をする 学校に行くため玄関を出る 学校への道を友達と歩く 校門を入る 教室へ入る 教室で授業を受ける 認知療法 出来事に対する認知スタイルを 変えることで問題解決を図る。 <例> 内的帰属 → 外的帰属 家族療法 クライエントだけでなく、家族全体のバ ランスを修正する 精神分析 現在ある問題を、過去の問題が 無意識領域に抑圧されたものと 考える。 箱庭療法、絵画療法、遊戯療法など 入院治療 任意入院:精神障害者本人の同意に基 づいて入院する制度 医療保護入院:精神保健指定の診察の 結果、精神障害者と診断された者で医療 及び保護のため入院の必要が認められ 、入院について保護者の同意があったも の。 入院治療 措置入院:入院させなければその精神 障害のために自身を傷つけ又は他人に 害を及ぼすおそれのある精神障害者を 強制的に国又は都道府県の設置した精 神病院又は指定病院に入院させる制度 精神病院での入院治療 閉鎖病棟 解放病棟 社会復帰病棟 まとめ 「心の病気」に対する理解 「心の病気」に対する差別の解消
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