文学部心理学専攻 1613080077-0 小阪 祐奈 リスクの感じ方の違い あなたは治療しないと死亡する重い病気にかかっているとする。 これまで飲んできた薬は死亡率を0.06%にまで下げ、 値段は3万円である。 ある製薬会社が出す新薬は、死亡率を0.03%にまで下げる。 この新薬にいくら払えますか? ⇒平均3万4000円 新薬は、死亡率を100万人につき600人から300人に下げる。 この新薬にいくら払えますか? ⇒平均5万8000円 情緒によるヒューリスティクス 提示のされ方によってとらえ方が変わる ⇒%と実数のイメージの違い 2万 4000円 リスクの表現 絶対的リスク…全体に対するリスクの割合 相対的リスク…リスクの中での割合 コレステロール値が高い人は、100人中6人の確率で心臓発作が 起こる。 正常な人では、100人中4人の確率で心臓発作が起こる。 高コレステロールの人は正常な人より何%心臓発作になりやすい か? 絶対的リスク: 2%増 (100人中4%から6%に増えるから) 相対的リスク: 50%増 (正常な人4人の50%分である2人分増えるから) ⇒同じ内容なのに、表現が全く異なる リスクの表現 2 「シートベルトを常時着用すれば、リスクを15%減らせる。」 仮に、人生の中で大事故に遭い完治不能のケガをする確率を 20%とすると、シートベルト着用後は何%になるのか? 15%減らせるのは何のリスクか? 絶対的リスク: 5% (20%-15%=5%) 相対的リスク:17% (20%の15%は3%なので、20%-3%=17%) 相対的リスクからの視点も忘れない 見かけの数字に騙されないようにこころがける 「私は悪くない」 あなたは毎週サッカーくじを買う ことにしているとする。 くじが当たった時・・・自分の読みが当たった! くじがはずれた時・・・運が悪かった。 成功すれば自分の能力のおかげと思い、 失敗すれば他の要因(運など)のせいにしたがる 自分の誤りを認めることが、将来の自分に つながっていく 解説の容易さ、予測の困難さ これから起こることを予測する すでにあったことを解説する 全く違うもの! 予測の方がはるかに困難 9.11事件 アラブ出身のパイロット志願者の訓練 オサマ・ビン・ラディン一味のしわざとみられるアメリカを狙った脅しや 陰謀のエスカレーション 数ヶ月前から秘密機関が発していた警告 ⇒知らされていた大災害? 後付けのバイアス(スポーツなどでもよくみられる) そこまでのプロセスをみること、自分の判断の内容がなんで あったのかを事後でも冷静に振り返る視点が大切 自信過剰? コインを投げる前に、表と裏にいくら賭けるか? B) コインはもう投げられたが、表と裏どちらが出たかわからない。 表と裏にいくらかけるか? A) BではAよりも賭ける金額を少なくする人が多い ⇒まじないや精神集中などで結果が操作できると考えている? 人は、状況を操作できると過信してしまう 情報が多ければ、的確に選択出来る? ⇒その情報が正しいか、新しいものか、などは無視しがち おかしな思い込みは捨てる 正しい可能性をよく考えて結論をだす 読みを誤る A) B) 痛いほど冷たい水に60秒手を浸す 痛いほど冷たい水に60秒、その後先ほどよりはやや痛さ がマシな水に30秒、合計90秒手を浸す 実験を行った後では、Bの条件の方がいいと判断された ⇒ピーク・エンドの法則 ピーク・エンドの法則 あらゆる快苦の記憶は、ほぼ完全にピーク時と終了時の快苦の度合 いによって決まる 快苦の長さは関係ないとされる 印象をよくするには、「最後」が肝心! 判断する際には、最後の結果だけにとらわれず、そこ に至るプロセスもよく考える必要がある まとめ %表示や実数表示に騙されることのないよう、 常にどちらにも変換する癖をつけよう。 自分自身をあまり過信しすぎない。 結果だけでなく、プロセスをよくみて判断する ことが大切である。 終わりよければすべてよし。 参考文献 マッテオ・モッテルリーニ 泉 紀子(訳) (2008)経済は感情で動く はじめての行 動経済学 紀伊國屋書店
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