日常の中の非合理 - Psychology Department, Ritsumeikan

経済は感情で動く
文学部心理学専攻3回生
1613080016-9 今井千裕
紹介する本
 経済は感情で動く
はじめての行動経済学
 マッテオ・モッテルリーニ(著)
 泉 紀子(訳)
 その中から…
パート1 日常の中の非合理
してしまったことを後悔するか、
しなかったことを後悔するか
 ある種のワクチン
(1万人に10人の死者が出る危険性有り)
 このワクチンによって予防できる
インフルエンザの死亡率
...1万人につき10人未満
⇓
誰もワクチンを使いたいとは思わない。
利益より損失のほうが大きいから
 ある種のインフルエンザ
(1万人に10人の死者が出る危険性有り)
 ワクチンが開発されたが、それを使うと死者が出る恐
れがある。
しかし死亡率はインフルエンザの死亡率より低い
⇓
ワクチンを打つほうがいい
しかし
 実際には...
 多くの人々は、ワクチンを与えようとは思わない。
Why?!
 「省略の誤り」という現象
 ワクチンを与えることによって生じる
リスクを避けたいと考える。
 「後悔回避」という、もう一つの面
どっちのほうが余計に悔しい?
 山下さんはX機械製作所の株をいくらか持って
いる。昨年たまたま、それを売ってY電力公社の
株を買おうとしたが、結局はそのままにしてし
まった。ところが、もし買っていたら150万円、得
していたことがわかった。
⇒しなかったことを悔やむ
 秋田さんはY電力公社の株をいくらか持ってい
た。昨年その株を売ってX機械製作所の株を
買った。ところが、もしY電力会社の株を売らな
かったら150万円、得していたことがわかった。
⇒してしまったことを悔やむ
後悔回避(regret aversion)
 現在および将来における「後悔を嫌い、避けたい」という
人間の信念が、意思決定に大きな影響を与えている。
 人は短期的には失敗した行為のほうに強い後悔の念を覚
えるが、長期的にはやらなかったことを悔やんで心を痛め
る。
“20年たてば、したことよりもしな
かったことを嘆くようになる”
by マーク・トウェイン
どっちのほうが不快?
 マリオとローザはミラノの真ん中で渋滞のため
に動けなくなった。それぞれヴェネツィア行きと
ローマ行きのユーロスターに乗ろうとしていた
2人は、とうとう走るはめになった。2人とも出発
時刻に20分遅れて駅に着いた。マリオは電車
が定刻通りだったから乗り遅れた。ローザも乗
れなかったが、彼女の電車は18分遅れていた
から、いま出たばっかりだった。
客観的にだけ考えはしない
 あれこれ思いをめぐらしてしまう
 もしタクシーが他の道を通っていたら...
 会議が2分早く終わっていたら...
 同じ理由で
 銀メダルよりも銅メダル
どっちのほうが嬉しい?
 秀雄さんはスーパーマーケットのレジのところに
並んでいる。彼の番が来たとき、レジの係りに言
われた。「あなたは幸運にも10万人目のお客様
になったので、2万円差し上げます。」
 弘さんもほかのスーパーマーケットの列のしっ
ぽについていた。彼の前にいた人は運良く100
万人目のお客だったので、20万円という賞金を
もらった。その人のすぐ後ろにいた弘さんも3万
円の賞金を受け取った。
⇒多くの人が2万円もらうほうを選んだ
 私たちは日頃から、悔しさをあじあわなくて済
む代償を払っている
 例えば...
 株を買うかわりに貯金をする
 もっと給料のいい仕事を探すことも
出来るのに、安月給に甘んじる。
要するに
 後悔したくないから決心は後まわし
 自信がないから縮こまる
 現状を変えることができても変えようとしない。
選択しないでいることもそれなりの選択で
あるということには気が付かない
参考文献
 マッテオ・モッテルリーニ 泉 紀子(訳)
(2008) 経済は感情で動く はじめての行動
経済学 紀伊國屋書店