テクニカルライティング 第9回 技術文章の基本ルール 平成24年6月7日 情報システム工学科3年生 技術コース必修 For all the students~すべての学生生徒のために 技術文章 1 • “うまい”技術文章を書くのは“スキル” テクニカルライティング 自己分析の実施 履歴書 & エントリーシート 社会評価の獲得 就職活動の場において 失敗とわずかな成功を繰り返すことで身に付くスキル 身に付く時期が遅ければ,それだけ自分の夢が遠ざかる そうならないためにしっかり頑張りましょう. For all the students~すべての学生生徒のために 最初に言っておきます • • • • • • • • 2 中学校の県内模試で国語の偏差値32でした 小説など知的な本を読むのは大嫌いです クイズ番組の熟語や漢字など,正解率は低いです 最近は,日本語の論文よりも英語の論文を好んで 良く書いています 日本は好きですが,日本語は嫌いです. 総じて,中途半端に日本語を知っていることで, これまで大変な苦労をしてきました 実は今も大変な苦労をしています 君たちに技術文章を教えなければならない For all the students~すべての学生生徒のために 科学技術論文の意味 3 • 研究成果を高めていくための知識の再利用 – 誰がやっても同じ結果が出せるように手法と結果を残す 身近な例では卒業研究論文 俺の卒論を読んで がんばって! わからんことあれば メールしてね! 4年生になって,見知らぬ先輩から引き継いだ研究テーマ さらに発展させるためには基礎知識とこれまでの成果が必要 卒業論文から読み取るしかない 1年半の苦労を経て発展させた研究成果は 後輩に残すために,卒業論文に書き残すしかない For all the students~すべての学生生徒のために 共通の技術テーマで学ぶ 4 • 誰もが体験したことがある(であろう)技術 For all the students~すべての学生生徒のために 作り方の整理 5 1:フィルムを剥がす 2:フタをめくる 3:お湯を注ぐ 4:フタを閉める 5:待つ 6:フタを剥がす 7:かき混ぜる 8:冷ます 8ステップの技術文章化を試みる For all the students~すべての学生生徒のために 文章の基本構成 6 • 日本語の基本ルールは 主語 + 目的語 + 動詞 ○○は××を□□する • 英語の基本ルールは 主語 + 動詞 + 目的語 ○○は□□する××を For all the students~すべての学生生徒のために 履歴書エントリーシートと異なる点 7 • 主語に「私」をとってはならない – 基本概念は,科学技術に関するマニュアル作り – 代替語: 我々は~,著者(ら)は~,本研究は~,本論文は~ • 主語が隠れるように工夫する – 私はカップラーメンについて述べる – 本論文では,カップラーメンについて述べる 主語の隠蔽 – 私はフタを剥がしたあとでお湯を注ぐ – お湯はフタが剥がされたあとで注がれる 受動態 – 私は箸を割って麺を解した – 麺は,割られた箸で解される – 割られた箸で麺は解される 受動態 For all the students~すべての学生生徒のために 各動作と目的 動作 1:フィルムを剥がす 2:フタをめくる 3:お湯を注ぐ 4:フタを閉める 5:待つ 6:フタを剥がす 7:かき混ぜる 8:冷ます 8 目的 1:本体を取り出す 2:お湯を注ぐ 3:麺を茹でる 4:蒸気を逃がさない 5:麺を茹でる 6:かき混ぜる 7:麺にスープを絡ませる 8:安全に食べる For all the students~すべての学生生徒のために 各目的と注意点 動作 1:フィルムを剥がす 2:フタをめくる 3:お湯を注ぐ 4:フタを閉める 5:待つ 6:フタを剥がす 7:かき混ぜる 8:冷ます 注意点 1:フタシールが破損させない 2:全部剥がさない 3:外に溢さない 4:隙間を空けない 5:好みに応じて時間調整 6:水滴をまき散らさない 7:素手で行わない 8:舌を火傷させない For all the students~すべての学生生徒のために 技術文章の基本構成 10 • 文章作成の基本ルールは + 主語 + 目的語 動詞 を は する • 技術文章作成の基本ルールは 目的 + のために 目的 対象 + を,は + 注意点 + のために に気をつけつつ 動作 する,される 対象 + を,は 動作 する,される For all the students~すべての学生生徒のために 主語(私)をとるケース 11 • たくさんの実験条件がある中で,私にとって好ま しい条件を選んで行う場合のみ下記のように書く – 本研究では,経験的に○○と××の組み合わせを選択した. – ここで,著者らは□□を閾値としてデータ分析を試みた. – 我々は実験結果から,△△の仮説を立てた. – 今後,本研究は☆☆について議論する. For all the students~すべての学生生徒のために 主語の考え方 12 自己体験記ではなく 説明書を書くイメージを持つこと • 「私」は,主語として使えない単語の代表例 – 著者(ら)は~を試した, – 本研究では~のように考える, – 本論文は~について述べている. • 「対象物」を主語として使う – 受動態 モノを主体として受け身の書き方 For all the students~すべての学生生徒のために これだけは忘れてはならない 13 表現の仕方は人それぞれ 要は誤解されずに伝わればよい 書き方は無数に存在する For all the students~すべての学生生徒のために 文章作成練習1 14 • 各ステップの動作を目的と注意点を踏まえて書く 例】Step1 動作:フィルムを剥がす 目的:本体を取り出す 注意点:フタシールが破損しない 失敗例】 私は,フタシールが破損しないように,フィルムを剥 がして,本体を取り出します. ○主語に「私」をとっている ○ですます調ではなく,である調を用いる For all the students~すべての学生生徒のために 文章作成練習1 15 失敗例】 私は,フタシールを破損しないように,フィルムを剥 がして,本体を取り出します. ○主語に「私」をとっている ○「ですます調」は用いない,「である調」 修正例】 フタシールを破損しないようにフィルムを剥がして, 本体を取り出す. 本体は,フタシールが破損しないように注意してフィ ルムを剥がして取り出す. フタシールを破損しないようにフィルムを剥がして本 体を取り出す. For all the students~すべての学生生徒のために 文章作成練習2 例】Step2 16 動作:フタをめくる 目的:お湯を注ぐ 注意点:全部剥がさない 失敗例】 お湯を注ぐためにフタをめくる.全部剥がさないよう に注意する. フタはどこについている? なぜ全部剥がさないようにするの? For all the students~すべての学生生徒のために 文章作成練習2 17 失敗例】 お湯を注ぐためにフタをめくる.全部剥がさないよう に注意する. 修正例】 お湯を本体内部に注ぎ込むために,本体上部に貼 り付けてあるフタをめくる.このとき,全部剥がさない ように注意する 本体上部に貼り付けてあるフタをめくり,お湯を本体 に注ぎ込む.このとき,ポットからお湯を本体に注ぎ 込める程度にフタを剥がすとよい. For all the students~すべての学生生徒のために 練習 18 • 残り5つのステップについて書いてみましょう For all the students~すべての学生生徒のために 19 For all the students~すべての学生生徒のために 読み疲れしないような配慮 20 • 必要なことのみ記述する • 文の長さを配慮する • 句読点を活用する • 接続詞を活用する For all the students~すべての学生生徒のために 重要度に応じて分量を調節する 21 • 全ステップの説明義務を果たしつつ – 相手はカップヌードルを初めて見聞きする技術者 – 完全な素人ではない • 目的達成のために特に重要なステップを重点的に – 今回の事例では,Step3 「お湯を注ぐ」に重点を置く – お湯の温度と量は,麺の硬さ,スープの濃さと量に影響を及ぼす For all the students~すべての学生生徒のために
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