緊急連絡網構築講習会 - Okano

情報システムユーザを対象とした
情報教育カリキュラムの構築
信州大学大学院工学系研究科 情報工学専攻
海尻・海谷研究室
小山 貴明
2007/02/10
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
背 景 (施 設)
公共職業能力開発施設として
○ 地元企業の求める人材を輩出しているか
(カリキュラムの有効性)
○ 民間施設とのすみわけが明確になっているか
(公的関与の妥当性)
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
背 景 (施 設)
カリキュラムの有効性
応募者の多くは上伊那地域在住者であり、
就職先についても地元志向が強い。
→ 8割弱の方が南信地域で就職
南信地域はシステムベンダ企業が少なく、製造業を
始めとする他業種での就職を目指す必要がある。
→ 5割以上の方が生産管理・事務等で就職
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
背 景 (施 設)
公的関与の妥当性
県内では東北信を中心に、情報システム系学科を
もつ専門学校が教育を行っている。
→ 必要な情報技術者教育を上伊那地域でも行う
必要がある。
一般事務系のカリキュラムは、上伊那地域の専門
学校をはじめ、パソコンスクール等で実施
→ この分野での教育訓練は民間施設で十分
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
背 景 (施 設)
公共職業能力開発施設として
○ 地元企業の求める人材を輩出しているか
(カリキュラムの有効性)
→ 地元企業に必要なカリキュラム
○ 民間施設とのすみわけが明確になっているか
(公的関与の妥当性)
→ 民間では対応困難な教育
新規性がある教育
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
背 景 (情報技術教育訓練)
情報技術サービスの提供について
○情報技術は、それぞれのサービスを提供する際
に多様な職種が存在し、さらに、必要なスキルも
専門化・深化しているため効果的な育成が困難
な状況にあった。
問題解決策のひとつとして、IT人材育成を行う上で
共通的な枠組みを設備。
「ITスキル標準(ITSS)」(2002年12月)
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
背 景 (情報技術教育訓練)
情報システムユーザについて
○「ITスキル標準」では、ユーザー企業の情報
システム部に求められるスキルを的確に表す
ことができない
情報システムによって産業競争力を強化するため、
情報システムユーザ企業の人材育成に必要なスキ
ルを網羅的かつ体系的に整理・一覧化する。
「情報システムユーザスキル標準(UISS)」
(2006年6月)
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
背 景 (情報技術教育訓練)
情報技術に関する各種スキル標準の策定により
○各機関、企業独自の教育訓練による人材育成
○スキル標準が示す指標を元に、客観的な基準に
基づく人材育成。
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
目 的
職業能力開発施設の設置意義と地域特性と情報技
術教育訓練の方向性を踏まえ、目的を次のとおりと
する。
○長野県(南信地域)における情報システムユーザ
企業が必要とする情報技術者の人材像の調査
を踏まえ、スキル標準を活用した教育カリキュラ
ムの作成を行う。
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
企業ニーズ調査
調査方法は現場リーダの立場の方へのヒアリング
による調査とする
<理由>
・ 現場リーダでないとわからない実情が多い。
・ ヒアリングにより、潜在的な問題を明確にし、多
種多様な意見をくみ上げることができる。
調査は南信地域の製造業12社で実施
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
企業ニーズ調査
<主な意見>
情報システム部門と現場のコミュニケーション円滑
にとれない
専門的な知識を学んだ者は、他の分野へ踏み込み
たがらない。
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
企業ニーズ調査
<主な意見>
情報システム構築の計画ができる、現場の技術者
がほしい。
簡単なシステムで業務改善ができる、現場の技術
者がほしい。
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
企業ニーズ調査
<主な意見>
情報システムの必要性を強く感じない。
情報技術者はいらない。現場技術者がいれば業務
は回る。
いらないのではなく、適切な人材がいない状態。
(中小企業の実情)
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
企業ニーズ調査
<分析>
スペシャリスト的な技術者だけではなく、各部門を横
断的に見渡せる技術者も強く求められている。
(ゼネラリスト的な技術者)
従業員規模が小さいほど情報技術者を雇用する余
裕はないが、そのスキルを必要としている。
情報技術者(もしくは企業人として)核となる技術を
持つことが重要
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
スキル標準の活用
利用するスキル標準
今回は、情報システムユーザスキル標準(UISS)
を適用し、補うべきところは他のスキル標準を用い
る。
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
スキル標準の活用
UISSの活用方法
UISSは情報システムユーザ企業の情報システム活
用に必要なスキルおよび知識を網羅的かつ体系的
に整理・一覧化されたものである。
適用対象の特性に応じた取捨選択を必要とする
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
スキル標準の活用
タスク概要
機能・役割定義
必要なタスクの抽出を行う
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
スキル標準の活用
人物像とタスクの関連
タスクから人物像を定義する
人物像定義
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
スキル標準の活用
タスク概要
機能・役割定義
人物像から必要なスキルを確認する
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
スキル標準の活用
企業ニーズ調査から、求められているタスクを絞込む
IS活用・運用
IS導入
IS活用
その他
92%
67%
25%
17%
ISオペレーション
ベースとなる人材像の特定
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
スキル標準の活用
ベースとなる人材が対応すべき業務と
求められるスキルを列挙する。
このとき、UISSを補う為に情報技術スキル標準を利用
求められるスキルを身に付けるカリキュラムを構築
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
カリキュラムの構築
カリキュラム例(1年次:キャリアフレームワークレベル1相当)
生産工学概論
電気理論
電子工学
材料
製図
測定法及び試験法
情報処理システム概論
情報処理システムセキュリティ概論
経営管理概論
電子計算機の構造
情報数学
オペレーティングシステム
安全衛生
関係法規
コンピュータ概論
自動制御概論
インターフェース概論
システム設計概論
システム設計実習
プログラム論
生産管理
機械工作法
測定基本実習
工作基本実習
コンピュータ操作基本実習
回路図作成基本実習
回路組立基本実習
製図基本実習
安全衛生作業法
開発用機器操作実習
プログラム作成実習
コンピュータ制御システム設計実習
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
カリキュラムの構築
カリキュラム例(2年次:キャリアフレームワークレベル2相当)
経営管理
情報システムセキュリティ論
開発用機器操作実習
プログラム作成実習
コンピュータ制御システム設計実習
システム開発実習
業務分析実習
CAD実習
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
カリキュラムの構築
特徴
ISオペレーションという人材像を核としながら、企業経
営、生産管理はもとより、電気系、機械系の製造現場
で必要となる最低限の知識、 技術を身に付けた技術
者の養成を可能とする。
UISSを基にしているため、出来上がりの人材像が明
確である。
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
評価
企業へのヒアリング調査より
○ 全体を見渡すことができる情報技術者なら需要は
十分にある。
○ 製造現場の技術を理解しながら、情報技術をもっ
てるのがよい。
○ 仕上がりのスキルが明確なので、理解がしやすい。
スキルごとに、細かく重要度を変えたらどうか。
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
考察
スキル標準を活用することで
体系的な人材育成をめざせると共に、外部に説
明のしやすいカリキュラムの作成が可能となった。
スキルが明確に示されているので、情報システム
ユーザ企業のニーズを汲み取りやすくなった。
情報システムユーザを対象とした情報教育カリキュラムの構築
今後の課題
ニーズ調査をどのように行うかが非常に重要
○ 企業が望む表出した要求と隠れた要求の存在
○ 効率的なニーズのくみ上げと評価の必要
ニーズ調査・評価部分へのスキル標準の活用
情報システムユーザを対象とした
情報教育カリキュラムの構築
信州大学大学院工学系研究科 情報工学専攻
海尻・海谷研究室
小山 貴明
2007/02/10