6章 消費者の知覚 1節 2節 3節 4節 5節 知覚と情報処理 接触過程(exposure) 注意過程(attention) 解釈段階 知覚とマーケティング戦略 感覚・知覚・認知 • ┌──────┐ ┌───┐ │接触(露出)│←━━ │ │ └──────┘ │ │ ↓ │ 記憶 │ ┌──────┐ │ │ │ 注意 │←━━ │ │ └──────┘ │ │ ↓ │ │ ┌──────┐ │ │ │ 理解 │←━━ │ │ └──────┘ │ │ ↓ │ │ ┌──────┐ │ │ │ 受容 │←━━ │ │ └──────┘ │ │ ↓ └───┘ ┌──────┐ ↑ │ 保持 │━━━━━┛ └──────┘ 1節 知覚と情報処理 • 接触=感覚 注意:ある情報を処理するための容量を割 り当てる(allocation) 知覚=低レベル解釈 認知=中レベル解釈 この本は知覚と認知を同じに扱っている 2節 接触過程(exposure) • 積極的に接触したり,受動的に接触したりする。 人によってよく接触したりするものもあるし,比較 的共通に接触したりしないものもある。 • 例。テレビを見る時間。新聞の読む面 よく見る番組,よく見る新聞・雑誌。通行量の多 い道路,乗降客の多い駅,金持ちのよく乗る路 線,雑誌,新聞 その他接触関係 • (1)閾下レベル (2)閾下説得(サブリミナル説得) (3)ウェーバーの法則 3節 注意過程(attention) • (a)(中枢処理機構で処理される)前の段階の情 報選択過程 • (b)中枢処理機構に取り入れられてからの選択処 理過程 処理資源(容量)の分配 《選択的注意》 カクテルパーティ効果 • (a) 前注意過程(コントラスト,線分,方位,端点, 閉じた小領域,色,動きなど「一目でパッとわかる」 特徴) • (b) 注意集中過程(異種の特徴の統合や鏡映像の 識別など「丁寧に見て初めてわかる」種類のもの) (土屋ほか編(1988)AI事典,UPU 喜多伸一 注 意 p91-93) 1 注意の個人的決定因 • プリント配布(朝日新聞社) • ①要求/動機 →高関与・低関与 • ②態度 認知的一貫性・知覚的防衛 好きな製品のブランドは好きでない製品のブラン ドよりもはやく認知される • ③順応水準 順応・慣れ • 刺激の強度,刺激の持続性(臭い), 弁別の困難性,間隔(短くなると慣れが生じる), 条件付け 2 刺激側の注意の決定因 ①大きさ:大きい方が注意(新聞広告) ②色(新聞の色刷り,食べ物の色) ③強度(大きな音,広告の方が大きい音) ④対照(図と地) ⑤位置(新聞:左の方が注目される;TV:順序:最初と最後) ⑥方向性:方向性をもっているほうが注目される。(指差しに 思わず注目) ⑦動き(動きをもっている方) ⑧孤立(孤立しているものは目立つ。他と違うもの) ⑨導入質問 ⑩新奇性 ⑪「学習された」注意をひく刺激(インタホンの音、電話の音) ⑫魅力的なスポークスマン,有名人 4 注意がむけられない刺激 • 注意が向けられないというのと閾下とは意 味が違う。 閾下知覚(サブリミナル知覚) 時間,強度,ノイズ コカコーラ,ポップコーン • この研究はねつ造 1/3000秒という制御は現在でも不可能。コ ンピュータでの計測もできるかどうか不明。 たとえば,Windows上では1msecあたりの 計測が限界。計測するよりも物理的制御 するほうが困難であろう。現在のタキストで も3ミリ秒(3/1000秒)が市販の最短制御。 続き • またサブリミナル知覚を行動に関連づける 場合は,何度も提示する。この嘘の実験で も5秒ごとに提示していることになっている。 小さな効果しかないから、大きな効果のあ る方法を使う方がいいという考えです。 まったく効果がないとは思っていない Moore,T.E. 1982 Subliminal advertising: What you see is what you get. Journal of Marketing, 46 (Spring) 38-47. • (1)サブリミナル刺激はその刺激に対するあるポ ジティブな感情反応を作り出す (または増加させる)。 (2)ある直接的な行動の結果(例.購入)を引き起 こす。 • (1) を弱い主張、(2)を強い主張と言っています。 • レビューの結果は(1)は認められる(Kunst-Wilson and Zajonc,1980)が、(2)は否定的という結論。 全体としての効果は弱く他の刺激にたやすく打ち 消されてしまう程度。 この方面に関連したレビューとし て、 • Dixon,N. 1982 Preconscious processing. Wiley サブリミナル刺激がその後の情報処理に影響す ることを述べています。 最近のレビューをあげておくと、 Theus,K.T. 1994 Subliminal advertising and the psychology of processing unconscious stimulus: a review of research. Psychology & Marketing, 11(3), 271-290. • (a)心理学的要因 ○知覚防衛 (b)生理的要因 ○手がかり、潜時、反応 (c)適応行動への心理学的生理学的効果 • (a)(b)(c)についてはそれぞれ効果がある。 (d)選択行動 への影響 • [1]特定の商品への購買研究はほぼ否定的 [2]食べ物、飲み物のような方向へは誘導効果が あるのとないのとがある。 [3]効果の出やすいタイプの人がいる可能性。例. 低不安+低神経症+外向 [4]「記憶を伸ばすテープ」や「自尊心を高める テープ」はプラシーボ効果があ る。(つまり、テープ自体の効果ではなく、思い込 みの効果がある) [5]キーの埋め込み図は1例だけ確認したものが あるが、否定的。 というように、否定的結果が中心で,条件付きで 肯定するものが一部ある。 その他効果についての文献 • 下條信輔(1996)『サブリミナル・マインド- 潜在的人間観のゆくえ』中公新書 ウィルソン・ブライナン・キイ(1989)『メディ ア・セックス』リブロート (1999.7, 集英社文 庫) 4節 解釈段階 • 1 自動処理 スキーマ(図式) ステレオタイプ 2 理解レベル 図を3枚提示 3 精緻化 自分の中で関連づけ 4 記憶 長期貯蔵庫 5節 知覚とマーケティング戦略 1 製品 • a 製品ポジショニングと商品イメージ 製品イメージというほうがいい 知覚マップ 消費者にブランド間の類似性または、ブ ランドの特徴を評価させ、主要な評価軸を統計学的に割 り出して、座標にする。主として2次元が使用される。 – 消費者金融マップ • • • • ブランド 缶コーヒー 「ブランド戦略サーベイ」開始 ブランドはどのように形成されているのか pdf ファイル などを読む b ブランド・ネームとロゴ • 記憶の話が入っている c パッケージデザインと広告 • パッケージングpackaging 容器,包装紙(石鹸を包むような紙を含む), 缶,木材,ガラス,ボール紙,透明セロファ ン,クロース,その他の材料で製品を整え る手段である(Nystrom,P.H.) あるいは健全な状態で最終消費者へ最低 のコストで商品を安全に届けることを保証 する1つの手段(Pain,F.A.) 詳解マーケティング辞典(同文館) 2 価格 (1)価格の機能(小嶋,1986 p49-51) (a) 価格そのものが商品の品質性能のイメージに 与える影響が大きい (b) 価格は,購入商品に対する"満足感"に関係 がある安いものは不満がある→安く買える理由) (c) 買い手自身の感情や自尊心と関連する不満 感・満足感(課長だから背広は 10万円以上 じゃないとね) (d) 高級感,ゼイタク品,おしゃれ品の場合,価格 は商品に対する期待に影響する(高級化粧品, 漢方) (2)心理的価格 (a)端数価格→台割れ効果 (b)価格段階(化粧品のランク)原価にかかわらず,価格 帯の数を限定して同一価格ラインにまとめるそのライン (ストッキングなど) (c)慣習価格 (慣習価格がはっきりとある場合,価格が低くても売れ ない) (d)威光価格(名声価格)競争市場レベルよりも高い価格 付けによって高品質とみなされ,所有することがステイ タス・シンボルともなり,したがって高価格が故に購買 意欲をそそる価格。ブランド品,専門(のれん)品など。 →ブランド・トレランス(耐性) 価格関係文献 • 横田・亀井編著(1984)『マーケティングの最前線』学文 社(価格の心理的側面) • 小嶋外弘(1986)『価格の心理』ダイヤモンド社 上田隆穂(編)(1995).『価格決定のマーケティング』有 斐閣 • 上田隆穂(1999).『マーケティング価格戦略-価格決 定と消費者心理』有斐閣 広告知覚の文献 • 山田理英(1998).『広告表現を科学する』日 経広告研究所
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