欧州統合の構想 Ⅰ デレック・ヒーター著 『統一ヨーロッパへの道:シャルル マーニュからEC統合へ』 岩波書店 1994年 リージョナル・ガバナンス論B 1 第8章 結論:永続的な問題 1.文化的・地政学的・制度的な諸問題 いかなる自発的な政治統合の構想も、想定されたメ ンバーがある程度の文化的および政治的な伝統 と価値を共有していない限り、信ずるに足りないも のになるであろう。国家連合が成功するために必 要なこの種のアイデンティティーは、ヤヌスの顔を もっている。内に向かっては、メンバーが共通に 持っており、少なくともわずかな等質性をなす特徴 を認識しなければならない。外に向かっては、連 合の外部者に対する相違、両立不可能性、敵意さ えも認識しなければならない。 リージョナル・ガバナンス論B 2 サン・ピエールの構想(18世紀) 「世界市民主義時代と戦争(スペイン継承 戦争など)」 「ヨーロッパ感覚Europeanness」 1712年に、最初のヨーロッパ統合案を公開 『ヨーロッパ永久平和覚書』 根底にあるのは、啓蒙主義そのもの 中核部分は、「条約草案」=国際紛争の法 による解決を国内問題の法的解決に類推 リージョナル・ガバナンス論B 3 パン・ヨーロッパ運動(1920年代) 「ヨーロッパ諸国家から成る連邦という古い 夢は消えてしまい、忘れられてしまったよう であった。国際連盟を支持する平和主義者 は、ファシストや共産主義者と同じように、こ の夢に無縁だったのである」(クーデンホー フ。カレルギー伯爵) ヴェルサイユ条約、サン=ジェルマン講和 条約は決してヨーロッパ問題の解決を容易 にしなかった。 リージョナル・ガバナンス論B 4 自発的な協同(共通善)で想定される政治 原則 主権のある程度の放棄(主権的権利の放 棄) 代議制機関の使用(超国家的な機関の創 設) ロシアとトルコは、欧州統合の構想からは 外されている。(国際連盟のメンバーではな いこと) メンバーシップの問題は重要か? リージョナル・ガバナンス論B 5
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