フランスにおけるローカリズムとヨーロッパ統合

欧州統合によるアルザス・ロー
カリズムの変化
総合政策学部 79604420
佐藤泰子
手段としてのローカリズム
フランス: 経済的周辺性と文化的周辺性の符号
経済的に低開発なのは、文化的周辺性に対する
国家による抑圧のせい
文化的周辺性と抑圧を根拠に、
国家に、文化的、社会・経済的権利を要求
問題意識の所在
ヨーロッパ統合の進展
ヨーロッパ市民意識
自己認識の多元化・相対化
エスニシティを伴うローカリズムに
与える影響
研究対象:アルザス
市場統合 → 経済的「ヨーロッパの中心」
•「ヨーロッパ」での独立したアクター
•依然として周辺地域のまま
アルザスはヨーロッパ市場で活躍が期待できる地域
ローカリズムに大きな社会・経済的変化
「ある種の変化」は取り巻く環境によって異なるのか?
①「ヨーロッパ」での自立が期待される場合
× 手段としてのローカリズム
◎ 自由な活動を確保することをめざすローカリズム
②「ヨーロッパ」でも周辺地域の場合
依然として「手段」的要素が強くのこる
アルザスの文化的状況
言語:アルザス語。書き言葉はドイツ語
宗教:北部に強力なプロテスタントの一部
ライシテの不適用
歴史:ドイツとフランスの間を行ったりきたり」
ゲルマン系文化
第二次世界大戦以降:アルザス語は「敵国語」
文化的・社会的抑圧
アルザスの地理的環境
•EUの購買力の75%が円の中
•新しい「ヨーロッパの背骨」の中心
•ライン川をはじめとした運河網
国境を接する国
•ドイツ
•スイス
域内総生産
22地域圏中
3位前後
アルザスの「ヨーロッパ的」環境
EU市場向け輸出:アルザス 74.7%
フランス全体 62.7%
•投資:外資系(スイス・ドイツ)35%
•雇用:40%が外資系企業
•55000人が越境通勤
アルザスは、「ヨーロッパ」での自己実現が可能
マーストリヒト条約批准賛成:65.6%、72.2%
ヨーロッパ統合に好意的
文化的・社会的問題の解決
× 国家との駆け引き
◎ ドイツやスイスとの連携
◎ ヨーロッパの中心へ
ヨーロッパでの自立をいかにサポートするか
ERDFを中心としたプログラム
EC 拠
総 額 出額(
(100万 1 0 0 万
ECU) ECU)
プログラム
モノ・リージョナル・プログラム
France Alsace Objective 2 1994-96
46023
196
France Alsace Objective 2 1997-99
98388
2192
France KONVER 2 Alsace
19984
4252
France URBAN Mulhouse (Alsace)
20897
70
France Alsace Objective 5b 1994-99
16909
4876
マルチ・リージョナル・プログラム
France National Programme for
technical assistance
201
7
100
8
France SME Objective 2 and 5b
983
27
491
65
INTERREG
assistance
160
6
803
INTERREG
Pamina
2
2
France
technical
Germany/France
INTERREG
Germany/France/Switzerland
Upper Rhine-Centre South
1105
2211
5
2
498
89
245
79
マルチ・リージョナル・プログラムの充実
ヨーロッパに対する意識
ヨーロッパにおけるアクターとなりうる地域の
ローカリズムはどうなるのか?
ヨーロッパ統合がローカリズムに与える影響
ナショナル・アイデンティティの相対化
抑圧されていたエスニーが意識される
エスニシティの希薄化
ヨーロッパ市民意識へ収束
まとめ:
×意図的なエスニシティ
◎最も身近な自己認識としてのエスニシティ
× 集団的なローカリズム
◎ 1アクターとしての権利を確保するローカリズム
ローカリズムは消えない