流動性制約リスク 京都大学工学研究科 関川 裕己 復旧資金調達 災害直後に, 大規模な復旧資金を調達する必要がある しかし,災害直後に, 十分な復旧資金(流動性)を調達可能? 流動性制約とは 流動性とは 「資産価値をもっとも有利な条件のもとで,かつ売却についての 事前の有益な準備をすべて整えた上で資産を売却する, あるいは清算することによって得られる,最大の現金の量」(Tobin, J.) 流動性制約とは 調達(借入)可能な流動性に上限が存在すること 資産の流動性 低 (不動産) 高 (現金) 流動性制約に直面する場合 十分な流動性を調達できないために, 流動性被害が発生 復旧が遅延 長期間にわたり生活水準が低下 物的資産の復旧過程 流動性制約に直面した場合 流動性制約に直面しない場合 物的資産 物的資産 流動性被害 t 貯蓄 t 貯蓄 面積等しい t 復旧期間 負債 災害発生 t 返済期間 負債 復旧完了 災害発生 復旧完了 返済完了 災害時の流動性制約 流動性制約直面シナリオ 必要調達額(復旧水準) 調達可能額 ⇒必要調達額が調達可能額を上回る可能性 ⇒不足調達額が生じる可能性 ⇒流動性制約に直面する可能性 流動性制約と流動性被害 物的資産水準 被災前 復旧資金不足額 復旧水準 流動性被害 被害額 必要調達額 被災直後 調達可能額 被災時 復旧期間 時間 災害発生 復旧完了 市場の不完全性 なぜ流動性制約が生じるのか? 災害のカタストロフ性 希少性・集合性・巨大性 資金需要の集中⇒金利上昇 情報の非対称性 流動性制約の分析 アンケート等,ミクロデータを用いた実証分析 1)流動性制約に影響を及ぼす要因の分析 《トービットサンプルセレクションモデル》 2)復旧期間の推計 《多段階マルコフ指数ハザードモデル》 詳細・分析結果は, 1)論文:「世帯の復旧資金の調達と流動性制約」(PPT), 2)論文:「家計の流動性制約が水害被災家計の復旧過程に及ぼす影響」, をご参照下さい.
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