経済学とは何か

第3章 消費の理論
3.6 所得効果と代替効果
■ 所得が拡大したときの効果
x2
名目所得MのみがM'までに
増加した場合,予算制約線は右
へ平行移動してシフトし,消費
者が効用最大化行動によって, M'/p2 x2
よりいっそう上位の無差別曲線 M/p2 x2E
上のE'点を選択することになる。
実質所得「暮らし向き」が向上す
0
ることを意味する。
このような所得が拡大したと
きの消費に与える効果は所得
効果と呼ばれる。
ミクロ経済学(Ⅰ)
u
u'
E'
E
u'
u
x1E x1
x1
M/pM'/p
1
1
1
第3章 消費の理論
3.6 所得効果と代替効果
■ 所得消費曲線
このような所得Iの様々な
変化に応じて均衡点Eの移
動軌跡に沿って描かれた曲
線を所得消費曲線(incomeconsumption curve)または
支 出 拡 張 線 ( expenditure
expansion curve)と呼ぶ。
ミクロ経済学(Ⅰ)
x2
u
u'
所得消費曲線
x2
x2E
0
E'
E
x1E x1
u'
u
x1
2
3.6 所得効果と代替効果
x2
u
u'
■ 正常財と劣等財
名目所得Iが増加した場合,
普通の財であれば,生活水準
の向上につれて,需要量も増え
る。このような財を上級財ある
いは正常財と呼ぶ。
x2
x2E
E
x2
0
u'
u
x1E x1
0
しかし,生活水準の向上につ
x2
れて,需要量が減る財もある。
x2E
このような財を下級財あるいは
劣等財(inferior goods)と呼ぶ。
ミクロ経済学(Ⅰ)
E'
x1
u'
u
E'
E
u'
u
x1 x1E
x1
下級財
3
3.6 所得効果と代替効果
x2
u
u'
所得消費曲線
■ 正常財と劣等財
x2
E'
2財がともに正常財である場合, E
x2
所得消費曲線は右上がりの線で
ある。(東北方に伸びる線であ
0
る。)
x2
片方の財が下級財である場合,
所得消費曲線は右下がりの線で x
2
ある。(西北方あるいは東南方に
伸びる線である。)
x2E
E
u'
u
x1E x1
x1
u'
所得消費曲線
u
E'
E
u'
u
0
ミクロ経済学(Ⅰ)
x1 x1E
x1
下級財
4
3.6 所得効果と代替効果
x2
u
u'
所得消費曲線
■ 正常財と劣等財
x2
E'
2財がともに正常財である場合, E
x2
所得消費曲線は右上がりの線で
ある。(東北方に伸びる線であ
0
る。)
下 x2
級
片方の財が下級財である場合,財
所得消費曲線は右下がりの線で
ある。(西北方あるいは東南方に
x2E
伸びる線である。)
E
u'
u
x1E x1
u'
u
所得消費曲線
E
x2
0
ミクロ経済学(Ⅰ)
x1
E'
u'
u
x1E
x1
x1
5
第3章 消費の理論
3.6 所得効果と代替効果
I
エンゲル曲線
Engel curve
I
I'
I"
上 x2
級
財
I"
I'
x2
I
x2
所得消費曲線
x2
0
x2
x 2
x2
x2
上級財
0
x1 x1 x1
x1
下級財
上級財(正常財)では,所得が上昇すると共に需要が増加す
るので,エンゲル曲線は右上がりとなる。
ミクロ経済学(Ⅰ)
6
第3章 消費の理論
3.6 所得効果と代替効果
I
I
I"
エンゲル曲線
Engel curve
I'
I"
x2
I'
x2
I
x2
所得消費曲線
x2
0
x1 x1 x1
x1
0
x1 x1 x1
x1
下級財
下級財(劣等財)では,所得が上昇すると共に需要が減少す
るので,エンゲル曲線は右下がりとなる。
ミクロ経済学(Ⅰ)
7
第3章 消費の理論
3.6 所得効果と代替効果
■ エンゲル係数とエンジェル係数
エンゲル(Ernst Engel, 1821-1896): ドイツの社会統計学者で
ある。ザクセンとベルギー労働者の調査からエンゲルの法則を発見した。
エンゲル係数 Engel's coefficient:
家計や国の総支出に占める食費の割合である。
エンゲル係数 = 総食費支出/総消費支出
エンゲルの法則: 家計の収入が下落するほど,家計の消費支出全
体に占める食費の割合すなわちエンゲル係数が上昇するという法則で
ある。
エンジェル係数 : エンゲル係数をもじった造語で,野村証券が1989年
に考案した指数で,「家計支出の中に占める子育て費用の割合を
示す数値」である。所得が拡大すると,エンジェル係数は上昇する。
エンジェル係数 =子供のための支出額/家計支出額
ミクロ経済学(Ⅰ)
8
第3章 消費の理論
3.6 所得効果と代替効果
■ 需要の所得弾力性
所得の変化率と財iの需要量変化率との比を財iの需要の所得弾力
(income elasticity of demand)と呼ぶ。
財iの需要の所得弾力性ei=財iの需要量の変化率/所得の変化率

xi  xi  xi
ei 
I   I  I
I
ei > 1 (弾力的)
I'
I
I
xi /I
xi
I
I
xi
xi
ミクロ経済学(Ⅰ)
x i
xi
上級財
xi /I
I
ei =1
I'
I
I
xi
xi /I
xi /I
0
 x i x i  x i I

I I
xi I
0 < ei < 1 (非弾力的)
I'
I

0
x i x i
xi
上級財
xi /I
xi /I
0
x i x i
xi
上級財
9
第3章 消費の理論
3.6 所得効果と代替効果
■ 需要の所得弾力性
所得の変化率と財iの需要量変化率との比を財iの需要の所得弾力
(income elasticity of demand)と呼ぶ。
財iの需要の所得弾力性ei=財iの需要量の変化率/所得の変化率

xi  xi  xi
ei 
I   I  I
ei > 0 (上級財)
x I
ei  i
xi I
所得が増えると
需要は増加する
ei=0 (中立財)
ei < 0 (下級財)

 x i x i  x i I

I I
xi I
ei > 1 弾力的(娯楽品,奢侈品)
所得の増加に対して需要量の増加が大きい
0 < ei < 1 非弾力的(必需品)
所得の増加に対して需要量の増加が小さい
所得が増えると
需要は減少する
ミクロ経済学(Ⅰ)
10
第3章 消費の理論
3.6 所得効果と代替効果
■ 相似拡大的効用関数
homothetic preference(相似拡大
的選好):相対価格が同じときに
は財の消費する比率が一定であ
るような消費者の選好を指す。
このような選好を効用関数で
表現すると,相似拡大的効用関
数となる。
効用関数が相似拡大的
(homothetic)な性質を持つと,こ
れに対応する所得消費曲線が原
点からの直線となる。
ミクロ経済学(Ⅰ)
x2
0
所得消費曲線
x1
11
第3章 消費の理論
3.6 所得効果と代替効果
■ 相似拡大的効用関数
homothetic preference(相似拡大
的選好):相対価格が同じときに
は財の消費する比率が一定であ
るような消費者の選好を指す。
このような選好を効用関数で
表現すると,相似拡大的効用関
数となる。
効用関数が相似拡大的
(homothetic)な性質を持つと,こ
れに対応する所得消費曲線が原
点からの直線となる。
ミクロ経済学(Ⅰ)
x2
x2
所得消費曲線
x1x1
0
homothetic preferenceの例
U=x10.5x20.5
12
第3章 消費の理論
3.6 所得効果と代替効果
■ 価格変化の効果
財1の価格p1 のみがp'1 まで上
昇した場合,予算制約線が時計
回り方向へ回転してシフトし,消
費者の均衡点はE点からE'点に
変更する。
x2
u
u'
E'
p1/p2
p'1/p2
0
ミクロ経済学(Ⅰ)
E
x1
13
第3章 消費の理論
3.6 所得効果と代替効果
■ スルーツキー(Slutsky)分解
所得効果 income effect
x2
u
u'
家計の実質所得が減少した効果
である。(代替効果を排除した部分
である。 E → E* )
p1 の上昇によって,より下位の無
差別曲線上に均衡点が移り,効用
はuからu'まで低下した。( u → u' )
ミクロ経済学(Ⅰ)
所得効果
E'
E*
E
p1/p2
p'1/p2
0
x1
14
第3章 消費の理論
3.6 所得効果と代替効果
■ スルーツキー(Slutsky)分解
代替効果 substitution effect
p1 の上昇によって,同一の効用水準を
維持するには,無差別曲線上のE*点から
E‘点へ変更する。つまり相対的高くなった
x1の消費を減らし,相対的約なったx2の消
費を増やす。
( E* → E', p1↑ → x1↓)
消費者が相対的に高くなった財2から相
対的に安くなった財1への代替にもとづく
効果である。(実質所得の変化の効果を
抜いた相対価格の変化のみの影響であ
る。補償需要への効果と呼ばれる。)
ミクロ経済学(Ⅰ)
x2
u
u'
代替効果
所得効果
E'
E*
E
p1/p2
p'1/p2
0
x1
15
第3章 消費の理論
3.6 所得効果と代替効果
スルツキー分解
価格変化による需要の変化を代替効
果と所得効果に分けることを,スルツ
キー分解と呼ぶ。
x2
u
u'
所得効果
第1財の価格の変化による,第1財の
需要の変化:
x1'-x1
全体効果
E'
=(x1"-x1')+ (x1-x1")
代替効果
所得効果
代替効果
E*
E
p1/p2
p'1/p2
0
x1
x1' x1"
x1
代替効果
所得効果
ミクロ経済学(Ⅰ)
全体効果
第3章 消費の理論
3.6 所得効果と代替効果
スルツキー分解
第1財の価格の変化による,第1財の
需要の変化:
x1'-x1
全体効果
=(x1"-x1')+ (x1-x1")
代替効果
所得効果
■ スルツキー方程式(p1のx1に与える効果)
x1  x1 
 x1



p1  p1 効用一定  M
全体効果
ミクロ経済学(Ⅰ)
代替効果

 x1

所得効果
Evgenii Slutskii
(1880~1948)
20世紀初期のソヴィ
エト連邦・ウクライナの
数学者・経済学者
第3章 消費の理論
3.6 所得効果と代替効果
価格p1 が上昇する場合に,財1の
需要量x1はどう変るか?
結
x2
u
論
u'
x1が正常財である場合,所得効果は
正であるので , EがE*の右にある 。
( p1↑ → x1↓)
E'
E*
E
p1/p2
p'1/p2
0
x1
x1' x1"
x1
代替効果
所得効果
ミクロ経済学(Ⅰ)
全体効果
第3章 消費の理論
3.6 所得効果と代替効果
価格p1 が上昇する場合に,財1の
需要量x1はどう変るか?
結
x2
論
u'
x1が正常財である場合,所得効果は
正であるので , EがE*の右にある 。
( p1↑ → x1↓)
x1が劣等財である場合,所得効果は
負であるが,正の代替効果に勝てず,
EがE*とE'の間にある。( p1↑ → x1↓)
u
E
E'
E*
p'1/p2
0
代替効果 x1' x1
全体効果
ミクロ経済学(Ⅰ)
p1/p2
x1
x1" 所得効果
第3章 消費の理論
3.6 所得効果と代替効果
価格p1 が上昇する場合に,財1の
需要量x1はどう変るか?
結
x2
論
u'
E
x1が正常財である場合,所得効果は
正であるので , EがE*の右にある 。
( p1↑ → x1↓)
x1が劣等財である場合,所得効果は
負であるが,正の代替効果に勝てず,
EがE*とE'の間にある。( p1↑ → x1↓)
u
E'
p'1/p2
0
x1 がギッフェン財の場合,所得効果
x1 x1'
は代替効果を超える大きな負であり,
EがE'の左にある。 ( p1↑ → x1↑)
全体効果
ミクロ経済学(Ⅰ)
p1/p2
E*
x1
x1"
代替効果
所得効果
x2
3.6 所得効果と代替効果
u'
(p1の上昇がx1に与える効果)
代替効果 所得効果 全部効果
――――――――――――――――――
正 常 財
ー
ー
ー
劣 等 財
ー
+
ー
ギッフェン財 ー
+
+
――――――――――――――――――
正 常 財
x2
劣 等 財
u
E
E'
p1/p2
E*
p'1/p2
0
x1
x2
u
x1' x1
u'
u'
x1"
ギッフェン 財
u
E
E'
E*
E
E'
p1/p2
E*
p'1/p2
p'1/p2
0
x1
x1' x1"
p1/p2
x1
0
x1
x1 x1'
x1"
21
第3章 消費の理論
3.6 所得効果と代替効果
■ ギッフェン財
その財の価格の上昇(低下)にもかかわ
らず,その財の需要が増加(減少)するよ
うな財はギッフェン財と呼ばれる。
実例として,1845年にアイルランドでジャ
ガイモ飢饉が発生した際,ジャガイモの価
格が上昇したにもかかわらず,家計の余
裕がない状況では,より品質の高い他の
財に対する支出が抑制され,代わりにジャ
ガイモの支出が増大した。
ギッフェン財の実例は非常に稀で,めっ
たに観察されない。
ミクロ経済学(Ⅰ)
Robert Giffen
(1837 –1910)
イギリスの経済
学者,統計学者
22
第3章 消費の理論
3.6 所得効果と代替効果
■ クロスの価格変化の効果
x2
価格p1 が上昇する場合に,財2の
u
u'
需要量x2はどう変るか?
x2'
クロスの全体効果
E'
x2
■ スルツキー方程式
所得効果
(p1のx2に与える効果)
x2"
x2  x2 
 x2 




 x1

p1  p1 効用一定  M 
クロスの
全体効果
ミクロ経済学(Ⅰ)
クロス
代替効果
所得効果
E*
E
p1/p2
p'1/p2
0
x1
クロス代替効果
第3章 消費の理論
3.6 所得効果と代替効果
■ 代替財と補完財
第1財の価格が上昇(低下)すると,第1財の需要が減り(増え),第2財
の需要が増加(減少)する場合,第2財は第1財の粗代替財と呼ぶ。
(ウイスキー ←→ 焼酎)
 x2 
クロスの代替効果がプラスに働く財を代替財と呼ぶ。 p1   0
U
第1財の価格が上昇(低下)すると,第1財の需要が減り(増え),第2財
の需要が減少(増加)する場合,第2財は第1財の粗補完財と呼ぶ。所得
効果が含まれている。
 x2 
(コーヒー ←→ 砂糖)(パン ←→ バター)
0
クロスの代替効果がマイナスに働く財を補完財と呼んでいる。 p1 U
*「粗gross」という文字がある場合に,所得効果が含まれている。ない
場合には所得効果が含まれていない。
ミクロ経済学(Ⅰ)
24
第3章 消費の理論
3.6 所得効果と代替効果
■ 無差別曲線の形状と代替効果
不完全代替
焼
き
鳥
千
円
札
枚
数
u"
u'
u
完全代替
(代替効果最大)
完全不代替(完全補完)
(代替効果ゼロ)
左
足
の
靴
u"
u'
u
u"
u'
u
ビール
0
限界代替率逓減
ミクロ経済学(Ⅰ)
u
0
u' u"
二千円札枚数
限界代替率一定
0
右足の靴
限界代替率=∞
or
限界代替率=0
25
第3章 消費の理論
3.7 需要曲線
価格・消費曲線
■ 価格・消費曲線
x2
p1が次々に変化する場合には,
そのそれぞれに応じて,消費者
が効用最大化行動による決定さ
れる需要量移動の軌跡に沿って
描いた曲線を価格・消費曲線
price-consumption curveと呼ぶ。
別 名 オ ー フ ァ ー ・ カ ー ブ offer
curveである。
ミクロ経済学(Ⅰ)
u"
u
u'
N
E'
E"
u"
E
u
0
M
u'
M' x1
26
3.7 需要曲線
x2
u"
u
■ 一家計の需要曲線
u'
p"/p2
p1 の変化に対して,需要量x1
E'
u"
E
がいかに反応するかを表す曲線
である。
E"
p/p2
p'/p2
u
u'
0
x1
普通は需要曲線は右下がりの
曲線である。
p1
需要曲線
p
E
*注意点:この需要曲線は所得Mと
その他の財の価格が一定で,p1のみ変
化した場合のx1の変化を表している。
p'
p"
0
ミクロ経済学(Ⅰ)
E'
E"
x1
27
3.7 需要曲線
p1
■ 一家計の需要曲線
普通は需要曲線は右下がりの
曲線である。
*注意点:この需要曲線は所得Mと
その他の財の価格が一定で,p1のみ変
化した場合のx1の変化を表している。
0
x1
x1 が正常財であれば,Mが上昇
すると,需要曲線は右へシフトする。
p1
(1) Mが変化する場合に需要曲線
はどのように変化する。
(2)その他の財の価格p2が変化する
場合に需要曲線はどのように変化する。
ミクロ経済学(Ⅰ)
0
x1
x1がx2の粗代替財であれば,p2が
上昇すると, x1の需要曲線は右へシ
フトする。
第3章 消費の理論
3.7 需要曲線
■ 市場の需要曲線の導出
数値例:
Aさんの個人
需要曲線
p
20
Aさんの需要関数 xA=10-p/2
Bさんの需要関数 xB=10-p
市場の需要関数
x=xA =10-p/2
x=xA+xB=20-3p/2
Bさんの個人
需要曲線
p
10
8
10
8
0
5 6 10 x 0
ミクロ経済学(Ⅰ)
p
20
(p≧10)
(p≦10)
市場の需要曲線
10
8
2
10 x
0
5
8
20
x
29
第3章 消費の理論
3.7 需要曲線
■ 市場の需要曲線の導出
家計全体の需要曲線(市場の需要曲線)は,各個人(各家計)の需要曲線を
それぞれ横軸方向に合計して,求めることができる。
Aさんの個人
需要曲線
Bさんの個人
需要曲線
p1
p1
p
p
0
x1A
ミクロ経済学(Ⅰ)
x1 0
社会需要曲線
p1
x1B
x1
0
x1A
x1A  x1B
x
i
1
x1
30
第3章 消費の理論
3.7 需要曲線
■ 需要曲線のまとめ
定義:需要量と価格の関係を示す曲線
性質:通常右下がり,価格↓ ⇒ 需要量↑
シフト・パラメーター(外生変数):
所得水準
競合する財の価格
天候・嗜好の変化など
D
p
p1
p2
D
0
ミクロ経済学(Ⅰ)
x1
x2
x
31
第3章 消費の理論
3.7 需要曲線
■ 需要の価格弾力性
ある財の価格の変化率とこの財の需要量変化率との比を財iの需要の
価格弾力性(price elasticity of demand)と呼ぶ。
需要の価格弾力性ed=-需要量の変化率/価格の変化率
ed  
p
p2
 x2  x1 
 p2  p1 
x1
p1

x x1
x p1


p p1
p x1
-x/p
p
-x/p 
A
p1
x
B
0
ミクロ経済学(Ⅰ)
x2 x1
D
x
BD
AB
p1 AB

x1 OB
ed  
x p1 BD AB BD




p x1 AB OB OB
32
第3章 消費の理論
3.7 需要曲線
■ 需要の価格弾力性
ある財の価格の変化率とこの財の需要量変化率との比を財iの需要の
価格弾力性(price elasticity of demand)と呼ぶ。
需要の価格弾力性ed=-需要量の変化率/価格の変化率
ed  
 x2  x1 
 p2  p1 
p
p1
x x1
x p1


p p1
p x1
ed 
BD
OB
左右両図はどちらの
需要の価格弾力性
が大きい?
A
B
0
p1

p
p1
ミクロ経済学(Ⅰ)
x1
x1
A
B
D
x
0
x1
D
x
33
第3章 消費の理論
3.7 需要曲線
■ 需要の価格弾力性
ある財の価格の変化率とこの財の需要量変化率との比を財iの需要の
価格弾力性(price elasticity of demand)と呼ぶ。
需要の価格弾力性ed=-需要量の変化率/価格の変化率
ed  
 x2  x1 
 p2  p1 
需要曲線が直角双曲線
の形をしている場合に,需
要曲線上のどの点におい
ても ed=1 である。
例: px=a (aは定数)
ミクロ経済学(Ⅰ)
x1
p1

x x1
x p1


p p1
p x1
証明:
x
ed 
BD
OB
px=a
a
p
dx
a
 2
dp
p
dx p
a p
a
ed     2  
1
dp x p x px
34
第3章 消費の理論
3.7 需要曲線
■ 需要の価格弾力性
ある財の価格の変化率とこの財の需要量変化率との比を財iの需要の
価格弾力性(price elasticity of demand)と呼ぶ。
需要の価格弾力性ed=-需要量の変化率/価格の変化率
ed  
p
0
 x2  x1 
 p2  p1 
ed=0
x1
p1

x x1
x p1


p p1
p x1
p
x
0
ed=∞
x
35
第3章 消費の理論
3.7 需要曲線
■ 需要の価格弾力性
ある財の価格の変化率とこの財の需要量変化率との比を財iの需要の
価格弾力性(price elasticity of demand)と呼ぶ。
需要の価格弾力性ed=-需要量の変化率/価格の変化率
ed  
x p1
ed  

p x1
 x2  x1 
 p2  p1 
x1
p1

x x1
x p1


p p1
p x1
> 1 (奢侈品,密接な代替品のある財など)
弾力的elasticで,1%価格の下落に対し1%以上の需要
が増えるので,売上高は増加する。
< 1 (必需品,密接な代替品のない財など)
非弾力的inelastic,1%価格の下落に対し1%以下の需要
しか増えないので,売上高は減少する。
ミクロ経済学(Ⅰ)
36
第3章 消費の理論
■ 需要の価格弾力性と収入
3.7 需要曲線
需要の価格弾力性 > 1
需要の価格弾力性 < 1
p
p
p
p2
p2
収
入
p1
0
p1
収 入
x2
x
x1
x  p1

1
p  x1
x
0
x
x2 x1
x  p1
価格上昇 
 価格下落
1
p  x1
ed < 1 非弾力的
売上収入増加 x  p 売上収入減少
 p  x
ed =1
 x  p1  p  x2
売上収入不変 x  p1売上収入不変
 p  x2
 x  p1  p  x1
1
1
ed > 1 弾力的
売上収入減少
売上収入増加
価格が上昇すると,収入が増える。
価格が上昇すると,収入が減る。
ミクロ経済学(Ⅰ)
37
第3章 消費の理論
3.7 需要曲線
■ 豊作貧乏
農産物が豊作となり価格が下落したために,農家の収入が低下して,
採算が合わなくなる現象を豊作貧乏という。
計算例
白菜を1個200円で売ることを想定したとき,1200万個が売れ
る。しかし,豊作で白菜の収穫が1800万個もあって,1個50円で
やっと完売した。
白菜の価格変化率 = (50-200)/ 200 = -75%
白菜の需要変化率 = (1800-1200)/ 1200 = 50%
白菜の需要の価格弾力性 = -(-50% / 75%) = 0.667 < 1
収穫1200のときの売上収入=1200万個×200円/1個=24億円
収穫1800のときの売上収入=1800万個× 50円/1個= 9億円
ミクロ経済学(Ⅰ)
38
第3章 消費の理論
3.7 需要曲線
代替と補完
需要の交差弾力性cross elasticity of demand
i財の価格の変化率と関連するj財の需要量変化率との比である。
需要の交差弾力性eij=j財の需要量の変化率/i財の価格の変化率
e ij 
xj  x j
xj
pi  pi x j

pi
xj
pi x j x j
j 財の需要量の変化率

 
pi
pi pi
i財の価格変化率
> 0 粗代替財
x j x j
j 財の需要量の変化率
e ij 
 
pi pi
i財の価格変化率
< 0 粗補完財
=0
ミクロ経済学(Ⅰ)
関連財
独立財
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