輸血の歴史

樹状細胞療法
長崎大学輸血部
長井一浩
樹状細胞療法
樹状細胞(dendritic cell; DC)とは?
抗原に感作されていないT細胞に対して、抗原を提示することで、これを
抗原特異的に活性化する働きをもつ。
骨髄球系前駆細胞由来とリンパ球前駆細胞由来のものが知られており、
末梢血中に存在する。
未熟なDCは炎症部位などに遊走して、ここで抗原を取り込み、また多様
なサイトカインの作用によって成熟して、リンパ組織に移動してT細胞に抗
原を提示して、これを活性化する。
がんに対する免疫細胞療法への応用が開始されている。
細胞障害性Tリンパ球
細胞外抗原
サイトカイン・ネットワーク
取り込まれた細胞外抗原がプロセ
シングを受けDC細胞表面のMHC
クラスⅠ分子上に提示される。
インターロイキン1β(IL-1β)
腫瘍壊死因子(TNF)
インターロイキン12(IL-12)
等
DC
樹状細胞療法の概略図
細胞障害性Tリンパ球の活性化
末梢血アフェレーシス
単核球
腫瘍抗原ペプチドでパルス!
サイトカインに
よる刺激
腫瘍特異抗原提示能の
活性化
培養
樹状細胞への分化
樹状細胞療法の臨床応用
B細胞悪性リンパ腫、多発性骨髄腫
Hsu et al. 1996
進行期メラノーマ
Nestle et al. 1998
前立腺がん
Murphy et al. 1999
腎細胞がん
Lorenz et al. 1998
慢性骨髄性白血病
平井ら. 1999
一部の臨床研究では治療効果が得られているが、一方で成果を挙げられない
対象疾患や研究報告がみとめられる。
依然として実験段階にあり、基礎研究の進展も含めその方法論の更なる改善が
求められる。